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最弱スキル【反転】で無双する異世界冒険譚  作者: いわたん
第三章 強くなるために
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side:【剣聖】とスパイ

アインとの修行を経て、ユウトは確実に成長していた。その成果が実感できたのは、アインの指示のもとモンスターを討伐した時だった。以前はギリギリで避けていたゴブリンやウルフの攻撃が、今ではゆっくりと見えるようになり、自然と最適な回避と反撃ができるようになっていた。戦闘時間も劇的に短縮され、1人で対応できるほどの腕前に達していた。


(あの時よりも…世界が変わったように見える)


アインの地獄のような修行を思い返しながら、ユウトはその成長を実感していた。


今回、新たなアインの指示を受け、ユウトは彼とともに帝国との境界に位置するウェッジの街へと向かうことになった。


ミサキは王国に残り、貴族の家を回るということで今回同席していない。


「ユウト、君にはこの街で帝国のスパイを探し出してもらいたいんだ。」


アインの言葉に、ユウトは真剣な眼差しを向けた。


「そのスパイは、王国から勇者候補の情報を集めているらしい。」


その一言に、ユウトは背筋が冷たくなるような感覚を覚えた。


(俺たちが調べられている…?)


「まあ、大した情報は渡っていないだろう。ナラハ王国の勇者召喚の秘術は一度も外部に漏れたことはないしね。」


アインは軽い口調で続ける。


「…でも、それでも少しの情報でも欲しいんだろう。必死なもんさ。」


「俺はともかく、ミサキに危害が及ぶなんて許せません!」


ユウトは拳を握りしめ、強い口調で言い放った。


「そうだよねぇ。その気持ち、すごく分かるよ。だからさ、そいつらを捕まえちゃおうか♪」


アインが愉快そうに提案すると、ユウトは即座に答えた。


「任せてください!絶対に捕まえてみせます!」


ウェッジの街に到着したユウトは、地元の人々に溶け込むために軽装に身を包み、剣はアイテムバッグに収納して行動を開始した。


昼間は市場や酒場で情報を収集し、目立たないよう注意を払った。街の中心部では、不審な動きをしている人物をじっくりと観察する。


街に潜入してから3日後、ユウトは引き続き街を巡り、スパイの手がかりを探していた。その中で、居酒屋にて彼はとある一人の男に目を留めた。その男は一つのテーブルで話していると思うと次のテーブルに移動するなど一定時間で動いていた。そして都度一杯奢りながら何かを話していた。


(あいつがスパイかもしれない…)


そう思い、男が回った後のテーブルに行き、そこにいる男たちに声をかける。


「なぁ、一杯奢るから話をしないかい?」


そう言うとテーブルに座る男の1人が、


「おぅ!いいぜ!奢りなら大歓迎だ!」


そう言いながら男の1人がエールを飲み干す。


「それで…さっきなにか気になることが聞こえたんだけど何を話してたんだ?」


ユウトが聞くと、


「ああさっき奢ってくれたやつか!なんか勇者を見たことあるのか?とかなんとか言ってたな…」


(これは…確定だな)


そうして一通り話した後、ユウトは席を後にする。


そして遠巻きにスパイであろう男を監視する。


男は一通りテーブルを回った後、店の外に出て行った。




ユウトは男を見失わないよう距離を取りつつ尾行を開始した。男はしばらく街の裏通りを進み、小さな倉庫へと入っていった。ユウトは物陰から様子を伺い、警戒しながら慎重に近づく。


しかし、


「どうやら釣れたな?」


ユウトの後ろから男の声がしたと同時にその男がナイフで切り掛かってきた。


ユウトはギリギリで避けるが避けた先の倉庫内で囲まれてしまう。


「おまえは王国の人間だろ?王国の人間は分かりやすくて助かるぜ」


そう言ってこのグループのリーダーらしい男がユウトを小馬鹿にしたように話す。


(く…しくじった。)


ユウトは自分の尾行がバレていて、その結果ピンチになったことを悔やむが、今更どうすることも出来ない事を悟り戦闘態勢を取ろうとする。


「この人数とやるつもりか?自殺志願者か?」


そう言ってリーダーらしい男は集団へ戦闘態勢を取るよう指示する。


(この数程度なら…いける!)


そういって戦闘が始まる。




「ま、待ってくれ!命だけは助けてくれ!」


数刻後、ユウトは1人で全員を制圧していた。アインとの修行の成果なのか、相手の攻撃は最低限で避け一切当たらず、一撃で無効化していた。


「なんで勇者の事を聞いていたんだ?それを話すなら命だけは助けてやる」


ユウトはそう言ってリーダーらしい男を脅す。


「そ、それは…」


「プロセリアンド法国が絡んでいるのか?」


「!?」


ユウトがそう言うとリーダーらしき男は驚愕の顔をしていた。


(やはり…【剣聖】と【聖女】のことを調べているのか…)


ユウトはそれを確信した瞬間怒りが湧いたが、今は任務中のため気持ちを落ち着かせてからリーダーらしきものに話す。


「今話せばこれ以上罰は増えないはずだ…だから」


「勝手に決められたら困るなぁ」


ユウトがリーダーらしき男に吐くよう条件を出したが、それをいきなり出て来たアインが遮る。


「ア、アインさん…」


「やあ、お疲れ様。任務はしっかりと遂行してくれたよえだね」


萎縮するユウトにアインが労いの言葉をかける。


「あとは僕がやるからいいよ、お疲れ様ー」


そう言ってアインはユウトに下がるように指示を出す。


「な、俺は最後まで任務を遂行します!」


「もうさ…その必要がなくなったんだよ」


とアインがユウトに言う。


「君のおかげでこうやって釣ることが出来たから」


その言葉を聞き、ユウトは衝撃を受けた。


(最初から…最初から期待されていなかったのか…)


そう思いショックを受けてしまう。


それを見たアインは、


「ああ期待してないわけではないよ?あくまで今回は期待通りの動きをしてくれたと思っているよ。」


そう言ってアインはユウトの肩に手を置く。


「だから…あとは僕に任せてよ。」


その言葉にユウトは納得し、


「あとは…任せます。」


そう言って下がるのであった。






「さて…邪魔者がいなくなったね」


アインの言葉にリーダーらしき男が後ずさる。


「何を…何をするつもりなんだ!?」


「大丈夫…すぐに終わるよ。君も…君以外も」


そういってアインの後ろに黒い何かが蠢いていた。


「何だ!?これは!?あ…アァァァァァア!??」




「さて…これで準備は整ったかな?楽しみだね…」


アインは1人で不気味に笑いながらこの先に起こる展開を予想しながら楽しんでいた。


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