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最弱スキル【反転】で無双する異世界冒険譚  作者: いわたん
第三章 強くなるために
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36.束の間ひととき

シリウスとの出会いで肝を冷やしたトーマだったが、収穫祭を一人で回るうちに気持ちを落ち着けていた。祭りの賑やかさに飲み込まれ、焼き立ての肉串や甘い菓子を買い食べながら、少しずつ心を和らげていく。


そんな時、フィーナとリアナが楽しそうに話しながらトーマの前に現れた。


「トーマ!」


フィーナの明るい声に振り向くと、二人が手に手に屋台の品を抱えていた。


「アルターは?」


とトーマが聞くと、リアナが肩をすくめながら答える。


「向こう側で酒呑たちと楽しく飲んでいるわ。もう酔っぱらってるかもね。」


「そうか。」


トーマは少し笑って答えたが、その表情に元気がないのをフィーナは見逃さなかった。


「トーマ…元気ないね、どうしたの?」


フィーナのその問いに少し考えた後、フィーナがトーマのことをどう見えているのか気になった。


(フィーナは相手の感情が色で見える…前にアルターの色も見てたな…)


そこでトーマはフィーナに逆に尋ねた。


「今の俺の色はどんな色なんだ?」


フィーナはトーマの質問にキョトンとしていたが、「えーと…」と言いながら真剣に目を細めてトーマを見つめると、柔らかく答えた。


「いつもはオレンジなんだけど、今は少し青も見える。」


「そうか。」


トーマは苦笑いしながら、フィーナの能力の凄さを改めて実感する。フィーナの鋭い観察眼に感心しつつも、彼女の前では隠し事はできないと改めて思った。


「まあ、少し思った通りに行かなかったことがあっただけだ。大した問題じゃない。」


トーマがそう言うと、フィーナはホッとしたように微笑み、元気よく言った。


「うん!トーマがそう言うんなら大丈夫だね!」


そして、


「トーマ、一緒に回ろう!」


とフィーナがトーマを誘う。


「わかった、一緒に回ろう…リアナもそれでいいか?」


トーマがリアナに目を向けると、リアナは少し呆れたような顔をしながら答えた。


「フィーナ様が誘ってるんだから、いちいち私に確認しなくてもいいわよ。」


その言葉にトーマは冗談めかして言い返す。


「以前いきなり殺されそうになったからな。」


リアナは一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに反論した。


「な!?あの時はフィーナ様が酷い目に遭っているからだと思って…」


トーマはリアナを遮るように笑いながら、


「冗談だよ。」


と言った。その揶揄にリアナは少しムッとしながらも、なんとなく笑みを浮かべていた。


その様子をフィーナは楽しそうに眺めていた。そして三人で祭りを回り始め、屋台でお互いに品を勧め合ったり、ゲームに挑戦したりと収穫祭を堪能する。


祭りの灯りが夜の街を照らす中、トーマはこの世界に来てから初めて心の底から笑えていた。



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