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最弱スキル【反転】で無双する異世界冒険譚  作者: いわたん
第三章 強くなるために
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35.英雄の領域

受付嬢が驚きの声を上げたことで、トーマは「やっぱりか」と内心でガッツポーズを決めた。自分の感覚が間違っていなかったことに満足しつつも、受付嬢が読み上げるスキルの内容に耳を傾けた。


「トーマさんの新しいスキルは【不屈】と【仲間】です!」


その言葉にトーマは思わず目を丸くした。

「…え?どういうことだ?」

と困惑するトーマに、受付嬢も困った顔をする。


「実は…この魔水晶ではスキル名は分かっても、詳細までは分からないんです…」


スキルが増えたこと自体は喜ばしいものの、その中身が分からずトーマは首を傾げた。その時、受付嬢がギルド長室から出てきたメンターを見つけて呼び止めた。


「あ、ギルド長!」


メンターがトーマの顔を見るなり、「また何か起こったのか?」と言いたげな表情で近づいてきた。


「何があった?」

とメンターが受付嬢に尋ねると、

「トーマさんに新しいスキルが二つも増えました!」

と報告。メンターは一瞬固まり、今日二度目の驚愕の表情を浮かべた。


「トーマ…お前、いったい何者だ?」


メンターの問いに、トーマは肩をすくめて答える。

「何者でもないだろ。ところで、この新しいスキルの詳細が知りたいんだが、教えてくれるか?」


メンターはため息をつきながら答える。

「【仲間】についてはさっぱりだ。こんなスキル、見たことも聞いたこともない。ただ【不屈】に関しては聞いたことがある。」


その言葉にトーマは身を乗り出した。

「どんな能力なんだ?」


「【不屈】は…ピンチの際に、自分の力を限界以上に引き出す能力だ。過去の英雄たちは皆これを持っていたとされる。」


トーマはその説明を聞いて、自分にとって有用なスキルだと直感した。

(ピンチになりがちな俺にはうってつけのスキルだな…)

と心の中で思った。


「じゃあ【仲間】について知るにはどうすればいい?」

とトーマが尋ねると、メンターは少し険しい表情を浮かべた。


「それを知りたいなら、プロセリアンド法国の正教会にある魔結晶を使うしかない。ただし、その使用には教皇、つまり法国のトップの許可が必要だ。」


その説明を聞いたトーマは、難易度の高さに落胆した。

この【仲間】のスキルが今の自分の疑問点の原因だから知る術がないことにもやもやがより深まってしまった。


「まあ、分からなくても問題ないさ」

とメンターが続けた。

「お前はもう英雄の領域に足を踏み入れた存在だ。」


「英雄…?」

トーマは首を傾げる。


メンターは続ける。

「過去の英雄たちは、スキルを複数持っていた。中には、七つのスキルを得て世界の真理に触れたと言われる者もいる。スキルを複数持つだけで、その領域に近いとされるんだ。」


その言葉に、トーマはスキルの希少性を改めて実感した。

「スキルを持ってる人間ってそんなに少ないのか?」


「当然だ。スキルを持つだけで一握りの才能だし、それだけで天才と呼ばれる分野がある。お前みたいに複数持つ奴なんてほとんど聞いたことがない。」



メンターとの話を終えたトーマは、1人で収穫祭の雰囲気を味わうことにした。街の通りは人で賑わい、露店からは美味しそうな匂いが漂ってくる。トーマは肉串を買い、食べ歩きながらかつての記憶に浸った。


(ユウトとミサキと…屋台を巡ってバカ話してたっけな…)


日本にいた頃の光景が頭をよぎり、トーマはどこか懐かしさと切なさを覚えた。もう二度と戻れないかもしれない日常、それがトーマを感傷に浸らせた。


そんな中、鎧をまとった一団とすれ違う。

(珍しい装備の奴らだな…)

とトーマが思った次の瞬間、

その先頭を歩く金髪の長髪の男に、トーマは思わず目を引かれた。彼から放たれる強者の圧を、無意識に感じ振り返ってしまう。


男もまたトーマを見て振り返り、こちらに歩み寄ってきた。


「やあ、君はこの街の冒険者かな?」

と柔らかな笑顔で話しかけてくる。


「ああ…」

とトーマは返答する。


「いきなり話しかけてすまないね、私はプロセリアンド法国騎士団長のシリウスだ。君の名前は?」


その言葉に、トーマは相手が一国の騎士団長と聞き、内心驚きつつも名乗る。

「トーマだ。」


「なるほど…トーマか、いい名前だね。覚えておくよ。また近いうちに会うだろうね。じゃあね。」

そう言い残し、シリウスは部下たちを連れて去っていった。


彼の姿が見えなくなると同時に、トーマは全身に汗をかいていることに気づいた。

(勝てるイメージが湧かなかった…)

それほどに実力的にも圧倒的な存在感だった。


「世界は…まだまだ広いな。」

トーマは小さく呟き、収穫祭が盛り上がる通りを再び歩き始めた。

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