34.修行の後
トーマたちはお互いのステータスを確認した後、フォーメーションを再確認してモンスター討伐を開始した。基本的なフォーメーションは、アルターを中心に前衛をリアナ、後衛をトーマとフィーナが担当する陣形だ。耐久力の高そうな大型モンスターには、リアナとフィーナが撹乱し、トーマの【反転】で有利な形を作り出してアルターが一刀両断する形をとった。一方、群れをなすモンスターには、リアナとフィーナが連携を崩しつつ、トーマとアルターが確実に仕留める形を取った。
最初は未知のモンスターに驚く場面もあったが、チームの連携が徐々に洗練され、どんな敵に対しても危機に陥ることなく討伐を成功させていった。1週間にわたる戦闘の結果、彼らのステータスは次のように向上していた:
トーマ
Lv130
ATK: S
DEF: S
INT:S
RES: SS
AGI :SS
アルター
Lv150
ATK: SS
DEF: SS
INT:C
RES: A
AGI: A
リアナ
Lv100
ATK:B
DEF: A
RES: A
INT: B
AGI: SS
フィーナ
Lv90
ATK: C
DEF: B
INT: SS
RES: S
AGI : C
「私、すごくない!?」
とリアナは興奮気味に声を上げた。アルターも静かに自分の成長を確認しながら、
「まだこんなに成長できるとは…」
と感慨深げだった。
特にフィーナの成長は目覚ましく、今や中層のモンスターとも単独で戦えるほどの実力を身につけていた。
しかし、トーマだけは自身の成長に疑問を抱いていた。レベルは上がっても数値としての変化が見られず、焦りを感じていたのだ。
そんなトーマの様子に気づいたフィーナが
「大丈夫?」
と優しく声をかける。
「平気だ」
と答えたトーマだったが、アルターが口を挟んだ。
「数値だけがすべてじゃない。全く反映されない時期もあるものだ。ただ、最終的には自分の感覚が全てだから気にするな。」
アルターの言葉にトーマは素直に頷いた。この1週間で、トーマはフィーナの指導のもと風魔法のウィンドを使えるようになっており、撹乱だけでなく自身の動きを風で変えるなど、戦闘の幅が大きく広がったのを実感していたのだ。
アルターが
「一旦街に戻るか」
と提案すると、リアナはすぐに
「賛成!流石に体を綺麗にしたい!」
と応じた。フィーナはトーマの意見を待ちつつ「トーマが戻るなら…」
と控えめに言った。トーマもアルターの提案に賛同し、一行はイニツィオの街に戻ることにした。
イニツィオの街に着くと、賑やかな雰囲気に包まれていた。
「何かあったのか?」
とトーマが呟くと、リアナが
「あっ!今日は年に一度の収穫祭だったはず!」
と思い出したように言った。
「そいつは酒が美味く飲めそうだな」
とアルターが笑顔を見せる。
「飲むのはいいが、ボロは出すなよ?」
とトーマが釘を刺すと、アルターは
「わかってる」
と軽く返した。
「まずはギルドに行って、討伐したモンスターの素材を売ろう」
とアルターが提案し、一行はギルドへ向かった。
ギルドに着くと受付嬢が「あ、皆さんお帰りなさい」と声をかけてくれた。そのままアルターが
「換金をお願いしたい」
と受付嬢に換金を依頼すると、
「はい!こちらにどうぞ」
と言い、アルターがマジックバッグから素材を取り出す。
その討伐素材を見た受付嬢は
「えぇぇぇぇぇ!?」
と驚愕の声を上げた。それもそのはず、素材はどれも貴重で、さらにその量も尋常ではなかったのだ。
受付嬢の叫びに周りがざわつき始め、変な目で見られ始めたため、
「まだあるんだが、別室で対応してもらえないか?」
とアルターが提案すると、受付嬢は慌てて奥に引っ込んだ。少しして戻ってくると
「奥へどうぞ」
と案内され、一行は別室へ通された。
そこにはメンターが待っており、開口一番
「随分とやってくれたようだな…」
と呆れたように言いながら椅子を勧めた。
「お前さんたち、一体どこで何をしてたんだ?」
と尋問みたいな雰囲気で質問が始まる。
「ゲヘナの森の中層で修行してた」
とトーマが答えると、メンターは驚愕の表情を浮かべた。
「本当か?」
と確認するメンターに、アルターが
「トーマの言う通りだ。中層でモンスターを狩り続けてたんだ。その素材を全部売りたい」
と返答した。
メンターは溜息をつきながら
「…わかった。全部買い取る。ただ処理に時間がかかるから、明日また来てくれ」
と言い、話を締めくくった。
ギルドを出てアルターが
「さて、これからどうする?」
と問いかけると、リアナは
「せっかくだから収穫祭を楽しみましょう!フィーナ様!」
と提案した。
「俺も美味しい料理と酒が飲みたい」
とアルターも同意する。
フィーナは
「トーマも一緒に…」
と誘ったが、トーマは
「俺は1人でやりたいことがある」
と同行を断った。
「そっか…」
と寂しそうにするフィーナだったが、トーマは
「別にお前と一緒に行動したくないわけじゃない。だから気にするな」
とぶっきらぼうなフォローをした。それを聞いたフィーナは笑顔を見せ、アルターとリアナとともに収穫祭の喧騒へと消えていった。
「さて…」
フィーナ達を見送ったトーマは、ギルドの受付に改めて向かった。受付嬢は
「トーマさん?まだ何かありましたか?」
と言ったので
「魔水晶でステータスを見てもらえるか?」
と依頼した。受付嬢は
「もちろんです!」
と言い、魔水晶を取りに行った。
トーマは魔晶板の数値に納得がいっていなかった。最初はアルターの言うように数値では見えない強さ、 SならSの数値内で強くなったのだと理解しようとしたが、アルターの SSの値を見た時にやはり納得出来ないものがあったからだ。そこで一つ思い当たることがあり、ギルドの魔水晶ならと思い至った。
「お待たせしました!どうぞ!」と受付嬢が元気良くトーマの前に魔水晶を置く。
この世界に来た時、トーマにとって魔水晶は最悪をもたらすものだった。今でもあの時、魔水晶に触れなければ…と思う時もある。しかし今は期待しかなかった。トーマはおそるおそる魔水晶に手を置いた。魔水晶が眩い光を放った。光が収まり受付嬢が魔水晶の内容を確認する。すると、
「えぇぇぇぇ!?」
受付嬢が本日驚愕の声を上げた。
「トーマさん、スキルが二つ増えています!」




