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最弱スキル【反転】で無双する異世界冒険譚  作者: いわたん
第三章 強くなるために
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30.再びゲヘナの森へ

トーマたちは宿屋での今後の方針で強くなるためにゲヘナの森の中層にに挑むことを決意する。トーマ、リアナ、フィーナ、そしてアルターの4人は、強くなるため、そして奪われたものを取り戻すために、その危険な地帯へと向かった。


ゲヘナの森に入ったトーマたちは、まず外層を進みながら次々と現れるゴブリンやウルフたちを倒していく。リアナとフィーナは上手く連携して、集団で襲ってくるウルフたちを難なく倒すことができていた。


「いい連携だな」


とアルターが感心しながら、リアナやフィーナの死角から襲いかかるウルフを短剣で斬り倒した。


(さすが元A級だな…)


トーマは心の中で感心していた。アルミラ洞窟のゴブリンと比べ、ゲヘナの森のゴブリンの方が格段に強く感じた。それでもアルターの助けがあるおかげで、リアナとフィーナだけでは少し苦戦するかもしれなかったモンスターたちも、次々と撃破されていく。アルターの短剣を使った身のこなしは見事で、さらに新しく組んだパーティのフォローも初見で完璧にこなしているのには感嘆せざるを得なかった。


トーマたちはどんどん中層を目指して進んでいくが、進んでいくと突然、空気が変わった。明らかに今までとは違う圧迫感があり、ウルフやゴブリンなどのモンスターがまったく姿を見せなくなった。


「ここからが地獄だぜ。」


アルターがそう言う。


「ここが中層…」


トーマは心の中で、以前戦ったブラッドグリズリーのことを思い出していた。血の気が引くような思いが蘇るが、同時にあの戦いが自分に【反転】の可能性を気づかせ、強くなれたきっかけでもあったことを思い出す。


「本当にこの先に行くの?」


リアナがトーマに問いかける。トーマはきっぱりと答える。


「行くに決まってるだろ。行かないならここでさよならだ。」


リアナは半泣きになりながら言う。


「行くわよ! 行けばいいんでしょ!」


そんなリアナをフィーナが慰めるように


「大丈夫、大丈夫」


と背中を軽く叩いた。しかし、アルターも心配したのか、


「でも、本当に大丈夫か? 俺でもここは苦戦するぞ?」


トーマはそれに対して断固とした声で返す。


「だからこそ…だろ?弱い所で戦っても修行にならない。武力での強さは、強者からしか得られない。俺たちは強くなるんだ…誰にも奪わせないために。」


トーマは日常を奪われた。リアナは守るべき場所を奪われ、フィーナは人権を奪われた。そしてアルターも、大切な仲間と自分自身を奪われた。もう誰にも奪わせないために、彼らは強くなる決意を新たにしていた。トーマはその決意を胸に中層へと進み始めた。


中層に進み始めると、早速モンスターに遭遇する。その相手は奇しくも以前トーマが戦ったブラッドグリズリーだった。しかも、今回は2体だ。


「戦闘体制!」


アルターが号令をかけ、全員が戦闘準備を整えた。しかし、1体でもAランク級のモンスター、それが2体も現れるとなると厳しいのも事実だった。だが、その中でただ一人、冷静な表情を浮かべていたのはトーマだった。


「片方は俺がやる。もう片方はそっちでなんとかなるだろ?」


そう言うトーマに対し、アルターが反対する。「トーマ、強いのはわかるが、それは無茶だ! 大剣で俺が吹き飛ばして、一旦引くべきだ!」


しかし、トーマはそれを遮るように言った。


「引いたらまた負けるぞ。俺なら大丈夫だ。なぜなら前もアイツを一人で倒しているからな。」


その言葉にアルターは驚き、そして納得する。


「そうか…わかった。一体の方は俺たちでなんとかする。トーマ…頼んだぞ。」


アルターのその言葉にトーマは背中越しに片手を挙げて応えた。そして、彼はまっすぐにブラッドグリズリーの方へと歩みを進めていく。


彼の目には、恐怖も、ためらいもなかった。ただ、もう二度と奪われないための決意だけがそこにあった。再びあの巨大なモンスターと対峙するその姿は、強者としての覚悟を感じさせるものだった。ブラッドグリズリーが唸り声を上げる中、トーマは微動だにせずその一歩を踏み出した。


「さあ…やってやるさ。」


その声は小さかったが、誰よりも強い意思を持った者の声だった。トーマは一瞬の隙も見逃さず、自分の力を信じて、ブラッドグリズリーとの戦いへと飛び込んでいくのだった。


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