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28.グラス改めアルター

メンターから『道化の首飾り』を受け取ったトーマ一行は、アルミラ洞窟に戻った。ゴブリンを倒しながら奥へ向かうと前にトーマとグラスが戦った場所で、グラスが座って待っていた。


「どうだった?」


グラスが落ち着いた声で問いかけると、トーマは「メンターからあんたのことを聞いた」


と答えた。その言葉に、リアナが続けた。


「まさか、ギルド長とあのグラスがそんな関係だったなんてね。」


グラスは少し目を細めて、懐かしむように言った。「まあ…昔の話さ。」


トーマは少し間を置き、重々しく言葉を発した。「そのメンターからの伝言だが…グラス、死んでくれ。」


突然の発言に、リアナとフィーナは驚愕の表情を浮かべたが、グラスは微動だにしなかった。彼は冷静にトーマを見つめたまま、口を開いた。


「つまり、グラスとしては死ぬ、ってことだな?」


トーマは静かに頷いた。


「そうだ。そして、これを使え。」


トーマは『道化の首飾り』をグラスに差し出した。


「これを使えば、お前の素性を隠すことができるらしい。イニツィオのギルドで冒険者登録もできるように、メンターが手配してくれている。」


グラスは首飾りを見つめながら、少し考え込んだ。「そこまで行ったとしても、俺は有名人だ。どうやってギルドまで行く?」


その問いに、トーマは真剣な表情で答えた。


「頭を切れ。」


「何?」


グラスは一瞬驚いたが、リアナがすぐに補足した。「頭じゃなくて髪よ! 髪の毛を全部なくして、この額当てをつければ、誰もグラスだとは気づかないわ。」


グラスは得心したように頷いた。


「なるほど、わかった。」


そして、リアナは短剣を器用に使い、グラスの髪をきれいさっぱり切り落としていった。切った髪はフィーナによって風で集められ、そのまま燃やされてしまった。短くなった髪に額当てをつけたグラスの姿は、以前の彼とは全く異なるものとなった。


「どうだ?」


グラスが自嘲気味に尋ねると、リアナはため息をつきながら答えた。


「ただの極悪人にしか見えないわね。」


トーマは失笑したが、フィーナだけは


「かっこいい」


とグラスを褒めた。


「それで、グラス、大剣はさすがに目立つ。どうにかならないか?」


トーマがそう尋ねると、グラスはにやりと笑って答えた。


「マジックバックがあるから大丈夫だ。」


彼は小さなポーチを取り出し、大剣をその中にしまい込んだ。そして代わりに短剣を取り出し、腰に装備した。


「短剣を持っていれば、みんな短剣使いだと思うだろ? 短剣も得意だからな。」


「メンターが師匠なら、それも当然か。」


トーマは納得し、次に名前を考えた。


「それじゃあ、名前は…アルターとかどうだ?」


「アルター? なぜその名前なんだ?」


「生まれ"変わる"という意味さ。」


グラスはしばらく考え、微笑んだ。


「生まれ変わるか…ちょうどいい名前だな。気に入った! 今後、俺は新人冒険者のアルターだ。よろしく頼む!」


グラス――いや、アルターは拳を突き出してきた。それに続いて、リアナとフィーナも笑顔で拳を突き出した。


トーマは嫌そうな顔をしたが、やらなければ終わらないな…、と思い、恐る恐る拳を突き合わせた。


こうしてグラス改めアルターを加えたトーマたちは、新人冒険者アルターの登録のためにイニツィオの街へと戻るのであった。


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