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26.グラスとメンター(2)

グラスをアルミラ洞窟に残し、トーマたちはイニツィオの街へ戻った。ギルドに到着し、倒したゴブリンを換金した後、トーマは受付嬢へと話しかける。


「メンターと会いたい、なるべく内密に」


そう頼むと受付嬢は了承し、一旦ギルドの奥に消えた。


数分後、受付嬢が戻ってきて伝える。


「ギルド長の伝言です。ギルド長室にお越しください。」


そう受付嬢が言いながらトーマ達をギルド長室まで案内する。ギルド長室についた後、扉を開けると、メンターがデスクに向かって仕事をしていた。トーマたちの姿に気付くとメンターは手を止め、トーマたちを応接のソファへと誘導した。


「それで、要件はなんだ?」


メンターが問いかける。トーマはためらいなく答えた。


「グラスの件について。」


その言葉を聞くと、メンターの表情が一変した。


「会ったのか!?あいつに?」


驚いた声を出すメンターに、トーマは冷静に言った。


「他言無用を守ってもらえるなら話す。」


メンターは一瞬ためらったが、真剣な眼差しのトーマを見つめ、頷いた。


「分かった。他言はしない、話してくれ。」


トーマはグラスがゲヘナの森に潜伏していると言われていたが、実はアルミラ洞窟にいたこと。そして戦闘にはなったが和解し、今は行動を共にしていることを説明した。


「そのために、あんたの力が必要なんだ。」


メンターは少し考え込み、尋ねた。


「なぜ俺なんだ?」


トーマはシンプルに答えた。


「あんた、グラスの師匠なんだろ?」


その言葉に、メンターは息をのんだ。そして頷きながら言った。


「…本当に、あいつから聞いたんだな。」


納得したメンターは、今の状況をトーマたちに説明し始めた。


「グラスを連れての行動は正直難しいだろう」


メンターの言葉にトーマも頷いた。


「グラスは、現在ナラハ王国から指名手配されている。冒険者ギルドは基本的に国の事情には不干渉だが、依頼があれば協力する立場だ。つまり、現在のグラスは指名手配中で、依頼があれば討伐の対象になりうる。」


その言葉を聞き、リアナとフィーナは不安そうな表情を浮かべた。トーマも考え込んだが、メンターは続けた。


「だから、グラスは一度死ななければならない。」


「死ぬ?」


トーマは驚きと疑念の入り混じった表情でメンターを見つめた。


「そうだ。少なくとも表向きには、グラスが死んだことにしなければならないんだ。それによって彼の存在を隠すことができる。」


メンターは真剣な表情で言葉を続けた。


「そうすることで、お前達やグラスは自由に動けるようになる。」


トーマは黙ってメンターの話を聞いていたが、


「…それはどうやったら可能なんだ?普通に出来るのか?」


メンターはトーマの疑問に答える。


「この首飾り『道化の首飾り』があれば可能だ。」


「『道化の首飾り』?」


メンターは『道化の首飾り』について続ける。


「これは自分の姿性別を偽ることが出来るアイテムだ。本来登録などは不正出来ないようになっているが、これはその不正を唯一可能にする。」


その内容を聞いてトーマは理解した。


「つまり…グラスとしてではなく別人として冒険者になるということか」


「その通りだ」


メンターが頷く。


トーマはメンターの案は確かに最善手だと思った。しかし、同時に大きな疑問を浮かべる。


「あいつの師匠とはいえ、なぜそこまでグラスを助ける案を俺らに言うんだ?」


メンターの案はかなりのリスクがあることは明白だった。この世界に根付いている冒険者ギルドのシステムを否定する内容だったからだ。それを小さな街とはいえ冒険者ギルドの長が行おうとしてる、それがトーマにとって理解出来なかった。


トーマの様子から察したのかメンターが話し始める。


「アイツは…俺にとって息子みたいなもんなんだ。」


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