表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/68

23.vs【大剣】

「あいつは…俺の獲物だ!」


トーマがグラスへと攻撃を仕掛ける。グラスは大剣を盾代わりに構えつつ、カウンター気味に剣を振りかぶり、攻撃の機会をうかがっていた。一方のトーマは持ち前の身体能力を活かし、軽々とグラスの剣を避けながら、素早い格闘で応戦していた。


二人の間で、激しい攻防が続いた。トーマは接近戦を得意とし、グラスに対して拳や蹴りで果敢に挑んでいったが、グラスの大剣を盾にしつつ、隙を見て切り付ける攻撃もまた圧倒的な威力でトーマを狙っていた。しばらくの打ち合いが続いた後、グラスは急に笑い出した。


「こんなに戦いがいのある奴は久しぶりだ!」


グラスは楽しそうにそう言った。その賛辞にトーマは肩をすくめながら返した。


「どーも。でも、お前…【剣聖】や【聖女】とも戦ったんだろ?」


その質問に一瞬キョトンとしたグラスだったが、すぐに冷たい笑みを浮かべて答えた。


「あいつらか?あいつらは暇つぶし程度の相手だった。五年後なら知らんが、今のままじゃ相手にもならん。」


その言葉にトーマは少し表情を曇らせ、短く「そうか…」とだけ呟いた。そしてすぐに自分の戦闘モードへとギアを上げる決意を固めた。


「なら…行くぞ!」


トーマに呼応するかのように、グラスも大剣を肩に担ぎ上げた。そして、ユウトとの戦いで使用した純粋な薙ぎ払いを放つ。この技は広範囲を薙ぎ払い、その威力は凄まじく、ほとんどの相手はこの一撃で無力化される。


グラスが大剣を振るうと、その薙ぎ払いは階層に広がっていく。トーマを最初避けようとした素振りを見せた次の瞬間、直撃した。衝撃波と共にトーマの体が大きく揺れ、ボロボロになりながらも立ち続けた。グラスはその姿に驚きを隠せなかった。


「お前さん…避けられたんじゃないのか?」


グラスは問いかけた。トーマと打ち合っていたからこそ分かっているが、完全にでは無いにせよダメージを最小限に抑えられると踏んでいたからだ。


ただすぐ理由に気づく、なぜなら後ろに控えていたリアナやフィーナが無傷で立っており、その周りが異常なまでに吹き飛ばされていたことに、グラスはすでに気づいていた。そして、トーマの能力が攻撃の方向を変えるものだと察した。


(この身体能力にこの能力か…厄介だな。)


ボロボロになったとはいえトーマはこちらの攻撃の向きを変えることが出来る、つまり攻撃が当たらなければカウンターを喰らってしまう。


(そうなれば現時点での優位性はあってないようなものだな…)


グラスはさらに警戒度を増し、本気で戦う意思を固めた。その様子を見て、トーマは心の中でやれやれと苦笑した。


(俺の心の弱さには嫌気がさす…アイツらなら、自分の身くらい自分で守れただろうに…。なのに、つい【反転】を使っちまった。そして…バレちまったか。)


トーマはそう心の中で嘆きながらも、次の行動に出ることを決意した。


(なら…正面突破あるのみだ!)


トーマはギアをさらに上げ、グラスに向かって突進していった。グラスは近づかせるのは得策ではないと判断し、再度大剣を振りかざし、薙ぎ払いを放った。しかし、トーマはそのまま攻撃を受け、ボロボロになりながらも突っ込んできた。


「ぐぉっ…!」


トーマの渾身の拳がグラスの腹部にクリーンヒットし、グラスはよろけながらも倒れなかった。そして、距離を取りつつ再度大剣を振りかざし薙ぎ払いを放つ。トーマはその攻撃も受け、もう一度渾身の拳を打ち込む。そのたびにグラスはよろけながらも距離を取り、再び薙ぎ払った。


「こいつ…ゾンビか!?


グラスは思わずそう叫んだ。過去に戦ったゾンビモンスターのことを思い出した。手を刎ねられようが、足を切り飛ばされようが、向かってきたあの執念深いモンスターのように、トーマもまた、何度倒れても立ち上がって迫ってくる。


さらに驚いたことに、トーマの体には傷一つなかった。それがグラスに恐怖を抱かせた。次の瞬間、グラスは自身の最強の技を繰り出す決意をした。


「すまない…」


グラスは大剣を高く掲げ、必殺の技「斬鉄剣」を放とうとした。斬鉄剣は一撃必殺の技であり、その威力は絶大で、ゲヘナの森の中層のモンスターさえも一刀両断にする威力を持っていた。


グラスは大剣を振り下ろし、斬鉄剣を放った。しかし…


「【反転】」


「なっ!?」


グラスはトーマのいる場所とは真逆の場所を切っていた。


「これで終わりだ。」


トーマはグラスの真後ろに立ち、拳を振りかざした。グラスは驚愕しながらも回避しようと動いたが、その動きも【反転】で阻まれ、逆にトーマの拳の方向に動いてしまった。


「ぐぉっ!」


トーマの拳がグラスにクリーンヒットし、グラスはついに地面に崩れ落ちた。完全に意識が飛んでいる様子だった。




「この…規格外の化け物が…」


そう呟いたトーマは、力尽きて倒れた。グラスの薙ぎ払いの技は広範囲にダメージを与え、その持続的なダメージを抑えるために【反転】を使い続けたことで、トーマの気力も限界に達していた。


(まったく…アイツといいコイツといい…やんなるくらいの強さだぜ…)


トーマはそう呟きながら、ついに意識を失った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ