side:【剣聖】と【大剣】
ユウトとミサキは、副騎士団長であるドゥースと数名の兵士たちとともに討伐隊を編成し、ゲヘナの森へと向かった。
「ユウト、ミサキ、大丈夫か?」
ナラハ王国副騎士団長のドゥースがユウトとミサキに話しかける。
「ドゥースさん、ありがとうございます。慣れない道ですが大丈夫です!」
「私も問題ありません!」
そう答えるとドゥースはニカッと笑顔を返してまた前へ向き直った。
ドゥースは剛毅な男で、王国でも有数の剣士であった。彼はユウトにとって、訓練をともにする兄貴分のような存在であり、その存在がユウトの心に安心感を与えていた。
ゲヘナの森は暗く、霧が立ち込め、不気味な静けさが漂っていた。森の外層は比較的安全だと言われているが、それでも油断は禁物である。モンスターたちが潜んでいる可能性は常にあり、一行は慎重に進んでいった。
「エリアヒール!」
道中、ミサキは兵士たちに癒しの魔法をかけ、彼らの体力を維持しながら進んだ。彼女の存在は、精神的な支えとしても大きかった。疲労が溜まる中でもミサキの優しい微笑みと、癒しの光は、兵士たちに安堵と勇気を与えていた。
「彼女のおかげで兵士たちの士気が下がっていない。【剣聖】の君といい、本当に規格外だ。」
ドゥースがそう嘆息する。
「皆さんのおかげです。みんなを守りたいから僕たちも力を発揮できるんです。」
ユウトがドゥースにそう答える。
一行はユウトとミサキのおかげで安全かつ安心して進軍して行った。
そして数時間の探索の末、ついに彼らは目的の人物を発見した。
「ちっ、追いつかれちまったか…」
そう言いながらタバコを吸って煙を吐く。
そこに立っていたのは、身の丈ほどもある大剣に寄りかかっていた「大剣のグラス」だった。
彼はユウトたちと対峙しても一服する余裕があった。
そんなグラスにドゥースが声をかける。
「大剣のグラス、お前を国家反逆罪で断罪する!罪なき兵士を葬った罪は重い!」
そうドゥースに言われたグラスは一瞬呆気に取られたが、その後すぐに笑い出した。
「くっくっくっ…誰が罪なき兵士を葬った…だって?」
軽い様子から一転、鋭い目つきで討伐隊を睨みつけ、その存在感はまさに猛獣のようであった。彼の体から放たれる圧倒的な威圧感に、兵士たちは思わず息を呑んだ。
「お前が大剣のグラスか…」
ユウトは一歩前に出て、グラスに対して声をかけた。彼の声には恐れはなく、その眼差しには決意が宿っていた。
グラスはユウトを見下ろし、冷笑を浮かべた。「ああ、俺がグラスだ。おまえは…【剣聖】だな?」
彼の声は低く、そして重かった。その言葉には、自信と余裕が滲み出ていた。
「王の命令だ。罪なき兵士を殺した罪は重い。今ここでお前を倒す。」
ユウトは剣を抜き、その刃が森の薄暗い光に反射して鋭く光った。ミサキもまた後方で魔法の準備を整え、ユウトの後ろに控えていた。彼女の目には恐怖はなく、ただユウトを信じて支えるという強い意志が宿っていた。
「面白い。どれだけやれるか、見せてみろ!」
グラスはそう言うと、大剣を大きく振りかざし、討伐隊に向かって突進してきた。その動きは素早く、一撃で相手を仕留めるつもりであった。ユウトはその攻撃を見切り、素早く剣で受け流す。重い衝撃が彼の体を通り抜けたが、彼は踏ん張りながらも体勢を崩さず、次の一手を考えた。
ドゥースもまたグラスに向かって突進し、その剣技で彼の攻撃を受け止めた。二人の剣が交差し、火花が散る。ドゥースの力強い一撃はグラスの大剣にぶつかり、その場に強烈な衝撃音を響かせた。
「さすがに副団長、腕は立つな…だが!」
グラスはニヤリと笑い、そのまま大剣を振り回してドゥースを押し返そうとした。だが、その瞬間、ミサキの声が響いた。
「ストレングス!」
彼女の魔法が発動し、ドゥースの身体を強化した。打ち負けそうになっていたドゥースはグラスの大剣を押し返す。その光景を見て他の兵士たちの目には再び戦意が宿った。
ドゥースや王国兵士がグラスを押し込んでいる隙にユウトはグラスの死角に入り込む。
「ヘイスト!」
「ナイス!ミサキ!」
ミサキがユウトの素早さをすかさず上げ、ユウトはミサキに感謝を込めて叫びながら、再びグラスに向かって突進した。その剣は一度鍛え抜かれた自信に満ちており、まるで迷いのない光を放っていた。
「行くぞ…!」
ユウトが攻撃を仕掛けると同時にドゥースと兵士たちは一斉に引く。ユウトがこれから繰り出す技を知っているからだ。
「こいつは…!?」
グラスはユウトから感じる圧を感じ大剣を構えて彼を迎え撃つ。
そしてユウトから剣技が放たれる。
「天元連斬!」
この剣技は目にも止まらない斬撃を繰り出し、相手に斬撃を止められてもすかさず反動で逆に切り返す技だ。完全に勢いを止められなければ倒れるまで斬り続けることが出来る凶悪な技でもある。グラスが強敵だからこそユウトは自分の秘技を放つ。
勢いに乗ったユウトの斬撃がグラスの大剣にぶつかり、激しい剣戟の音が響き渡り、天元連斬が発動し続ける。グラスはその剣を捌こうとするが、捌けば捌くほどユウトの斬撃が速く鋭くなっていく。
(こいつはやばい!?捌ききれねぇ…)
グラスがそう思った瞬間、ガードが崩されユウトの斬撃が入り始める。
「これで…終わりだ!」
ユウトが渾身の力を振り絞り天元連斬を叩き込む。
「ぐおおおおおおおお!」
グラスの体がユウトの斬撃で切り刻まれる。
そして遂にグラスがその場で倒れたのだった。




