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17.非情と無情

「そこまでだ」


いきなりトーマに声をかけられたクルスは一瞬驚いたが、すぐに鼻で笑いながらトーマを見た。


「なんだ、新人じゃないか。」


クルスはそう言って大げさにトーマを憐れむような態度を取り始めた。


「かわいそうに…せっかく冒険者になれたのに余計なものを見てしまったから明るい未来が…パァだな!」


そして高らかに笑い始めた。


トーマは無表情のままクルスを見つめた。


「その子を離せ。」


その言葉を聞いたクルスは再び嘲笑を浮かべ、


「お前みたいな新人に俺の楽しみを奪う権利はないぜぇ?」


そう言うと素早くナイフを取り出し、その場でトーマを翻弄しようと身軽に動いた。盗賊のようなスタイルで、素早さを生かしてトーマの周りをぐるぐると回りながら隙を狙おうとした。


「へっ、お前みたいな鈍重な奴には、俺の速さは見えないだろうよ!」

クルスはトーマの周辺の空間を自在に動き、さらに翻弄しようとスピードを上げた。

(てめぇみたいな調子に乗った新人は八つ裂きにされる運命なんだよ!)

そしてトップスピードになったタイミングでトーマに仕掛けに行った。


しかし、次の瞬間、トーマの蹴りがクルスの右足を捉えた。そしてクルスの右足は文字通り消し飛び、クルスは何が何だか分からないまま地面に転がった。


「……なっ……なっ…?!」


最初、クルスは何が起こったのか理解できなかった。


(なにを…何をされた!?)


そう思った瞬間、自分の右足がなくなっていることに気づき、彼は絶叫した。


「俺の足があああああ!!」


絶叫しながらもクルスはそれを行ったであろうトーマに対して恐怖した。そして地面に這いつくばり、必死に自分の足のあった場所を押さえながら命乞いを始めた。


「頼む!…助けてくれ…!金も女もくれてやる!だから命だけは…!」


しかし、トーマの目には一片の情けも浮かんでいなかった。彼はクルスを冷たく見下ろし、無言のまま拳を振り下ろした。その拳がクルスの体に当たった瞬間、彼の体は肉塊と化した。


奴隷商はその光景を見て、震えながらその場に崩れ落ちた。


その様子をトーマは見ながら奴隷商へと向かっていく。


「た、助けてくれ…!何でもするから…!」


「クズの戯言なんて聞く価値もない」


トーマは奴隷商の懇願にも耳を貸さず、拳の一振りで彼を肉塊に変えた。辺りには血の匂いが漂い、静寂が訪れた。




トーマはそのまま少女の方に向き直り、ゆっくりと近づいた。少女はたおれて倒れて状態で意識が混濁しているようだった。そんな状態でもうつろな目でトーマを見つめていた。


「生きたいか?」


トーマは冷静に問いかけた。少女は息も絶え絶えに「は…い…」と答えた。その声は小さくか細かったが、その中には確かな意志が感じられた。


トーマは頷き、手刀を使って少女の首輪と手錠を壊した。


そして少女を背負い、洞窟の出口へと向かって歩き出した。


(さて...これからどうするかな)


トーマは成り行きとはいえ助けた少女をどうするかを考えながら洞窟の出口へと向かっていった。


そして洞窟の出口の明かりが見えた際に少女を見ると、少女の耳が尖っていることに気づいた。


(もしかして…エルフか?)


背負っている少女がエルフの可能性を考えた時にトーマはこの世界のエルフについて何も知らないことに気づいた。


(エルフと言えば長寿だが…この世界でも一緒なのか?リアナに聞いてみるか)


トーマはそう思いながら、少女を背負ったままイニツィオの街へと向かって歩き続けた。

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