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9. ブラッドグリズリーとの死闘

東真はブラッドグリズリーの巨大な体に向かっていた。その赤い毛並みが月明かりに照らされ、まるで地獄から来た怪物のように見える。ブラッドグリズリーは唸り声を上げ、猛然と突進してくる。その巨大な爪が空を切り裂き、鋭い牙が光る中、東真は何度も間一髪でその攻撃をかわし続けた。しかし避け切れず左腕が切り裂かれる。


「くっ…【反転】!」


東真は左腕を【反転】させ、ブラッドグリズリーの攻撃を最低限で避けながらその周りで隙を窺っい続けた。そして左手は先ほどの戦いで切り裂かれ、激しい痛みが全身に走っていたが、【反転】の力を使い、自分の傷を回復させた。 【反転】によって傷が癒えるたびに、彼の体には再び力が戻り、痛みを押し殺して動き続けることができた。


ブラッドグリズリーは執拗に東真を追い詰めようとする。その動きは驚くほど素早く、東真の目には次々と襲いかかる巨体が視界を埋め尽くすように映った。東真はその攻撃を何とか搔い潜りながら、ブラッドグリズリーの隙を突いて目を狙った。


「くらえ!」


東真は拳を振り上げ、ブラッドグリズリーの片目に向けて全力で打ち込んだ。その攻撃は確かに命中し、ブラッドグリズリーは痛みに吠えたが、まだ致命傷には至らなかった。それでも彼は諦めなかった。何度も、何度も攻撃を繰り返し、少しずつだが確実にブラッドグリズリーの動きを鈍らせていった。


一晩中続いた攻防はまさに死闘だった。東真は致命傷を何度も負い、その度に【反転】の力で回復しながら戦い続けた。彼の体は既に限界を超えていたが、それでも彼は立ち上がり、ブラッドグリズリーの前に立ちふさがった。


「俺は…ここで終わるわけにはいかないんだ…!」


東真は叫びながら再びブラッドグリズリーに向かって突進した。ブラッドグリズリーもまた、血走った目で東真を睨みつけ、最後の力を振り絞って攻撃を仕掛けてきた。その瞬間、東真はすべての集中力を使い、ブラッドグリズリーの攻撃の向きを変えるために【反転】を発動させた。


「今だ…!」


ブラッドグリズリーの爪が方向を変え、地面に突き刺さった。その隙を見逃さず、東真は全力で跳び上がり、ブラッドグリズリーの片目に向けて渾身の拳を叩き込んだ。その一撃は、これまでの攻撃の積み重ねによって弱っていたブラッドグリズリーにとって致命的なものとなった。


「グォオオオオオオ!」


ブラッドグリズリーは苦しげに吠え、巨大な体がぐらついた。東真はそのまま反対側の目にも攻撃を加え、怪物の視界を完全に奪った。ブラッドグリズリーは足元がふらつき、やがてその巨体が地面に倒れ込んだ。


息を荒らげながら、東真はその場にへたり込んだ。全身は痛みで満ちており、体中に刻まれた傷は数え切れなかった。しかし、夜明けの光が森の中に差し込む中、東真は勝利を確信した。


「俺の…勝ちだ…」


東真は疲労で目を閉じ、静かに深呼吸を繰り返した。ブラッドグリズリーの巨体は動かなくなり、森の中には静寂が戻っていた。一晩中続いた死闘の末、彼はついにこの圧倒的な敵を倒したのだ。


「これが…俺の力…」


東真は静かに呟き、自分の手を見つめた。その手にはまだ震えが残っていたが、同時に確かな力を感じていた。【反転】という最弱のスキルと思われていた力が、ここまで使える能力だと分かった。東真は自身に【反転】を使い傷を治し、立ち上がり目の前に息絶えているブラッドグリズリーを見る。


「最悪な相手だったけど…お前のおかげで生き残れそうだ。」


そして、「ありがとう」と心の中で言いつつ、死闘を繰り広げたブラッドグリズリーを背にして歩き出す。


夜明けの光が彼の背中を照らし、彼の足元に長い影を落としていた。その影は、これからの彼の試練と希望を象徴するかのように、静かに森の中に伸びていった。

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