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乙女な神官戦士と魔法学院教授の異世界法医学ファイル~ボク、スパダリでハーフエルフの先生と一緒に完全犯罪は見逃さないの!~  作者: GOM
第3章 王国内乱、ミアを襲う過去の怨念。

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第22話(累計 第44話) 事件の顛末。そして……。

「結局、どういう事件だったの。せんせー、ボクに教えてよー」


「そうですわねぇ。アタクシの提示した情報をお兄様がどう整理したのか、直接聞いてみたいですの」


 今日も平和な王都。

 冬の声が聞こえつつある中、風もなく日の当たる街は暖かい。

 フィンの研究室には、今日もミアとマリーが入り浸っている。


「はぁ。私には研究する暇も余裕もないのか。マリーは全部知っているだろう。キミの『力』なら、犯人たちの頭の中を全部覗き込めるだろうし。ミアくんもミアくんだ。今回の事件は旧帝国がらみ。中心になっていたのはキミの身柄だ。警察で得た情報で分からんのか?」


「だって、怨嗟いっぱいの心を毎日覗いていたら、アタクシの心は荒んでしまいますの。その点、可愛い義姉。ミアちゃんの心は、いつ覗いても綺麗でキラキラ。まるで春の花畑。あ、最近は勝手には覗いていないですわよ、ミアちゃん」


「ううん。おねー様になら、いくら覗いてもらっても良いよ。ボクの頭の中は、せんせーと結婚する事、大好きな人たちを守る事だけだもん。もちろん、その中におねー様も居るよ!」


「あーん、可愛いよぉ、ミアちゃん」


 フィンは目の前で義姉妹がいちゃつくのを見て、大きなため息をつく。


「ふぅ。では、私の個人的推理を加えての推論で良いのなら話そう。今回の事件は、旧帝国との戦役から始まる。そこで起きた多くの悲劇から生み出された怨嗟が今も続いていたのが、原因だろう」


 フィンは書き物をしていた机から目を外す。

 マリーに付き従う老執事から茶を貰い喉を潤しながら、事件のあらましを話し出した。


「ボクが最後に会った元帝国の人たちも、王国の事を随分と恨んでいたもんね」


「いくら戦争。国家同士の合法な殺戮と言いましても、恨みは発生しますわね。こと、民間人がいらっしゃる街を住民ごと焼いたら恨みしか発生しませんですしね」


「同じ様な事は、私も聞いたことはある。ある『街』では一発の『爆弾(ファットマン)』で十数万人の住民が亡くなった事もある。民間人、銃後の民が戦争に巻き込まれる事は、かならず避けなければならん」


 ミアとマリー、共に今回の事で知った戦争で発生する悲劇を悲しい表情で語る。

 フィンも己が知る戦争での最大『民間人虐殺』の事を呟いた。


「それは悲しいよね、せんせー。ボク、そんな話初めて聞いたよ。どんな爆弾なの? 一発でそんなに人が死んじゃうなんて?」


「あら、お兄様。『迂闊』な発言は命取りですわよ」


「え、おねー様。それ、どういう事なの? せんせー?」


「え、えっとな。『とある』古代文書に書いてあった話だよ。そ、その文書にはこうもあるな。戦争は最終手段、戦う段階で負けているともね。民と資源、資金に食料。それらを得ようとして、得るもの以上の被害を出していたら意味がない。帝国も、その例に出した『国』も民を総動員までしなければ戦えなかったのが敗因であろう」


 迂闊な発言にマリーがフォローを入れたので、なんとかフィンは誤魔化す。


「ふーん。まあいいや。でも、そんな悲劇が本当は帝国を裏で操っていた奴が起こしたのは、悲しいよね。無実だった子爵様の一家が犠牲になっちゃって……」


「そ、そうだな、ミアくん。マリー、あの扇動者くんからの証言は得られたんだろ?」


 単純なミアが細かい事を気にしないので安心し、フィンは話題変更にとマリーに事件の粗方を知っているだろう人物からの情報を尋ねた。


「ええ。彼は色々と教えてくださいました。あ、ミアちゃんにありがとうと言ってましたわよ。彼、すっかり闇が晴れたお顔でしたの」


「そーなんだ。嬉しいな。これで、少しでも悪い連鎖が止まればいーとボクは思うの」


「だね、ミアくん」


 その後も三人で今回の事件に関わる事を色々話し合った。


「で、ミアくんはどうするんだい? キミは望まないとは思うけれど、帝国の正当後継者。復讐はしないとして、元帝国の人々に対して何かするのかい? 知ってしまった悲劇を黙っていられるキミじゃなのは、よく理解しているから」


「お兄様、ミアちゃんを危険な立場に追い込むのはおやめくださいませ。今回の件も、闘技場に集まった方々については聴取後に他言無用という神殿契約までして隠してもらっているんですから」


 フィンはミアがどう動くのか尋ねる。

 ミアは動くことで、彼女が危険になるのは望まないが、これまでもミアの行動で事態が大きくなってしまった事が多くあるのを心配している。


 マリーも同様にミアの事が心配だ。

 残酷であるが、秘密を守るのは知ってしまった人間の口を「物理的」に塞ぐのが確実で早い。

 だが、マリーもミアも、そしてフィンもそんなことはやりたくない。

 ということで折衷案としてミアや事情を知るクロエら、高位神聖魔法が使える者達によって、ミアの身元については他言しないように契約魔法が行われた。


「それでも街の噂では、今回の事件を解決したのは帝国の姫君だって話が既に流れている。壁新聞にすらなっているのは油断はならんぞ、ミアくん」


「ミアちゃんが姫様という事について話しますのは禁じられてますけど、事件の事を話すなとは契約してませんしね、お兄様。皆、ミアちゃんに感謝してますから、しょうがないですわ。後、作戦に参加した兵士や他国の方々から話が流れるのもね」


 巷では、帝国の美しい姫君が王国との再度な戦争を止める為に活躍し、民を癒したという噂が流れている。

 壁新聞などでは、超絶美少女のイラストが書かれていた。


「あれ、見ておとーさんやおかーさんは感動してたよ。ボク、あんなに美人だったんだねー」


「このばかぁ娘がぁ! はあ、私の気苦労はミアくんの一生分続くのだろうか?」


「お兄様、観念なさい。それとね、いつかは『あの事』をミアちゃんにもお話ししましょうね」


 ノウテンキに両親が娘の活躍を喜んでいたと笑顔で話すミアに、フィンは毎度のカミナリを落とした


「ん? 何なの、おねー様。せんせー、また何時か話してね」


 ミアはフィンに何か隠し事があるとは思ったが、今は良いという。

 そして真顔になって自分の思いを二人に告げた。


「ボクね、表舞台には出たくないけど、内緒でみんなが幸せになれる様に活動したいと思うんだ。せんせー、おねー様。ボクをずっと助けてくれる?」


「ああ、任せておけ」

「ええ、可愛いミアちゃんの為なら」


 大好きな二人が自分の思いに即時快諾してくれた事で、ミアはとても嬉しくなり、白い頬を薔薇色に染めた。


「ありがとー! せんせー、お姉さま。だーいすき」


「はい、抱きつくのは禁止! さて、ミアくんには近日中に行われる授与式の準備をしてもらわねばならん。今回の事件解決の功労を陛下自らおこないたいそうだ。騎士爵(ナイト)、準貴族称号の授与と聞いている。これで伯爵家への嫁入りでも身分的な問題は無くなったな。まあ、私は一切気にしないが」


「アタクシ、ミアちゃん用のドレスを準備してますの。さあ、最高の美少女騎士爵さまに飾り立てますわよ、おほほほ!」


 だが、フィンとマリーからとんでもない事を聞き、ミアは固まった。


「……え? えええ?? ボク。そんな話、何も聞いてないけど??」


「だって、今朝がたに王家から私とマリー宛に連絡が来たばかりだからな。さて、マリー。ミアくんにみっちり礼儀作法を叩き込むぞ」


「了解です、お兄様。うふふ、合法的にミアちゃんを弄りまわせますわー!」


 二人がにやりとミアを見る様子、そして騎士爵の授与というとんでもない話に恐怖を感じ、思わず悲鳴を上げながら後ずさりするミア。


「た、たすけてぇぇぇ」


「ミア様、今回はしょうがありません。観念なさってくださいませ。フィンエル様、マルグレット様。くれぐれもお手柔らかに」


 マリーの老執事は、自分が仕える若き主たちの騒動を見てクスリと笑う。

 この若者たちが、世界をより幸せにしていくだろうことを感じて。


「あーん。誰かたすけてー! ボク、お姫様なんてなりたくないよー」


 冬前なのに小春日和の王都。

 乙女の嬉しい悲鳴が響く平和が続くことを誰もが願った。


「せんせー、ボクぅ、どうしよー」

「はいはい。私がキミの一生を責任持ちますから、安心しなさい」


 フィンは、ミアの頭をいつものように優しく撫でた。


(第1部完結)

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