32.新たな仕事と謎の女性
アイデアが連続で降りました。
(早水 勇雄視点)
俺と彼女2人が初めてヤってから数週間が経過した5月下旬……
ーブ~!……ブ~!……ブ~!……ガチャ!
『新人君、突然で悪いが仕事が入ったぞ!』
「……そうですか……」
早朝にかかって来た電話で、俺は理穂さんから仕事が入ったという情報を聞く事になった。
『ちなみに、今回私達と共に行く人員も少々イレギュラーでな。……何故か護衛のS級探検者に加え、ネリル君と火毘輝君も同行せよとのお達しが……』
「……何でですか?」
いやまあ、ネリルは分かるぞ?
でも火毘輝に関しては意味不明だ。
『……私も意味不明だったが、取り敢えず既に回収済みだ。……ちなみに、今回も護衛のS級探検者の1人は泥花君だ』
「やっぱりか……ん?……1人?」
『もう1人居るんだ。……とは言っても、そっちは現地集合だがな……まあ、それはそれとして早く外に出て乗りたまえ!』
「……また家の前に停めてるんですか……」
『ふむ、他に置き場が無かったものでな……』
ハァ……
色々と言いたい事はあるが、まずは外に出よう。
そう考えた俺は、急いで身支度の準備に入った。
そして数分後……
「理穂さん、お待たせしました!」
「よし、これで全員揃ったな?」
俺の家の前に停められたキャンピングカー。
その横には、理穂さんとネリルとマッドフラワーと火毘輝が、眠そうな表情を浮かべて立っていた。
「何で降りてるんです?」
「何となくだ!」
「ハァ……」
理穂さんのテンションが、以前よりおかしい気がする。
こりゃ、相当大変な日々を過ごしてた感じか?
……そう思っていると……
「おや?……貴女方、もしかしなくても……ふふ、ボクも運が良いですね……」
突然、よく分からない女性が現れた。
その女性は白いローブを羽織り、白と黒のツートーンカラーが特徴的なボーイッシュヘアーが印象に残る容姿をしていた。
「ん?……お前は誰であるか?」
「何か怪しいです~」
「突然何っすか?」
「ああ、やはり怪しまれますか。……では、こうするしかないですね……」
何だ?
この女性から敵意は感じないが……只者でないのは一目瞭然だ。
なのに、そんなこいつが何を企んでいるのか、全く分からないなんて……
「お前、何をするつもりだ?」
「新人君、あまり近付かない方が……」
「……父上、能力お借りします。……【半美半操】、【意識改変】……」
「「「「「うっ……」」」」」
謎の女性がスキル名らしき名前を唱えた瞬間、俺達の意識は朦朧とし始め……
「『……ボクの名前は金村 風斗……れっきとした、貴女方の仲間じゃないですか……』」
「「「「「うぅっ……」」」」」
脳内に、謎の女性の声が二重になって響き続ける。
金村 風斗は……俺達の仲間……
……そんな奴居たか?……うっ!……いや……居たな……
「さて、それでは復唱してください。……ボク、金村 風斗は貴女方の仲間だと……」
「金村 風斗は、俺達の仲間……」
「金村 風斗君は、私達の仲間……」
「金村 風斗さんは~、私達の仲間~……」
「金村 風斗は、吾輩達の仲間である……」
「金村 風斗さんは、アタイ達の仲間っす……」
「ふふ、上手く行きましたね……とはいえ、父上に比べればまだまだですが……」
何故だ?
何か記憶というか認識というか……そこに異物が紛れ込んだ感覚がある……
ただ、俺はそれを異物として認識出来ていない……
「あ、あ~……風斗……そろそろ行くか?」
「そうしましょう。……ボクとしても、あまり残り続けるのは得策とは思えませんし」
「そうだな……」
「……新人君、私は何か違和感を感じるのだが……」
「私も~」
「吾輩もである」
「アタイもっす……」
「……俺もだが……何故か今は行った方が良い気がするんだよな……」
「「「「う~ん……」」」」
そうして何か違和感を感じながらも、最終的に俺達6人はキャンピングカーで出発したのだった……
そして出発から数分後……
「では、私から今回の目的地について新人君やその彼女、更には友人にまで言っておくとしよう」
「本当にややこしいな……」
理穂さんから、今回の目的地について教えて貰える事になった。
……にしてもまあ、ネリルとマッドフラワーは俺の彼女で、火毘輝は俺の友人……
それこそ俺の彼女でも友人でもない仲間は理穂さんを除けば風斗だけって……
このメンバーで行かされるって俺、何かしたか?
とか考えていると、理穂さんが口を開き……
「こほん……今回の目的地だが、福井県のドラゴンダンジョンだ。……何でも、そこで複数人から怪しい男の目撃情報が寄せられたらしくてな。……こうして調査命令が下ったという訳だ」
「そうですか……」
理穂さんから告げられた目的地は、福井県のドラゴンダンジョンだった。
なお、この世界における福井県でも恐竜の化石は多く見つかっているらしいが、発掘された当初はモンスターか恐竜か判別が難しかったとか何とか……
その辺も、この世界の厳しいところなんだろうな……
と、その時……
「……で、もう1人のS級探検者は誰であるか?」
マッドフラワーが、もう1人のS級探検者について理穂さんに聞いた。
「……もう1人のS級探検者だが、銭羽 宝実君になった。……何でも、ドラゴンダンジョンで採れる素材が不足しているとか……」
「う~ん、宝実らしいであるな……」
もう1人のS級探検者は、宝実さんだった。
……ただ、理由が不純な気がするのは俺だけか?
「まあ、それは良いっす。……それより、そのドラゴンダンジョンってS級ダンジョンっすよね?……しかも、相当ヤバめの……」
「そうだな。……少なくとも、ダンジョンボスのダークカイザードラゴンはS級探検者でないと倒すのは厳しいと私は聞いている……」
「そ、そんなダンジョンで特異個体が生み出されたりしたら……いよいよ吾輩達では手が付けられなくなるであるぞ!」
「そうっすね……」
S級探検者でないと倒せないダンジョンボスに、生み出されているかも分からない特異個体、そして七天美の1人……後ろ2つは居るか不明だが、もし居たならばこのメンバーでどうにかなる相手なのか?
「……それを確認するためにも、私達は早く現地へと行かなければな」
「そ、そうですね……」
そうして俺達は、そこからあまり会話をする事もなく、福井県へと向かうのだった……
そして数時間後……
「ふぅ、何事もなく到着したな。……では新人君、私は前回と同じくここに待機させて貰おう」
「分かりました。……えっと、なら後は全員で……」
「あ、ボクから少し良いですか?」
「ん?」
何事もなく福井県のドラゴンダンジョン最寄りの駐車場に到着した俺達だったが、突然風斗が話しかけて来た。
……のだが……
「……生憎、貴女方にボクの事を記憶されたままだと都合が悪いんですよ。……なので……」
「な、何を言っ……」
「【半美半操】、【意識改変】……『貴女方5人は、ボクの事を忘れてください』……」
き、記憶が朦朧として……
な、何だ……この感覚……
……あっ……
「……俺は、金村 風斗を忘れる……」
「……私は、金村 風斗君を忘れる……」
「……私は~、金村 風斗さんを忘れます~……」
「……吾輩は、金村 風斗を忘れるのである……」
「……アタイは、金村 風斗さんを忘れるっす……」
「……では、さよなら……」
「……ん?」
「……私達は何を……」
「確か~、ここに到着して~……」
「……何か忘れている気がするのである……」
「そうっすね。……でも、アタイ達が5人でここに来たのは確かで……あれ?……何でアタイ、人数に言及したんすか?」
「いや、俺達に聞かれても……」
それから、俺達はこの後に宝実さんと合流するまで、ずっと悩み続ける事になった。
しかし、結局俺達がその違和感の正体に辿り着く事はなかったのだった……
ご読了ありがとうございます。
作者の別作品を読んでいない方も読んでいる方も、金村 風斗の事はとある兵器を破壊するために別の平行世界から来たキャラだと思ってください。
気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。
後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。
 




