27.暇潰しの配信巡り
最近、アイデアが湧きません。
(早水 勇雄視点)
S級探検者2人による訓練を受けた翌日、俺は暇潰しとして動画サイトを漁っていた。
「えっと、何か参考になりそうな動画か配信はないもんか……ん?」
動画や配信を漁っていると、とある一文が目に入った。
それは……
「……マッドフラワーのチャンネルで、重大発表?」
……マッドフラワーが枠を立てていた配信で、題名は重大発表……
多分、俺との交際を近々発表すると言っていた事の有言実行だろう。
そう考えた俺は、その配信が始まるのを待つ事にした。
そして数分後……
『皆の者、おはようなのである!……いずれ世界を統べる秘密結社グランドノワールの総帥、マッドフラワーである!』
配信が始まった瞬間、マッドフラワーは勢い良くそう叫んだ。
ちなみに、コメント欄の反応はというと……
・今日はいつにも増して上機嫌だな
・重大発表って何?
・もしかしてグッズ化?
・ワクワク!ワクワク!
……といった感じで纏まりがない状態だった。
『ま、あんまり後に回す事でもないであるから手短に話すであるが……この度、吾輩はとある一般男性……一般男性?……との交際を開始する運びとなったのである!』
「……本当に単刀直入に言ったな……」
俺としては、これで燃えてない事を祈るばかりなんだが……
コメント欄の反応は……
・……で?
・……で?
・……で?
・……で?
「……あれ?」
……思っていたより……というか、全く燃えていない。
何故だ?
『あれ?……てっきり、もっと非難轟々になるかと思ってたんであるが……』
・いや、どうせそのお相手ってオーガダンジョンで一緒に潜ってた早水 勇雄だろ?
・あの配信の日から、ずっと噂にはなってたしな……
・でもそうか……遂にマッドフラワーにも春が来たのか……
・取り敢えず、幸せならOKです!
「えぇ……」
……何だろうな。
ネリルの視聴者とはまた違うというか……
それこそ、まるで最初からガチ恋勢なんて居なかったかの様な……
『えっと……え?……そんな簡単に受け入れるんであるか?……確かに、時折配信で理想の男性像を語っていたであるが……普通、もう少し燃えないであるか?』
・それ以前に、自分が旗を一振りしてモンスターを両断する程の強者の隣に立てるなんて思ってないんで!
・何というか、マッドフラワーをアイドル路線の配信者として見るのは無理があるだろ……
・まあ、それでもチャンネルで登録者の何割かは減りそうだが……まあ燃えはしないだろうな……
・で、発表ってそれだけ?
『そ、それだけであるが……』
・……せめてもう少しさぁ……何か用意するとか……
・本当に交際報告だけかよ!
・そういや、その男ってネリルとかいう配信者とも付き合ってなかったか?
・その辺は大丈夫なのか?
『勿論、ネリルとは仲良くやってるであるが……』
・……う~ん、仲が良好なのは良い事なんだが、いかんせん話題としては虚無過ぎる……
・マッドフラワーの交際開始とか、ぶっちゃけ興味ないしな……
・ちなみに、処女喪失は……
・馬鹿ッ!……流石にデリカシーがなさ過ぎるわ!
「……う、うん……マッドフラワーのチャンネルは視聴者の民度が良いみたいだな……」
何というか、マッドフラワーの配信は時間が経過するにつれてグダグダになっていった。
一応、炎上の心配はなさそうだが……これはこれでどうなんだと言いたくなった。
「い、一旦別の配信を見るか……」
さてさて、他にはどんな動画や配信があるか……
ん?
お、この配信は……
「グッドタイミングだな。……まさか、宝実さんも配信をしてるとは……」
昨日マッドフラワーから宝実さんの配信内容を聞いた後、動画サイトの設定を変えておいたのだ。
……まあ、S級探検者で除外してたので、結構大変だったが……
ちなみに、マッドフラワーのチャンネルも除外を外していたりする。
「さて、どんな配信なんだか……」
そうして俺は、宝実さんの配信を開いた。
すると……
『……っちゅう訳で、グリフォンの羽根はホンマに貴重な素材なんや。……それこそ、傷一つない羽根に出会えるんは一生に1度あるかどうかやな~』
「へぇ、グリフォンの羽根について解説してたのか」
俺もそこまで詳しくはないが、確かグリフォンの羽根って高級素材だったよな?
それこそ、無傷の羽根なら1本で万単位の金額になるとかならないとか……
もっとも、グリフォンの羽根を無傷で手に入れるのは不可能に近いらしいが。
『ほんま、どっかにええ儲け話転がってへんかな~』
・そういや、儲け話とは違うが……今、マッドフラワーが交際報告してるらしいぞ!
『そうらしいな~。……にしても、マッドフラワーはんの事やから、どうせ炎上するかもとか思っとるんやろな~』
・実際、そんな事も言ってたぞ
『それは馬鹿の考える事やわ~。……どうせS級探検者の女は、女として見られへんのに……』
……そう語った宝実さんの声には、寂しい気持ちが内包されている様な気がした。
・そこまで……言うよな……
『男っちゅうんは基本的に、自分より強い女を避けるもんや。……勿論例外は居るやろうけど、ウチやマッドフラワーはんがアイドル的な人気を得る事なんて無理な話や……』
・まあ、俺もマッドフラワーや宝実をそういう目では見れないしな……
・私も……
・僕も……
『別に、それを責めたりせんよ?……せやけど、ウチはウチで会長としての後継者問題があるから……どうにか結婚相手探さなあかんのな~……』
「……話が重くなって来たな……」
俺としてはグリフォンの羽根について聞きたかったんだが……この感じだと、宝実さんの愚痴になりそうだな。
……うん、別の配信を覗くか……
そう考えた時だった。
『……せや、マッドフラワーはんの交際相手の勇雄はん!……あの人ならウチを貰ってくれたり……せんよな~。……ウチ、強い以前に胡散臭い見た目と喋り方しとるし……』
・ちゃんと自己分析出来てエラいな!
・まあ、その見た目はなぁ……
・胡散臭さ全振りのダサさ
・もうちょっとお洒落したら……いやでもなぁ……
「……え?……もしかして、俺狙われてる感じか?」
ただでさえ、押し切られて2人と交際してるのに……3人目が増えるかもしれないのか?
いやでも、美人ではあるんだよなぁ……
全体的に胡散臭いが。
『ま、冗談……はさておき、今日の解説はこれで終わりや。……あ、一応今回もアーカイブは残すさかい、グリフォンの羽根について最初から解説を聞き直したい場合は見てくれたらありがたいわ~』
「……あ、もう終わりなのか……」
それなら、今度こそ別の配信を覗くとするか……
とはいえ、興味が湧く様な配信ってなかなか見つからないもんなんだよな~。
……ん?
この配信者は……
「……これにするか」
そうして、俺は目に入った配信を再生し始めた。
そして聞こえ始めたのは……
『どもども~、佐屋木原チャンネルです~。……いや~、最近はダンジョン関連で色々と騒がれちゃってますが、ぼかぁ今日も今日とて小銭稼ぎに勤しませて貰っちゃったりしてます~』
・はいはいwww
・で、今日は何狩るの?
・小銭稼ぎって……
・もう少し危機感持った方が良くね?
『も~、皆さんも自由ですね~。……今日は……そうですね~、トゲアリトゲナシトゲワームのトゲを回収したいと思ってるんですねこれが!』
・よりにもよってそいつかよwww
・何でそんなレアモンスター狙うかなwww
・トゲアリトゲナシトゲワームwww
・自分から苦行に挑むなよwww
「トゲアリトゲナシトゲワーム……確か、ワームダンジョンに出現するモンスターで、ダンジョンに出現する確率が0.0000001%とかそんな感じの種類だったっけか……」
トゲアリトゲナシトゲワーム……命名経緯に関しては元の世界に居たトゲアリトゲナシトゲハムシという虫と同じなので割愛するが、そのモンスターはとにかく出現……というかダンジョンに生成される確率がとにかく低い。
その分、トゲアリトゲナシトゲワームのトゲは高値で取引されるのだが……そこまで強くないので宝くじ感覚でワームダンジョンに入る者が後を絶たないとか聞いた気がするな……
『あ、それともう1つ!……実は近い内に幼馴染みと食事会する予定でしてね~。……その内の1人が交際を開始して、もう1人が25人目の妻を迎えて、そのお祝いですね~……ああ、泥花ちゃんに翔悟君に炎麗ちゃん、早く会いたいですね~』
・お?自慢か?
・幼馴染みが全員S級のB級探検者ってwww
・確か、昔は炎麗の兄も居たんだっけ?
・でも、彼は5年前に死んじゃったからな……
「……ハァ!?」
暇潰しに見てた佐屋木原チャンネルの配信で、俺は情報の大渋滞を食らった。
え、マッドフラワーや他のS級探検者2人と知り合いで、B級探検者で……
ああ、一旦整理しよう……
そうして俺は、ひとまず落ち着いて情報を整理するのだった……
ご読了ありがとうございます。
なお、マッドフラワーは炎麗の事を"あまり仲良くなれなかった幼馴染み"として見ているため、これまでそれっぽい発言はしていませんでした。
気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。
後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




