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25.特訓1回目終了

何かもう、アイデアが湧きません。

(早水 勇雄視点)


ードガッ!ドゴッ!ドンッ!ベキッ!


「……で、勇雄はん?……あの火毘輝はんっちゅう女は何者なん?」


俺が宝実さんによって数十発は蹴りを入れられた頃、宝実さんからそんな質問が投げかけられた。


「ゲホッ!ゲホッ!……い、いきなり何の話だ!?」


「……火毘輝はんは、一見すると特別な事は何もない女や。……強いて挙げるなら、鉄賀丸はんが結婚した女の連れ子っちゅうぐらいな程には……」


「なら、それ以上は特に……」


「せやけど、それだけやないんよ。……っちゅうんも、火毘輝はんが最近"焦魅組"に入り浸っとるっちゅう情報を得てな?」


「……"焦魅組"?」


いきなり"焦魅組"とか言われても……


いや、多分"ヤ"の付く職業だろうな。


そんな俺の予想は当たったらしく……


「"焦魅組"は都内に居を構えとる指定暴力団で、S級探検者の陰清はんの祖父が組長を、父親が若頭をやっとる組織や」


「え、S級探検者の身内かよ……」


「あ、陰清はんも組に所属しとるで?」


「……終わってるな……って、そんな組織に火毘輝が出入りしてるのか!?」


少なくとも、俺が知ってる火毘輝はヤクザなんかと関わる様な奴じゃなかった筈だが……


「まあ、一応"焦魅組"自体は今となっては珍しい任侠を重んじる極道なんやけど……そこに出入りしとる目的が分からんのやよ」


「だとしても、俺に聞くのはお門違いだ。……俺だって、火毘輝の事はあまり知らないからな」


「そっか、残念やわ~」


それより、俺としてはS級探検者にヤクザが居るって事が信じられないんだが……


「……というか、その陰清さんって人から話は聞けないのか?」


「いやぁ……陰清はん、組の後継者として話しとる時は堂々としとるんやけど、S級探検者として話しとる時は他者を妬む言動しかせぇへんのよ……」


「……絶対に関わりたくないな」


「せやろな~……」


これまで俺が会って来たS級探検者の誰よりもヤバい奴って感じだな……


そもそも、ヤクザって時点で会いたくはないが。


と、その時……


「あ、そういえば吾輩も気になった事があるんであるが……」


「ん?」


マッドフラワーが俺達の会話に混ざって来たのだ。


ちなみに、マッドフラワーにしごかれていたネリルは床でぐったりと突っ伏していた。


「気になったって……何が気になったんや?」


「実は……さっきの手合わせで、火毘輝が本気を出していない様に感じたのである!……ただ、手加減をしてたって訳ではなさそうであるし……でも、それ以上は分からなかったのである……」


「そうかいな。……泥花はんでも分からんとなると、これはしばらくの間は様子見ってとこやろな~」


「……でも、吾輩が見た限り火毘輝は悪い奴ではなさそうなのである!」


「それはウチも同感やな」


結局、マッドフラワーと宝実さんの間で出された火毘輝に関する結論は様子見であった。


……にしても、2人がそう言う火毘輝っていったい……


「ま、無駄話はこのぐらいにして特訓の続きをするのである!」


「ふぇ~!?……か、勘弁して~!」


「勇雄はん、もう一頑張りやで!」


「……お、おう……」


こうして俺は宝実さんに、ネリルはマッドフラワーに、それぞれしごかれたのだった……



そして、数時間後……


「ふぅ~……ほな、今日はこの位にしとこか」


「そうであるな!」


「ハァ……ハァ……お、終わった……」


「も、もう無理です~……」


俺は宝実さんに何度も蹴られ、ポーションを何度がぶ飲みしたか分からない程のダメージを受けながらも反応速度を向上させた。


ネリルの方は知らん。


見る余裕すらなかった。


……が、あの疲労具合を見るからに相当しごかれたんだろうな……


「今日はこれで終わりやけど……まあ、また気が向いたらやったるわ」


「……あ、やっぱり宝実は今回の1回だけであるか」


「当たり前や。……今回はこないだのオーガダンジョンに関する素材や財宝を買い取らせてもろた関係で引き受けたけど……それも今回限りや」


「なら、次からは吾輩1人であるか……いや、厳しいんであるが……」


どうも、宝実さんは今回限りらしい。


しかも、今回参加したのは先日のオーガダンジョンで採れた素材や財宝を買い取らせて貰った関係で引き受けただけって……


「泥花はん、そんなに言うんやったら翔悟はん辺りにでも助力求めよし」


「……それも良いであるな……」


「……っちゅう訳で、ウチはこれで。……あ、気ぃ向いたらウチの配信でも見て欲しいわ」


「わ、分かった……」


「は、は~い……」


「また今度なのである!」


そうして、宝実さんはこの場を去って行った。


それにしても最後までよく分からない人だったな……


「ちなみに、宝実さんの配信ってどういった感じなんだ?」


「う~ん……基本的にはダンジョンで採れる素材や財宝についての解説チャンネルであるな。……後、自社商品の宣伝もしてるのである」


「な、なるほど……ん?……なら、ダンジョン攻略についての配信は……」


「配信上ではやってないであるな!……というか、元々宝実は自分の手札を安易に他人に見せる奴じゃないのである……」


「……それもそうか」


確かに、宝実さんならそうしそうだ。


……ただまあ、解説チャンネルっていうなら今度見てみるのも良いだろう。


……と、その時……


「それはそれとして……吾輩もそろそろ、勇雄との交際開始を配信で報告するべきであるよな~」


「……え、言うつもりなのか?」


マッドフラワーからの口から放たれた衝撃……とまでは行かない発言。


俺としては、下手に燃える事は避けた方が良いと思うんだが……


あ、ネリルは視聴者の民度が良い意味で狂ってるから例外だ。


「……いつまでも、吾輩の視聴者たる信奉者達に隠し続けるのは罪悪感が凄いであるからな。……次の雑談配信で言うつもりである」


「……折角、チャンネル登録者が75万人に到達したのに、もし炎上したら……」


「覚悟の上である!……そもそも、吾輩は別にアイドル路線で売ってる訳じゃないであるから、ガチ恋されるのは迷惑である!」


「……そ、そうか……」


そこまでして付き合う事にしたって……


俺はそこまでの価値がある人間じゃないぞ?


そもそも、惚れた経緯からしてアレだし……


いくらマッドフラワーが決めた事だからって、こればっかりは矯正した方が……


「……勇雄、もしかして自分が吾輩に相応しくないって思ってるであるか?」


「っ!?」


何でバレたんだ!?


「ハァ……勇雄の顔を見てれば分かるのである!……でも、吾輩もそこでぐったりしてるネリルも、ちゃんと勇雄を好きになって交際を始めたんであるから、それで自分の価値を疑うのは辞めるのである!」


「……あ、ああ……分かった」


まさか、ここまで俺が分かりやすいとはな。


とはいえ、この2人が俺を好いてくれている間は、ちゃんとその愛に向かい合うとするか……


と、そんなタイミングだった。


「あ~……宝実く……さんはもう帰ったのか?」


「っ!?……理穂さん、今まで何処に……」


突如として、この場を退席していた理穂さんが戻って来たのだ。


「そ、それは聞かないでくれたまえ……私は昔から宝実く……さんが苦手でな。……あまり顔を合わしたくないのだ」


「は、はぁ……って、理穂さんって宝実さんと以前から面識があったんですね」


「ああ。……宝実く……さんはS級探検者である前に銭羽商会の会長だからな。……私が出世街道を転落する前から何度も会ってはいたんだ」


「……な、なるほど……」


要するに、理穂さんは宝実さんが苦手って訳か。


……にしても何度も言い間違えている辺り、理穂さんって人を君付けで呼ぶ癖でもあるのか?


「……とはいえ、またライバルが増えた気がするのは気のせいだろうか?」


「ん?……何の話ですか?」


「いや、こっちの話だ。……ハァ……」


「え?」


最後に理穂さんが意味深な言葉を残しつつも、この会話は終わった。


……さて、帰って配信でも覗くとするか……

ご読了ありがとうございます。


アイデアを搾り出してこれって……ヤバいです。


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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