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一話:2

――風が吹いた。


音も無かった森が木々を打ち鳴らす。

奏者を風に、森を楽器に。それは押しては引いていく波のような二重奏(デュエット)

で、優しい音色だった。


そんな演奏会に、観客はいない。いるのは役者が二人。


舞台に立った二人は向き合っている。


序章に言葉はない。


きっと、その語りは風が演奏して語っていたのだろう。


















――風が吹く。


少し強めに吹いた風は木々を揺らし、湖の水面に波紋を呼んだ。


それでも。



目の前の青年は動かない。


凍りついたように顔を強張らせてそこに立っている。


――太陽のような眩しい金髪。空をそのまま映したかのようなスカイブルーの瞳に、男性にしては高めの身長。

顔もまるで舞台に出てきそうなほどの美形といった完璧人間。

第一印象は白馬に乗ってそうな王子。

それが青年の容姿だった。

だが。


その浮世絵じみた容姿は、確かに同姓でも息を呑むほどだろう。


……だがそれ以上に悠斗の目を引くものがあった。


(あれは……、剣?)


青年が左手に持っているもの。

鞘から抜き放たれてないから確信がないが、あの形状は歴史の教科書に出て来る騎士の剣にそっくりだった。


おかしい。


悠斗が知る限り、科学が発達した現代に刀剣類を使うことなど滅多に無い。それこそ機会があっても、国が使用、所持をほとんど認めていないのだ。


「……」


――あやしい。ものすごくあやしい。


どう楽観的に考えてもこの結論から脱出はできない。

――尤も、ここが異世界とでもいうなら問題はないが――

そんな雑念が頭を掠めるが、もう疑念しか湧かないのでいつでも逃げれるように心構えだけはしておく。


「あ、あの」


勇気を出して声をかけてみる。


……、微動だにしない。


「あの~」


……返事が無い。



「……、あのっ!!ボクに何かようですかっ」


痺れを切らして声を張り上げる。

すると、青年はその声に弾かれたように反応した。


「あ、ああ。すまない。えっ……と?」


「ずっとこっちを見てるから何か用があるのかなって。大丈夫ですか?」


青年は、申し訳なさそうに苦笑する。


「す、すまない。ちょっと呆けていたようだ。えっと……」


青年は、ゴホン、と大げさに咳払いをする。


「私の名前はユミル。ユミル・オーディスという。任務で此処まで来たのだが……。まさか人が、しかも女性がいるとは思わなくてね」


面目ない、と付け足した青年――ユミルは林から出てくる。

やはり王子気質なのか、ユミルは歩く一歩一歩が気品に溢れている。

その洗練された足取りに迷いはない。舞台で見る作られた動きではなく、自然と、しかし超然とやっている感じ。

役者などではないそれは、悠斗にも直ぐに感じることができた。


「ここにいる理由を聞いてもよろしいかな?ええと、名前は……」


「悠斗です。橘悠斗」


名前ぐらいは教えておいても大丈夫だろう、と踏んで言う。

――尤も、橘悠斗という人はもうこの世にいない訳だが。


「タチバナ・ユート。ふむ、珍しい名前ですね。では、ユート様。なぜ、こちらに?」



ユミルは顎に手を当てながらそう問う。

任務と言っていたし、ユミルはたぶんこの森の調査にでも来ていたのだろう。

害は無い。……たぶん。

そう勝手に憶測した悠斗は口を開く。


だが。


――ここで正直に言っても信じてもらえないだろう。


「えっと、いつの間にかここにいて。とりあえず一夜明かせたんですけど、ここ自体がどこか分からないっていう……、ええと、なんて言えばいいか」


でも。

嘘をつくのはキライだった。


何故かは分からないがそんな衝動的な感情のせいで言っていることがものすごくあやふやになってしまう。

ユミルはふむ、と頷く。


「詳しくはないのですが、記憶喪失というやつですか。――ここは、『月鏡の森』と言います。ご存知ありませんか?」


その問いに首を縦に振る。

実際、記憶は曖昧ながらある。だが、ユミルが都合のいい解釈をしてくれたのでそれに乗っかることにした。


「ふむ、記憶がない、と。なるほど。では――」


言いかけて。


ユミルは急に目を細めると、あたりを見回し始めた。


「……? どうかしたんですか?」


風は止んでいる。

先程とはうって変わって沈黙した森に少し違和感を覚えながらユミルを見てみる。


――人が変わった。


凛としていながらもどこか軟らかかった空気が一変、全身甲冑(フルプレート)を武装しこれから戦いに出る騎士の様に。硬質に豹変した雰囲気に思わず声をかけてしまう。


「しっ。静かに。……ベアーか。よりにもよってこんな時に」


ユミルがそう言った刹那。


右の林から、何かが飛び出した。


「……、う、そ」


灰色の体毛に、入道雲が動くかのような巨大な体躯。

死神の鎌を連想させるその爪は、薙いだだけであらゆる命を掻き消すだろう。

極めつけには。


その万物を射殺さんばかりにギラつく、眼。


そんな化け物を。いや、正確には似たような生き物を悠斗は見たことがあった。


「……熊」


バケモノが咆哮を放つ。

その咆哮は、全てを駆け抜けた。

はい、ようやく話が動きました。次はバトルです。バトルということで作者ちょっとテンション上がってます。

男といったらバトルですよね~、主人公今、女ですが。

描写下手かもしれないですけど次がんばります。気合をマックスで。

ではでは~

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