クリスマス 中編
「それは、伝説のような神話のような話だった」
「「「(真剣)」」」
強い後光を放つ強いカリスマを持ったアクセル王子が、目をつぶりながら語り始めた。他3人の男子はゴクリと唾をのみ、じっと王子を見つめた。
「『1つの星が天から光が注ぐと、神聖な赤ん坊が生まれた。数々の奇跡を起こしながら後に神へと育ち、人類の罪を償い神の国へと1度戻りまた復活した』」
「なんて…壮大な……」
「うん、美しいね、その話」
「我が国や他国の宗教とは違うようですが、サラはその話をどこで聞いたんでしょうか?」
「でも、繋がりましたね」
「「「なに?」」」
「『星』です」
「「「確かに」」」
「シャルル、君の意見を聞きたい。不確定で構わない。ここまでの話をまとめてくれるか?」
「自信はありませんが、かしこまりました。懸念されるのは、サンタなる人物の曲直正邪によって大きく変わります」
「では、邪の場合はどうだろうか?」
「はい。彼は神の力を行使し、人々に様々な恩恵を与えながらも生贄を所望する戦神であろうと思われます」
「生贄?」
「はい。パンをワインに浸すというのは、『血が滴る程の新鮮な肉』を意味するのかと」
「なっ…!」
「うわぁ、それはまた随分と野性味溢れるね」
「邪であった場合、サラに危険が及ぶのではないか?」
「可能性は皆無では無いですが、分母が大きすぎます。そもそも、実存しているのか……」
「ふむ…。では、それほど危険ではないのだな?」
「恐らく」
「では正の場合は?」
「はい。常に共にあり身も心も信頼関係があり、見返りを求めず人々に施しを与える強大な力を持つ都合の良い存在であるかと思います」
「都合の良い…」
「正であるのに辛辣だな」
「ただの嫉妬です。お構いなく」
「はは…!ボクは理解できるよ」
「正邪のどちらであろうか?」
4人は宙を見つめると、うーんと考え始めた。
「自分は邪かと。邪にしても、人々が得るものが多すぎますし、同じ戦場に立つことを考えると、邪である方が頼りになるかと」
筋骨隆々のオレンジ髪が目をキランと輝かせ、両手で握りこぶしを作りながら鼻から大きく「ムハーッ」息をはいた。
「ボクも同じく邪かな。サンタは封印されていて、今は大人しいから銀世界が成り立つのだと思うな」
長い銀髪の少年は髪を揺らしながら、人差し指でクルクルと舞う雪を表現して見せた。そして、カッと目を見開くと、そのまま指でカリスマ王子を指差し、美貌を惜しむことなく微笑みウィンクした。
「なるほど。2人の意見はわかった。シャルル、君は正だと思うのだろう?」
王子は少女のような青髪の少年を向いた。少年は後光が眩しいのか、図星をつかれたのか、表情を強ばらせた。
「そ、その通りです、王太子。何故お分かりに?」
「分かるとも。より強く存在を感じたからヤキモチを焼いたのであろう?」
「仰る通りです。……お恥ずかしい……」
華奢な指を思い切り広げ、赤くなったであろう顔を隠しながら、コクンと頷いた。
「シャルル、もう1つ考えて欲しい」
「は、はい。僕で宜しければなんなりと」
「「頼りになるのは、シャルルしかいない」」
「そ、そんな……なんでしょうか?」
「ふむ。私は考えていた。バラバラに出されたヒント。そこにはなにか目的があったと考えるべきだと思う。サラはその場の思いつきで人を騙し揶揄うようなことはしないだろう?」
「「なるほど」」
「目的、ですか?」
「ああ。その目的が分かれば自ずと、これらの意味も解ける気がしたのだ」
「あぁ、昨夜ボクたちの枕元にあったヤツだね」
「(スッカリ忘れてた)」
「……確かに。これらとサラを繋げるのは無理があると思っていました。が、サラに目的があれば、サラがやったと確信できますね」
「どうだろうか。なにか他にヒントになる出来事も、ないだろうか?例えば、サラの親友のジュリーがなにか言っていたとか」
「あ。そういえば、ボクが経営しているショップで、真っ赤な衣装を特注してたよ」
「「「なにっ?!」」」
「サンタの衣装と同じ…」
「僕がジュリーから聞いたのは、『宿り木』の伝説ですね。宿り木の下でであった男女は…そ、その」
「「「 ? 」」」
「キキキ、キスしても許されると……サラが言ってたって……」
「「「 ! ! ! 」」」
青髪の少年が真っ赤な顔をテーブルに埋めたが、ほか3人の男子は勢いよく立ち上がったことは言うまでもない。




