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遠足5

 結論から言えば、穴場スポットは美しい絶景だった。これなら私だって誰かに自慢する。

 山の中腹に位置するここは、小さくひらけた平地に蝶が舞い、鳥が歌う、木陰が落ちる花畑には、彩り取りの花々が咲き誇っていた。さらに奥に進めば、小さな滝が顔を出し、チョロチョロと水を跳ねさせ、虹を作ってる。そこから後ろを振り向き見下ろせば、山の麓もとや周りの景色もよく見えた。そう!まさに絶景だ!気分もぶち上がりだ!

 そして花畑は、昼食を取るのに最適な場所だった。

 いつの間にか太陽が真上に来て、時間もなかなかに良い時間になっていた。昼食にしようと提案し、手伝って貰いながらいそいそとビニールシートよろしく古いテーブルクロスを花を潰さないようにそっと広げた。そして、お弁当のバスケットを広げた時、私に大きな影が落ちた。

 あれ?なんだろう?と見上げると、『フェニックス!』と叫びながら、いつぞやかの不死鳥仮面が羽根を広げた。驚いて固まる私と護衛の方々。それをよそに、まじまじと見られるランチボックス。いち早く我に帰ったパッシュさんとシェルツェさんはつかつかと不死鳥仮面に近寄った。不死鳥仮面は何事も内容に、2人に話しかけた。開口一番の言葉が


「うん。この包みの中はどうなっているのかな?」


 である。

 どんだけマイペースな人なの、あれだけ人を驚かせておいて、興味は既に他人の弁当かいっ。と突っ込む精神的余裕は私にはまだない。だって驚きすぎて心臓バックバクなんだもの。


「丸い筒状のものが甘いもの、四角いものがおかず系と聞いております」

「そっか。普通のピクニックとは赴きが違って面白いね。どれもこれも油紙に包まれて…。まるで神秘のベールに包まれたお楽しみ箱のようだね」


 なんてさも当たり前のように対話しながら彼の存在を許容するパッシュさんとシェルツェさん。を見て、さらに混乱する護衛の方々。を見て、我に返って思わず吹き出す私。だって、筋骨隆々なお2人と、いかにも精鋭なお2人が、プチパニックになってるんだもの。自分より驚いてる人を見ると冷静になるというアレだ。緊張感も薄れる。


「ん?思わず声を掛けてしまったけど。ボクは、お邪魔だったかな?」


 と首を傾げる不死鳥マンに、苦笑いをしてしまったけど。よく良く考えれば彼にはフリマで大変お世話になったことを思い出してしまったから、もう無下にはできない。


「ビックリはしました」

「あはは!驚かせてごめんね」

「もう驚かせないと約束してくれるなら、ご一緒にどうぞ?」


 とお誘いした。彼は美しい所作で優雅に羽根を畳み、尻尾にシワが入らないように伸ばし、シートに座った。仮面の上からでも分かるくらい嬉しそうだ。


「お先に飲み物からどうぞ!」


 と、一人一人に飲み物を渡す。

 飲み物はお紅茶セットは重くて断念したので、ワイン瓶に紅茶を入れた。中にはドライフラワーで作ったら花を似て作った紅茶。アイスティーが逆に飲みやすくて美味しくて、みんな喉の乾きを潤しながら香りを楽しんでくれた。


 そして、次にサンドイッチの紹介だ。この瞬間の為に朝はやーく起きて頑張って丹精込めて、なんなら前世の記憶を捻りつつ、創意工夫して作った自慢の力作をご紹介しましょう!と、1つずつ紹介していく。 (実は、遠足先で旧友とエンカウントした時に恥ずかしくないように頑張ったのだ。)

 メニューは工夫たっぷりの庶民的具材のサンドイッチだ。

  グルグルイチゴジャム+チーズ

 鶏ハムサンドイッチ

 具だくさん10センチサンドイッチは萌え断になるようにした。


「萌え断?」

「そう、萌え断。今、カットして断面をお見せしますね」


 本来なら、カットしてラップして持ち歩くのだろうけど、この世界にはラップなんて無かったから諦めた。ので、食べる直前に切れば良いだろうとナイフを持ってきたのだ。エッヘン。

 厚みのある大きなサンドイッチを真っ二つにすれば、7色の層が顔を出した。


「なんて美しさなんだ!」

「えへ、ありがとうございます」


 こう素直に褒められると満更でもない。


「ねぇ、その丸いやつはボクに切らせて!」


 そう言うと、不死鳥仮面は私の手からナイフをとった。

 その瞬間!

 お茶を飲んでいた4人がパッと剣を構え「ナイフを下ろせ!」と叫んだ。

 それをうけ、さらにパッシュさんとシェルツェさんが剣を抜き、4人に向けた。


 先程までの和やかな空気が一変し、緊張が走る。

 ど、どうなってしまうの!?








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