遠足3
あー、これがご都合主義ってやつかー。
私はペガサスの背中に跨り上空を飛んでいた。振り返れば、どんどん小さくなる王都が見えた。
いやもちろんその間のことを頑張ったのは間違いない。
ペガサスのお世話に日参し仲良くなり、プランを立て、知らない平民クラスの上級生から声を掛けてもらってチームを作り……。となんなら忙しく駆けずり回っていた。
だけど全ての工程が、あれよあれよと進み、今こうして空の遠足を楽しんでいる。
ペガサスの背中って、空を飛ぶって、どんなだと思う?
もっと乗馬のように揺れる、とか羽ばたく時には衝撃がありそうなものだと思っていたのだけど、物凄く快適なの!空飛ぶオープンカーのような、風を感じる新幹線のような、超特急のリフトのような、そんな感じ!ちょっと上空の空気が冷たいことを除けば、それはもう特等席を独り占めのこの感覚!楽しい!気持ちいい!
そうそう、私の相棒になってくれたうっすらピンク色のこのペガサスは『ぺぺ』という名前だ。まつ毛がバサバサでオメメクリクリのクールビューティさんで、気品が漂ってる。なかなかデレてくれないのだけど、時々甘えてるのが物凄く可愛い!
そんなぺぺの背中に乗らせてもらう私も得意満面で、いつも以上に背中を伸ばすのだ。……顔面に受ける風がとても冷たいけど。
どうやって探そうかと悩んでいた護衛もあっさりと決まった。
就職先が決まっているから無理に知り合いを作る必要がないからだとかなんとかで、名乗り出てくれたのだ。逆に私のような平民よりの貴族と知り合えて嬉しいとか。て、照れる。
私の護衛は全員で6人。カイさん、ユキトさん、ルーさん、コダチさん、ファーさん、ロックスさん。
私の右手側のルーさんは女性で、4人が前後左右の護衛をしてくれてる。きっと他人事で見たら壮観なのかもだけど、私の護衛としてはとても物々しい……。それから、残りの2人は先に目的地に行き現地の安全確認をしてくれてる。
ここまでしてもらって申し訳ないけど、目的地は隣の領地の高原地帯で、魔物も出ない安全地帯なのだ。
着いた先で、見学し、軽くピクニックをして帰宅するという、お手軽遠足なのだ。恐らく、遠方への視察や、高位貴族の護衛のようなものを想定しての遠足なのだろう事がよく分かる。それでも、3年生にとって私の護衛は物足りないのではないだろうか。
私の少し下を飛ぶルーさんをチラリとみると、目がバッチリ合ってニコリと微笑んでくれて、慌てて微笑み返した。
あぁ、広い空を駆けるって気持ちいいな。遮らない太陽の日差しを背中に浴びるのって気持ちいいなって誤魔化したかったけど、無理だった。
学年が違うとか、クラスが違うとか、もうどうでもよくて、学校行事に誰かと参加出来るというのが、もうたまらなく嬉しくて仕方がなくって、ワクワクが止まらなくって……。
ニヤける口元を手で隠しても、不審者感満載だ。皆に護衛対象として恥ずかしくないように背筋を伸ばしたいのだけど、顔を隠すので精一杯だ。それでも景色はビュンビュンと後ろに流れ、あっという間に目的地が見えてきた。小高い山に囲まれた、キラキラ光る湖だ。
ペガサスの速さは音速とも聞いたけど、実際時速300キロは出るらしい。ペペの背中に乗ったら、1週間は掛かる父母の元へも一瞬で着くのかな?母様に会いたいな。みんな元気かな?なんて考えていたら、先頭で先導してくれていたカイさんが私に近寄ってきて、問題がないかの確認をし、閃光弾を上空に向けて放った。
それをうけて、目的地でも閃光弾が上がった。危険がないことを知らせる光だ。それを確認し、私たちは湖横の草地へと降り立ったのだった。
お疲れ様、ペペ。




