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部活決め11

文字数の関係で、王太子の挨拶とジュリーの新聞記事は割愛しました。


 内容はよく聞こえないけれど、王太子の挨拶が進んでいく。


 平民のフリマとはいえ、城下内の公共の場で行われるのだ。関わりがないとは言いきれないけれど、王族が出てきて、その上開会の挨拶をしているなんて、私でも異常事態だとわかる。


 困惑した顔をしていると、それを察したシャルルが1枚の新聞を私に見せた。


「読んでみてください。サラの友達のジュリーが、サラを応援したくて書いた記事です」

「ジュリーが、応援…?」


 新聞を受け取り、記事を読む。そこには、あの兄弟とのエピソードやフリマに参加することになった経緯、王立学園での花を使った花束の紹介、そして、王立学園でのダンスパーティーで一際目立っていた私(実名は伏せてある)の紹介などが熱心に書かれていて、そしてその上で、今回のフリマでのあらゆる協力要請を、熱く熱く語られていた。

 そういえば、ジュリーが遅くまで机に向かって何かを書いていたのを思い出した。声をかけても気が付かないほど集中していたあの背中は、きっとこの記事を書いていたのだろう。

 ジュリーの応援がひしひしと伝わってきた。


「その記事を読んで感銘を受けた人が、物品を寄付したり、協力を申し出てくれてここまで大事になってしまいました。サラに事前に伝えなかったのは申し訳ないです……。嫌だったらやめても構いませんよ、どうしますか?」


 シャルルが心配そうに私の顔を覗き込んだ。

 たしかに、ここまで大事になるとは想像もしてなかったし、きっとシャルルも想定外なのだろう。


 私はもう一度、馬車の窓から外を見た。

 フリマ会場は、たくさんの人が目をキラキラさせながら王太子の挨拶に耳を傾けていた。貴族で同じ学園に通う私ですら王太子を見掛けることは滅多にないのだ。平民が王族を目にすることなどほぼ無いはずだ。前世でいえば天皇陛下のパレードのようなものだろう。気持ちは物凄くわかる。

そして、中央の噴水広場の周りを囲むように厳重な警備がなされたその場所には、いかにも王族親衛隊と見られる隊員がずらりと並び万全の体制の警護がなされていた。


「ねぇ、ルル。王太子様も、ジュリーの記事を読んで協力してくれるの?」

「まぁ、一応……?そうですね?」

「そか」


 ここまで大事にしてしまったのに、発端の私が無責任に逃げてしまっていいのだろうか。

 いや、よくない。

 これだけの人が協力してくれて、シャルルもジュリーも後押ししてくれたのだ。皆がお膳立てをしてくれたのだ。

 私がへたってどうする!この機会を生かすも殺すも私次第なのだ。恥ずかしいとか、目立ちたくないとか、言ってられないのだ。

 冷や汗をかいていた手のひらは、いつの間にか強い強い握りこぶしになっていた。


「私……やる。やるわ……!」


 決意は表情に現れ、真剣な顔をシャルルに向けた。私の表情をみた彼は、一瞬目を見開き、そして微笑んでくれた。


「そう言ってくれると思っていましたよ。では、これは僕からのプレゼントです」


 そう言って手渡されたのは、上等な真っ白い手袋だった。


「これは?」

「あなたの白い手に、誰にも触れさせたくないですから」


 そういうと、ルルはぷいっと横を向いた。


「ルル?」


 その時、大きな拍手が湧き上がり、王太子の挨拶が終わったことを告げた。


「王太子の挨拶も終わったようですね。さぁ、行きましょう。サラ!」

「うん!」


 ルルが御者側の壁をコンコンと叩くと、扉が開かれた。そして、先に降りたルルが初々しく私に手を伸ばす。なんて可愛いエスコートだろう!

 嬉しくなって、その手にそっと自分の手を添え馬車から顔を出すと、大声援が私を迎えた。ジュリーの記事は、どれだけの人々に読まれ、そして心を打ったのだろう?と感動しちゃう。


 もうこうなったら怖いものなんて無いぞ。迎え撃ってやる!最初の敵は王太子か!バッチコイ!!

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