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部活決め10

「い、意味が分からない……。意味が分からないよルル!」


 王女様から借りたドレスとアクセサリーを一式身にまとった私は、ルルの迎えの馬車に揺られながら、正面に座る蕩けそうな笑顔のルルに文句を垂れつつ混乱していた。


 今日は待ちに待った第4日曜日。爽やかな晴天が、今日のフリマを祝福しているかのようだ。


 ルルからの提案で商品が決まった私たちは、4日間かけて、せっせと花束を拵えた。

 え?花はどこから持ってきたって?また盗んだのかって?

 ふっふっふ。ご心配なく。今回はこっそり盗んだのではありません。



 皆様は覚えてらっしゃるでしょうか。この学園の真っ白い高い壁に囲まれたシンメトリーで美しい庭園。そこに咲き誇るように植えられた花々を。

 その満開に咲き誇る春の花々を植え替えて処分してしまうというのである。理由は虻蜂などの危険な虫を寄せ付けないようにだとか、生徒の学業の邪魔をしないように、だとか色々あるらしい。とにかく、外来客が多い入学式、ダンスパーティーを終えたこの週に毎年、花→緑へと植え替えを行うのが園芸部の毎年の伝統行事だとのこと。

 そう言えば、前世でもTDL(東京ディステニーライン)でもそんな事をしていると聞いたことがある気がする。どこの世界でも同じなのだなと妙に納得した。

 そして、植え替えられた後の花々は廃棄されてしまうとここのとなので、だったらいいところだけを集めて花束にして売ろう。というのがシャルルの案だった。

 なんてECO!なんてSDGs!元手タダ! その上園芸部との交渉もシャルルがしてくれたのだ。

 ここまでお膳立てしてもらったのだから、花束を作るのなんて苦労でもなんでもない。ジャックとラミ(やっと名前を聞きました)と3人の力を合わせ、可愛い花束を100個も作れた!もちろん枯れないように保存の魔法もこっそりかけたし準備万。これが500ウェンで売れれば、5万ウェンになる。ルルが立て替えてくれたフリマの参加費用を差し引いて、ジャックとラミ兄妹にお小遣いを渡して、借金を返してもいくらか残る。夢のお小遣いゲットだ!万々歳だ!取らぬ狸の皮算用にならないよう、何とか売り切りたい。


 と、ここまではよかった。私にも理解出来た。

 問題は、何故私が借り物のドレスで着飾り、ダンスパーティーの再現かのように花とレースで作った仮面を着け、馬車で移動しているのか、という事だ。フリマにそぐわな過ぎませんか?とルルに問いかけても、


「うんうん。サラ、そのドレスとても良く似合ってる。特に、その濃い青の宝石。まるで僕の髪の毛と瞳の色のようで……」


 赤面しながらも、うっとりと私を見つめるルルは、全く私の話を聞いてくれない。いや、確かにルルの色と似ているけど、今はそれどころじゃないんだってば!ガルルっと今にも唸りそうな私を、ルルはふふっと笑いながらなだめ始めた。


「サラ?君は1円でも多く稼ぎたい。そう言いましたよね?」

「う、うん。そのためにルルが知恵を貸してくれて、とっても助かったわ」

「実際に行動して実行するのはサラ、君です。僕はちょっぴり力添えをしただけですよ」

「ちょっぴりどころか、大助かりだよ!なんのお礼もできなくて、申し訳ないくらい…」

「お礼なら、もう貰ってますよ」

「え?」

「なんでもないです。ほら、着きましたよ。見て」


 馬車内の窓のカーテンの隙間から覗いてみれば、以前ジュリーと私がカバンを盗まれそうになった噴水広場だった。違うのは、沢山のフリマ参加者達が所狭しと自分の商品を並べ、開始の合図を今か今かと待っている。


「もう間もなく、開催の挨拶があります。その後、この馬車から降りて、噴水の周りの特設の場まで行きますよ」

「特設?」

「今回のフリマの目玉ですから、そのつもりで」

「目玉!?」

「はい。そこで、開催挨拶をした方と、噴水の周りを踊ってください。良い見本となるでしょう」

「踊る!?」

「踊れない方とは一緒に歩くだけで大丈夫です。平民にはなかなか無いチャンスなので老若男女問わず話題になっていたようですよ。料金は1回3000ウェンです」

「さ、3000!?」

「安すぎましたか?」

「ぎゃく!ぎゃく!!」

「そして、踊り終わったら、今日の記念に、と花束を1つ渡してあげてくださいね」

「……」


 あ、頭がついていかない……。

 とにかく、あんなにニヤニヤしながらジュリーが私に無理やりドレスを着せたのは、このためだったのだろう。

 気を取り直してもう一度窓の外を見る。

 噴水の前で、ジャックとラミ兄妹が、ガチガチに緊張して座っている。無理もない。正装をした護衛騎士たちにガッチリガードされているのだ。って何故護衛騎士!?


「あぁ、だってこんなに豪華に着飾ったから、万が一があったら困るでしょう?」


 とにっこり微笑むルル。


「ほら、それより開催挨拶が始まりましたよ」


 と、ルルの指差した方をみれば……。

 王太子さま!?

 まてまてまって!!フリマって平民のものじゃないの?!開催者が王族ってこと???

 え、私、王太子と踊るの???

そもそも、踊るの!?

動揺が隠せない私に、ルルが真面目な顔をして問いかけた。


「1円でも多く稼ぎたいのですよね?そのために、やれることはやるのでしょう?サラ」


ルルは、私のために案を出して、手続きの一切合切を引き受けてくれて、準備も手伝ってくれて、お膳立てしてくれたのだ。多分私の見えないところでも色々やってくれていたに違いない。それなのに、私がしり込みしてどうするの!


「ええ!やるわ!ルル!」


と、気合いを入れる私であった。




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