部活決め8
「フリーマーケット!?アンタが??」
「そ、そう。どう思う?」
寮での夕食を終え、自室に戻ってきた私はいつものように今日の出来事をジュリーに話していた。ジュリーの驚きようをみるに、やっぱり私にフリマは向いてないのかな?
そもそも私に売れるものなんて持ち合わせてないコトを、ジュリーはよーく知っているのだ。そんな顔にもなるってものだろう。
「ま、まぁいいと思う。アンタお小遣いないこと気にしてたしね」
「うん、そうなの。ジュリーに反対されなくて安心した」
「反対なんてしないわよ。人間誰でもやりたいことに挑戦すべきよ」
「ジュリー……!」
「でも、何を売るの?」
「それは……」
下校のチャイムが鳴ってしまったので、そこまでの話し合いは出来なかった。あのシャルルのことだ。何かしらの策はあると思う。まだ私が知らないだけだ。……と思う。いや、そもそもそこまで人任せで良いのか。良いわけないよね。考えろ、自分で考えろ、私っ!って悩んでも追い込んでも焦るばっかりで、良い考えなんて浮かぶはずもなく……。
「まさか、ドレス?宝石!?アンタそれ、借り物でしょう?」
「ドレスをフリマでなんて、う、売らないよ!そんな恐ろしい借りパクしないよ!!」
「安心したわ…そうよね、どうせ売るならちゃんとした金額で買取りしてくれるお店の方がいいもんね」
「売らないからね!?」
冗談よ!と大笑いするジュリーをジロっと睨んで、2人でふふって笑う。どこか気持ちが張っていたのかな?やっと肩の力が抜けた気がする。
「それにしても律儀よねぇ。どこの誰とも分からない方から借りちゃって、返す宛も処分する方法もない、維持費ばっかりかかるドレスなんか売っぱらっても文句言われないわよ」
うん。王女様からお借りしたのよね。確証はないけど。それに身分差ありすぎてご縁もないからお返しする術がないわけで……。でもとにかく借りたものを売るつもりは私にはない。
「まだ言うし……」
「当たり前じゃない。そんな高価な宝石売ればさ、私ら庶民なら一生遊んで暮らせる金額が手に入るのよ!」
「ジュリー……」
「わかったわかった。それにしても、そのシャルル様も随分印象が違うわね」
「シャルル様が?」
「そ。だって虐められてたって印象の方が強いじゃない。じゃー弱弱キャラじゃない。そんな人が雄弁に喋れる聞き上手、でアイデアマンとか。ちょっと信じ難いわよ」
「私は逆にルルが虐めに合うって方が信じられないよ。だって」
「ルル?」
「あっ!な、なんでもない!」
理由は分からないけれど、ルルには私たちが幼なじみだと言うことを内緒にしてくれと言うのだ。ルルって愛称で呼ばれるのも恥ずかしいらしい。やめてって。数ヶ月前まではOKだったことがNGになる。これが成長期というものか。思春期というものか。フッ。若いな……。って前世の私なら思うだろう。なにせ自分も思春期なわけで、相手が恥ずかしいと何故か自分も恥ずかしくなるのだ。
腕を組んでうんうんってうなづいていると、ジュリーがマジマジと私を見た。
「にしてもさ。シャルル様はなんでアンタに親切にしてくれるの?どうして提案してくれるの?てか、何を提案してくれるの?フリマに出てどうするの?フリマだって、出店するのにお金掛かるし。下手したらマイナスになるわよ?」
「マイナス!?そか、元手がかかるのか……ひぇ」
「あぁ、そんな顔しない。どうしようもなかったら、また私が出すわよ」
「それは……ダメ!」
慌てて否定したけど、結局そうなる予感しかしない。それじゃ本末転倒だと、私は眉尻を下げた。
「わかったわかった。アンタそのままじゃ騙されてたとしても気がつけないでしょ。明日、シャルル様との話に私も同席するわ。私がシャルル様を見定めてあげる!」
「ジュリー様!」
力強く拳を作り高々と掲げるジュリーと、その足元に膝をついて、両手を合わせて崇めるようなポーズを作った私。おふざけだけど楽しい。
「本当はね?嫌なのよ。お貴族様と同席するのなんて。どんなそしりを受けるかわかんないんだから」
って、困ったように笑うのだった。




