部活決め7
「えっと……友達と薬局の2箇所に貸し金があって、王女殿下にドレスと宝飾一通り借りてて……で、借金王!?」
「し、しー!ルル、声が大きい!」
「……!ご、ごめん。あまりにも突拍子がなくて驚いちゃって……。あと、もう『ルル』って呼ばないで……」
ルルは真っ赤になった顔を両手で覆い隠しながら、チラリと私を見た。別に、幼なじみなんだし、愛称で呼んでも良いと思うんだけど……。
図書館内に設置されたテーブル席に対面するように腰掛けて、ヒソヒソ話をする私たち。利用者は私たち以外は居ないのだから、周りを気にする必要はないのだけれど。内容が内容だ。あまり人に聞かれて、また噂の種にされたくない私は、人差し指を口元にあてて、静かにって促したのだ。
「とりあえず、なんとなく把握した。キミの現状を教えてくれてありがとう」
美少女が微笑んでる。青い髪をゆらしながら。もとい、美少年のシャルルは首を傾げて微笑んでくれた。嘲笑わないで話を聞いてくれるだけでもありがたい。思わず拝んでいる私に、シャルルは話を続けた。
「1番確実なのは、ご両親にお小遣い制度を設けてもらう事だけど。それはしたくないんだよね?」
「うん……迷惑掛けたくないから」
「わかった。じゃあ、手っ取り早く寄付を募る事も出来るけど、サラがしたいのはそういう事でもないんだよね?」
「うん、そうなの」
シャルルはちゃんと私の気持ちと趣旨を理解してくれていた。話を聞いてくれるだけでも嬉しいのに、説明下手な私を昔っから正しく理解してくれて、最適解を一緒に考えてくれるのだ。私がしたいのは、あの家族の支援だ。その場凌ぎではなく、ちゃんとあの2人が安心して成人するまで継続して応援したい。その気持ちを察してくれてるのだろう。本当に頼りになる。最強の助っ人を手に入れた気分だよ。
「というか、私に寄付してくれる人なんて思いつかないし、手っ取り早くもないし、『お金ないから寄付してください』なんて言って回ったら、恥の上塗りになっちゃう」
「ふふ。心配性だね。そんな心配は不用だと僕は思う。サラは平民達に人気があるでしょ?それに目的が美談だからね、あっという間に貯まるよ。なんなら、僕が全額出してもいいし(それに何十、何百倍の額でもだす男を3人は知ってるよ)」
「え?今なんて?」
「ううん、なんでもない」
にっこり微笑みながら、両手をヒラヒラと振って『なんでもないです』ってしたけど、今なんかサラッと怖いことを言ったような……?
「サラは、その家族を支援したいから、彼らが定期的にお金を儲けられる方法を見つけたいんだよね?」
「そ、そう!そうなの」
「とすれば、彼らに地道に稼ぐ方法か雇用先を紹介する方がいいと僕は思う」
「う……」
「でも、幼すぎて働けない。母親から引き離したくない。だから、サラが雇用主になりたいんだよね?」
「そ、そこまでは……でも、そうなったら安心だし、嬉しい」
「わかった。じゃあ、起業しないとだね」
「起業?!」
「起業するって、そう簡単な事じゃないし、お金が手に入るのは随分先になるよ。元手だって掛かっちゃう。それに、起業するにしても具体的なアイディア、ある?」
「ない……」
「あぁ、そんな悲しそうな顔をしないで。大丈夫、大丈夫だから、ね?」
「……うん」
普通だったら、アホやな、お前どんだけお人好しやねんって見捨てるだろう。少なくとも前世の友達や家族はそうだった。ような気がする。でもシャルルは違う。どうしてこんなに親切にしてくれるのだろうって、疑うことすらない。だってルルは、昔から優しかったのだ。それが妙に懐かしくて本当に嬉しい。そして、優しいシャルルは続けた。
「じゃあ、長期プランと短期プランに分けてお金を稼ぐのはどうかな?」
「?」
「長期プランは、サラが独自で起業しながらお小遣いを稼ぎつつ、その子たちを雇い上げられる方法を。短期プランでは、ひとまず薬代とジュリーさんに返金できる金額を稼ごう。さっさと精算しちゃおうよ。お金関係で人間関係壊して欲しくないし。どうかな?」
「いい、とってもいいと思う!」
「ふふ。やっと笑ってくれた。良かった」
「えへへ」
「じゃあ、具体的な話なのだけど。毎週第4日曜日に開催される、フリマに参加するっていうのはどうかな?」
その時、下校時刻を知らせるチャイムが鳴った。
フリマってあのフリマ?って、そもそも自宅から必要最低限しか持ってこなかった私には、売れるような不用品はないよって目で訴える私に、シャルルはキランと悪い顔で微笑んだのだった。
部活、いつ決まんねんって我ながら思ってます。
サブタイトル詐欺っぽくてスミマセン…




