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部活決め6

 あの家族のことを思いつつ、借金王の肩書きを欲しいままに手に(しそうな)今の私には、今日の体験入部は楽しめるとかそういうレベルではなかった。あまりにも集中出来ず、やらかしまくったからだ。これでは部の先輩方にも他の体験入部者にも失礼だし迷惑をお掛けしてしまうと、今日は早々に切り上げさせて頂いた。すみません……。


 我ながら、やっている事が中途半端で嫌になって、自然と小さなため息がこぼれる。

ため息つくと幸せが逃げるって前世では聞いたことがあるけど本当かな?今は幸せを分け与えたいのだ。逃してる場合じゃないのよ。

 少しでも落ち着こうと深呼吸しても、全然気持ちが落ち着かない。落ち着かないどころかどうしても落ち込んでしまう。


 とぼとぼと寮に向かって歩きながら、またひとつため息をついて慌てて吸い込む。そして、自分の姿勢が猫背になっていた事に気が付き、『悪役令嬢』に相応しいように、ピンと背筋を伸ばした。姿勢を正すと不思議なことに視界も変わるもので。目にどこまでも広がる青空が飛び込んできてハッとする。

 私が落ち込んででどうする!

 どんなことでもいい。なにか1歩でも前に進みたい。

 その時、幼なじみの青髪の少年の『本には先人の知恵が詰まってるんですよ』という言葉を思い出した。

 そうだ、そうだ!自分で思いつかないのなら、頼ればいい。なにか発見出来るかもしれない。良い知恵があるかもしれない。全ては先人の知恵が解決してくれるのではないか。なにかカッコイイことを言おうとしているが、私の悩みなど所詮お小遣いの話だ、金儲けの事だ。なんて俗な悩みなんだ。先人が散々切り開いた道に違いない。未知な道ではないはずだ!

 解決の糸口は図書館にあり!私はくるりと向きを変えると、図書館に向かって走り出した。




「まぁ、そんな上手く見つかるわけないよね……」


 ちょっと格言っぽく言うなら

『先人は知恵を書に託したが、書物は何も語らない』とか『本は読まざるものに道を示さない』って感じだ。


 広い館内は、奥行的にも高さ的にも本棚が延びており、ぎっしりと本が並んでいる。これだけの書籍があれば、きっと何かしらのヒントが掴めるのではないだろうか、と期待した30分前の自分の浅はかさを呪った。だって、数が多いということはその中から自分に必要な本を見つけ出す作業が必要だということだ。

 前世の図書館では、分類分けとかされてた気がする。いやそもそも入口近くのパソコンでササッと検索できたと思った。

 今世の図書館の本は、どうも発行年代順、アイウエオ順に並んでいるようだ。これでは、発行された年数を覚えていない限りそれっぽい本すら見つけられない。その上本のタイトルが小難しい。


 それでも、今はこれ以外に思いつくことはないのだ。諦める訳にはいかない。こうなったら勘で片っ端から見ていくしかない……!って思いながら心が折を折られつつ、高い場所に無理やり手を伸ばした時だった。


「……サラ?」


 本棚からひょこっと覗かせた青髪の、少女と見間違えそうな美少年が、私に気が付き驚いたように声を掛けてきた。


「なにか探し物ですか?」


 目線が私と同じ高さの少年は、ニコニコとしながら私の近くまで寄ってきて、ハッとして私を慌てて見つめ直し、ガバッと頭を下げた。


「そうじゃなくて、あの、この間だは、その……僕を庇ってくれてありがとうございました!」

「あ!」


 そうだ、この少年はダンスパーティーの時に女役にされかけた男子だ。いや、それよりもこの顔と声は。


「あなた……」

「挨拶するのは初めてですよね。僕はシャルル・クードリです。よろしくお願いします」

「うん……」


 シャルルと名乗った少年は、にっこりと微笑んだ。か、かわいい。

 とか誤魔化されるわけが無い。


「いや、あなた、ルルよね?」

「……」

「あの、病弱で、私の領地に冬の間療養にきていた、ルルよね?」

「……」

「にこにこ微笑んで誤魔化そうとしてもダメ。冷や汗が見えてるわ。私たち、あんなに仲良しだったのに。どうして……?」


 うるうると泣き真似をする。というか、泣き真似じゃなくて本当に泣きそう。あんなに仲良しだったのに、どうして他人のフリをするの?私の事、嫌いだったの?思えば思うほど涙があふれる。一昨日あんなに泣き尽くしたのに。


「うっ……。よく、僕だと気が付きましたね。その通り、あなたのルルこと、シャルルです」


 青い髪を揺らしながら、シャルルの笑顔は本心からの笑顔に切り替わった。

 私にとって、知恵を授けてくれる本当の救いの神が現れたのだ!

 だって、本といえばルル!そして貴族クラスに明友!知恵と言えばルルなのだ!



成績上位者で、貴族なのに平民寮から通うサラは、平民クラスの上級生の間でも有名人だったりします。

部活と言っても大会などがあるわけでなく、今後の生活の為のものが多いので、新入部員獲得に躍起になったり戦いになったりはありません。

が、可愛くて、有名なサラがうちの部活に入ってくれたらいいな〜とどの部活の先輩方も考えていいるようで、今日体験入部した部活の先輩方は、サラが体調不良だったのかもと、本気で心配して帰宅させたのでした。

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