密談4-1
豪華なアフタヌーンティー(略)の部屋だ。
それを囲む見目麗しい(略)。
多分この密談が続く限り、語り手の(略)は激しくなるであろうことが予想される。
とにかくまぁ、締め切られた薄暗い部屋で、ティーセットを囲んだ四人がそれぞれ思い思いの行動をしているのだ。
筋骨隆々のてっぺんにあるオレンジ色の短髪をなでながら、ニコニコと照れているものあり。
目をつぶり、銀色の長髪を揺らし、エアー楽器で演奏をしながら作曲を続けるものあり。
強いカリスマを金髪で乱反射させながら、何かを思い出しながらうんうんとうなずくものあり。
そして一番重症に見えるのが、両手で顔を隠したうえに机に突っ伏してもなお全身から湯気を発するほど全身ゆでだこのように真っ赤になる青髪の少年あり。
ここまでお読みいただいてくださっている読者様はお察しの通り、もうとっくに紅茶は冷めきっている。常温だ。むしろ攻略対象のほうが熱いくらいであろう。なにせこの部屋に四人があつまってから、かれこれ二時間このままなのだ。したがって、部屋に隣接された控室に居る侍女たちは今回も気が気ではない。なにせ、密談初回に用意されたスフレケーキは、厚みを計ることが不能なレベルまで縮んだのだった。それから侍女たちも知恵を絞り、目を引く菓子を用意したり、香りの強い紅茶や、温度の冷めにくいカップを用意するなどの涙ぐましい努力を陰でし、この密談専用ティーセットのレベルを上げていたのだ。
もっとも、報われることはないし、よそで活用されることもない。
このまま、日が暮れてしまうのだろうかと誰もが心配していたとき、銀髪のエミールがよし!と声を上げて立ち上がった。
「うん!ダンスパーティー中のサラをイメージした曲ができた!可憐なサラはボクに無限のイメージを与えてくれる。さすが僕の女神!ミューズ!」
うっとりとした表情で出来上がったばかりの楽譜を天井にかかげ、口ずさみ、踊りだした。
それに呼応するかのように、ほか三人の男子も動き出す。
「可憐なことは認めますが。サラのあのダンスを本当に見ていたのですか?あのキレのある動き。力強い踏み込み。スキのない目配り。そして去り際のペアへの感謝のまなざし。自分で自身を守れるだけの力をもちつつ、ペアの男性をたてる。あれこそ、騎士に守られる淑女の鏡といっても過言ではない!それをただの可憐な少女だなどと!」
「マルク、それは流石にどうなんだい?可憐で美しいサラを、まるで無骨もので飾り物のような扱いじゃないか」
「か、飾り物!?」
明らかに対格差のある二人が言い合いになりそうなタイミングで、彫像のように美しいアクセル王子が王のような威厳と公平さを放ちながら二人を制止した。
「2人とも落ち着いてくれ。自分の主観を押し付けるものではないし、否定するものでもない」
「アクセル殿下!」
「アクセル……。そうだな、すまない。」
制止された二人は、アクセル王太子によほどの信頼を置いているのであろう。険悪になりかけた空気ごと柔らかくなった。のだが、二人の期待を大きく裏切ることとなる。
「二人とも、見ただろう?サラのピンクの髪に生える水色のドレスと青い宝石。そう、あれはまさしくこのアクセルの瞳の色……!サラは、私の色を選んだのだ。あぁ、どうせならサラとおそろいの服を着たかった……!」
「「おいっ!」」
「む?なんだ?二人ともサラのことをそれほど見ていなかったのか?」
「「なんでや!」」
今まで公平に、を合言葉にしてきたのは何だったのかというほど、それぞれが自分の愛を語りだそうとする行為になぜか関西弁調突っ込みがはいったその時だった。
今まで机に突っ伏して、動こうとしなかった青髪の少年が、ユラリと立ち上がったのだった。




