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ダンスパーティー6

 煌びやかに飾られた広いダンスホール。

 楽団の奏でるゆったりとした美しい音楽。

 着飾った貴族クラスの同級生たちと、見学席には多数の平民クラスの人たち。

 そして、洗練されたドレスと靴、豪華なアクセサリーに包まれて、仮面の裏で柔らかく微笑みながら踊る私。


 本当にここは学校の1部なのだろうかと疑い続ける私は、豪華なこのホールで夢の中の出来事のように踊っている。

 ワルツと、オクラホマミキサーと、マイムマイムが合体したような不思議ダンスを。

 大きな輪で、次へ次へと相手を変えながら、くるくると回るたびにドレスのスカートをふわふわとさせている。ものすごく優雅なのだけれど、コルセットはものすごくキツイ。おぇ。


 男子一人との時間は20秒ほどだけど、対面したり、背を向けたり、お辞儀をしながら手を合わせる。

『婚活かよ』と突っ込んだのは内緒だ。


 なぜ夢のように踊れているのか。

 昨日まで、ドレスもアクセサリーも仮面すら用意できないと悩みに悩み、最後には見知らぬお姉さまに泣きついたくらいだったのに。


 まぁ、答えは簡単だ。

 泣きついたお姉さまがとても親切な方で、ドレスを貸してくださったのだ。

 キャッキャと試着しながら私のピンクの髪の毛に合うだろうと、色味や形、流行りなどを取り入れてコーディネートまでしてくださった。もし、『姉』がいるのならば、こんな感じなのだろうかと思ってしまうくらい楽しくて、初対面の相手だということを忘れてしまうくらい楽しいひと時だったの!

 そして私はターコイズのような淡い水色のドレスに、濃いめの青い石があしらわれたアクセサリーを身に着けているのだ。

 なんて、なんて可愛いドレスなんだろう!こんな可愛いドレスが似合うのだろうか、着こなせるのだろうか?と不安しかないけれど、こんなに素敵なドレスを着られるチャンスなんて、もう二度とないかもしれないと腹をくくった。

 ちなみに仮面は、学園に咲いている大きな花をこっそり拝借して、レースと合わせて自作してみた。

 これが、なかなかの仕上がりで、ほかの令嬢たちから羨望のまなざしを向けられた。ふふふ。私、意外と指先器用なんですよねー。前世でちょちょっと手芸をたしなんだことと、幼少期に苦労したおかげで。

 とまあこんな感じで、私はルンルンで踊っているのだけど。対称的に、いつも優雅な貴族クラスのほぼ全員は緊張を隠せず、ギクシャクと踊っている。ダンスがいつもより硬い。

 そりゃそうだよね。男子の中には王族クラスの二人が。女子の中には王太子のお姉さまが混じっているのだ。ダンスでミスれば不敬罪だ。その上、見物している平民たちに笑われるという不名誉もついてくる。泣きっ面に蜂だ。恐ろしい…。


 とまぁ、現実から目を逸らしているわけだけれども。


 その理由は2つ。

 それは、私のお隣がドレスを貸してくれたお姉様であること。


 ……うん。

 うんうん。


 ただの上級生かと思ってたけど、一緒に踊るクラスメイトじゃない女性。それってピンチヒッター代わりの、王太子のあねぎ……み?


 その事に、男子側も気がついているらしく、私の次にダンスパートナーとなる彼女に気を取られ、男子たちは昨日の嫌悪はどこへやら。気もそぞろで、ミスが激しい。(足踏まれた痛い!)

 いや、そんなことはまぁどうでもよくて、私、昨日、失礼なこと……しまくったよね?!

 馴れ馴れしく泣きついて、お部屋にお邪魔して、ドレス1式お借りして。その後お茶までいただいて、楽しくお喋りまでしちゃって。普通の貴族だと思ってたんですが!?



 そして、もうひとつは。

 男子生徒側に、入学式の日に出会った動物の仮面をつけた相手4人が居ること。

 お前ら、同級生だったんかい!


 そんな私のツッコミはさておき、例年とは違って、生徒全員が青ざめながらギクシャクとしたダンスパーティーは、大きなトラブルもなく終えることが出来たのだった。

 ナニコレ。


正ヒロインは『華』ということで、自作の仮面にしてもらいました。

おそらくユリのような花を使ったのだと思われます。

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