表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/66

ダンスパーティー2

「お、おはようございまぁス……」


 恐る恐る教室のドアをあけ、やや小声で挨拶をした。

 ……まぁ、誰も振り向きもしなければ挨拶を返してくれるでもない。フツーにスルーだ。ツラ。

 けどまぁ『これが貴族社会よ』と割り切れているので、平常心を保ったまま自分の席に着席する。

 ところが今日はなにやら教室がザワザワと落ち着かない様子だ。教室のあちこちに出来たグループから、どちらかというと、黄色い声よりのザワザワが聞こえてくる。つまり私がスルーされたのではなく、本当に気が付かなかったのだろう。なんとなくホッとする。

 そうなってくると、話の内容が気になってくるもので。なんとか聞き耳を立ててみるものの、内容までは聞き取れない。残念!


 まぁ『聞こえないものはしょうがないよね』と、そうそうに諦めたけど、ソレは担任の先生の朝のホームルームであっさり明かされることとなる。その内容は

『貴族のダンスパーティーに王族クラスの2名が参加することになった』

 というものだった。


 なるほど、それは女子の皆様は浮き足立つわけですね。


 自領地に篭っていた私と言えど、流石にそのくらいは知っている。王族や上位貴族とダンスをするということの名誉を。下手をすれば、これが『出会い』となり 『縁』となるのだ。まして、今回の王族の話はジュリーによれば『王太子』様なのだ。どんな形でも『ご縁』ができ、覚えめでたい関係になりたくない子女が居るだろうか。


 居る。ココに。それは私だ。


 そんな偉い人と踊るとか、何それ怖い。

 万が一にも足とか踏んじゃったり粗相でもしたらどうするのよ。と、身震いする。想像しただけでも怖いのに。出来れば当日は、お腹痛くして休みたいくらいだ。これ以上目立ちたくない。悪目立ちしたくない。そう考えただけでも頭が痛くなるよ。

それに、私悪役令嬢なのだ。王太子にまでそんな役割をぶつけて、あっという間に処刑コースに入りたくない。ゾッとするよ。


 まぁ、そんなことを考えるのは多分私だけなのだろう。だって、女子の皆様は、期待に満ちた瞳をキラキラさせてらっしゃるもん。


 あれ?

 でもそうすると、男子は何を話してたんだろう?なんて疑問も、直ぐに解決することになる。

 男子の問題。それは

『男子が2人余る』

 ということ、らしい。


 本来、王族クラスの生徒がダンスパーティーに混じることはなく、見学か不参加になるらしい。ところが今年は、お2人の強い要望で今回の運びとなったらしい。

 ともすると、余る2人はどうするのか。


 貴族クラスは、男子20名、女子20名なのだ。男子が2人増えれば、女子が足らなくなる。

 ということは、皆が踊っている中、パートナーがいない、エアダンスをする生徒が2人いるということ。


 想像するとちょっと滑稽だね、それ。見学者の視線を一斉にあびること間違いなし。よかった、増えたのが女子じゃなくて。

 どこか他人事の私とは裏腹に、男子たちのザワザワは続いた。


 午前の授業が終わり、ランチを済ませ、午後のダンス練習へと時間割は進む。

 男子生徒たちのザワザワは、苛立ちへと変化していた。

 普段は鈍感な私だけれど、流石に分かるのよ。面と向かって手を繋いで一緒に踊っているのだから。ダンスリードが雑というか、乱暴と言うか……。昨日までの穏やかなダンスとは全くの別物だ。


 先生方も対応を決め兼ねて困っているようだが、早目に対応を決断していただきたい。そんなの、女子を2人増やすしかないんだから、先生か、平民か、協力して貰えばいいのに。そんで、男子生徒たちにも落ち着いてちゃんと練習に集中してもらいたい。

 だって失敗したくないのよ。仲良くなった平民領の友達たちに嘲笑われて友達無くすのも嫌だ。王子様の足踏んで、不敬罪で捕まるのも、嫌なのだ。

 いや、もしかして逆かな?足踏んだら『悪役令嬢』っぽい?その方が私の役目を果たせるのだろうか?


 踊り疲れて段々私の思考が不穏になってきた頃、今日のギスギスした練習時間がやっと終わった。


 授業が終わると同時に、5、6人の男子が、青い髪の背の低い男子を囲い、どこかに連れ行くのが目に入った。

 まるで連行にも見えるあの連れ方は……イジメを連想させるものだった。

 でも、連れていかれてるのって、ジュリーが言ってた注目の『伯爵子息シャルル・クードリ』じゃないかな?そんな目立つ人が、虐められるの?!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ