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ダンスパーティー 1

 週が明け、意外とちゃんとした授業が始まった。

 とはいえ、中学に当たる部分までは各自が自宅に呼んでいた家庭教師や地域の学校など学習環境が違う。よって差異を無くすための復習がメインの授業のように感じた。この辺りは前世と変わらないね。

 そして、お昼を挟んで午後の授業はひたすらダンスだった。ワルツと、フォークダンスを合わせたようなダンスだ。

 全員で大きな輪になり、一定時1人の男子と踊ったあと、別の男子とペアを代わる、それを延々繰り返す、少し変わったダンスだ。

 それから、選択の授業は『私の好きに選んでいい』ということになった。

 ありがたいことに授業時間が被らないらしい。なら全部の授業に出てやろうと決めた。この世界で私に何ができて、何をやっていけるのかなんて分からない。けど、イザやりたい事が出来た時に知っておいて損は無いはずだから。

 あまり考えたくは無いことだけど、父に万が一が起こったら、私と母と2人で生きていくのに役立つはずだ。私が幼い頃に母が細腕で私を育ててくれたように、私も母の役に立ちたい。もっとも、今は父と、父の領地と、領民の役に立つために頑張りたいのだけど。


 目標が決まっていると、やる気と吸収力が違うようで。前世ではあれほど大嫌いだった勉強が、楽しくて仕方ない。

 1番前の席で真剣に授業を受ける私。

 寮に帰ってから、予習復習を欠かさない私。

 うん、誰だコレ。

 本当に私なのかと疑うレベルだけど。多分これ、幼い頃に一緒に勉強をしてくれた青髪の男の子の影響かもしれない。あの頃、私に勉強習慣を身につけさせてくれた結果かもしれない。こんな良縁を、前世でも欲しかったなって苦笑いをしてしまう。


「サラってば、思い出し笑いなんかしちゃってヤラシイの」

「やらっ!?やらしくないもん!」


 黙々と勉強してるかと思えばニヤニヤする百面相な私を見られていたらしい。声の主は、ルームメイトのジュリーだ。トレードマークのぶっとい三つ編みを解いているところをみるに、彼女はもうすっかり寝る準備を終えてしまっているようだ。


「ごめん、もう寝る?眩しかったよね」


 慌てて明かりを消そうとランプに手を伸ばす。


「ううん、まだ寝ない。勉強随分頑張るね。そんなに楽しいの?」

「うん。楽しい!目標があるって凄いことなんだなって思ってたの」

「へぇー。目標か。目標なら私にもあるな」

「聞きたい!」

「単純よ?父の新聞社のトップページをかざるような、とくダネを書くこと!かな」

「すごい明確だね!その時は必ず新聞買うね。今から楽しみ」

「ありがと。まぁ、まずは女記者にならなきゃなんだけどね〜」

「うーん……」


 身分差、性別差は、この世界ではまだ色濃い。前世でだって、100年も歴史を遡れば「男社会」なんてものがはびこってたらしい。この世界では、まだそーゆーのが根付いているのだろう。そんな世界でジュリーが『記者』になるとは、どれだけ大変なことなのかが容易に想像できる。どう言葉をかけていいものかわからず、背筋を伸ばした『考える人』のようなポーズをとった。


「アンタはさ、笑わないのね?」

「え?」

「アンタはそのままで居てよねってこと!それよりさ、貴族クラスの話を聞かせてよ!どんな感じなの?友達出来そ?」

「友達は……まだだけど……。クラスはね、あのね」


 それから私たちはまた夜更けまで話し込んだ。教室の作り。時間割。授業内容。

 驚いたことに、それらのほとんどが平民クラスとは違うという。こんな所でも差別があるのなら、なんの為に同じ敷地に同じ学校の生徒として通っているのか。全くもって不思議だ。

 そして、1番違うのが今週末に行われる『ダンスパーティー』なのだそう。

 私たち貴族は踊る側。ジュリー達平民クラスは遠くから見学する側。

 らしい。

 それって面白いのかと質問すれば


「まぁ、普段接点のない高位貴族たちまで見られるからね。下手くそなダンスしたら、思いっきり笑ってやるし。陰で」


 との事。

 という事は、私もダンスで失敗したら…笑いものになるということ!?

 こ、怖いー!!

進撃の巨人のような、男女差の無い社会は凄いなって思ってます。そうなる為にはもちろんこちら側の努力も必須だとは思いますが、それが最初から当たり前の世の中なら…?と思ったりもします。


2年生になると選択がより細分化され、専門的すぎる成績上位層は、平民も貴族と同じ授業をうけるようになってきます。ただ、多くの場合は貴族子息達が貴族然とする為…かもしれません。



そこに辿り着けるまでが遠そうだ…

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