密談2-1
「みんな、公平に出会えただろうか」
金髪碧眼の強いカリスマを放つ非の打ち所のない美男子、アクセル・クラヴィエ王太子が、その場にいる他3人の顔を見ながら言った。
ここは数話前に登場した密談部屋だ。
豪華なアフタヌーンティーの用意されたこれまた豪奢なテーブルは、扉という扉を閉め、陽の光を遮る重いカーテンをピッシリとしめた薄暗い部屋の中央に置かれている。
そのテーブルを囲む見目麗しい4人の男子の表情は、誰もが高揚し、頬を朱に染め幸せそうにニヤけた表情を隠す気もない。
淹れたての紅茶が注がれたカップからは湯気が立っていたが、本日も誰も手をつける様子もなかった。
「はい、アクセル殿下。無事図書館にて遭遇出来ました。図書館の本を愛おしそうに扱う彼女は、天使のように儚く繊細でした」
最初に答えたのは、青い髪をボブヘアーにした、女の子と見間違えそうな華奢な体つきをした少年は、シャルル・クードリ伯爵子息だ。彼の口から出たセリフこそ淡々としている。だが、表情はうっとりとしながら、赤く染った頬に両手を当てて目を潤ませている。その仕草が彼をより女の子のように見せているのだろう。
「うむ、本を読むサラは物静かで絵になるからな。私もそのサラを見たかった。シャルル、サラの様子の共有をありがとう」
王族専用の制服に身を包んだアクセル殿下は、シャルルの言葉を聞くと目を閉じ、うんうんと頷き薄く微笑んだ。
それに同調するかのように、ほか2人もうん、うん、と微笑みながら嬉しそうに頷いた。
「次は俺ですね、修練場に現れたサラは、まず初めに中央道具庫に向かいました。まるで武器に祝福を与える聖女のようでした。それから、俺の剣技を後ろから見ていたようなのです。俺の邪魔をしないようにする気遣いは守られる貴婦人さながらで。さらに立ち去る姿は、戦乙女、ヴァルキリーのように颯爽としていて強くも美しい振る舞いでした」
「マルク、共有ありがとう。好奇心旺盛で元気なサラが駆け抜けて行く姿が容易に想像できる。肖像画ではない生きたサラと、我々はこれから学び舎を共にするのだと実感が湧く」
オレンジに近い赤髪の、大人顔負けの体躯をしたマルク・ニースは、目をキラキラさせながら嬉しそうに報告した。それを王太子が受け、同じく目をキラキラさせた。
ほか2人の男子は、運動系が苦手なのか、不服そうな顔をした。
そのうちの1人、銀の髪を長く伸ばした細身の美形、エミール・オーモン公爵子息が口を開いた。
「次はボク。美術棟を回って歩くサラは、どの仕草でも、どんな瞬間を切り取っても絵になった。特に木漏れ日が落ちる東屋で、アンニュイに佇む彼女はまさに美の化身!このボクの華麗なる仮装と相まって……」
「エミール!お前はやりすぎだからな」
銀の髪をさらりと流しながら、うっとりとした表情で述べる口上を、王太子がピシャリと遮った。
それに続けとばかりにシャルルとマルクがぶーぶーと文句を言う。
「そうです!倒れるほどの衝撃を与えるとは何事ですか!」
「それは、彼女があまりにもボクの仮装が美しく……」
「そんなわけないでしょう。あれだけ走り回って体力が尽きていたところの衝撃はいかほどか」
「そんっ……」
「その上、生徒教員共に早々に校舎から退校するよう指示を出していたが為に、意識を失ったサラの措置が遅くなってしまった。何事もなく済んで良かったが、なにかあったらどうするつもりなのだ」
「う……」
銀髪のエミールに他3人が詰め寄ってはいるが、全員が
(そのお陰でサラに触れてしまった)
とほんのちょっぴりスケベ心を持っていたのは誰も口にしなかった。外見や見た目はともかく、まだまだ15歳の少年である彼らは思春期真っ盛りなのである。
全然知らない人に好き好き言われたらキモイ&怖いよね……
という訳で、彼らがどれだけ好きか説明したつもりなのですが、逆にアレだったかもしれないです……。
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