断罪から始まるそれ
新作始めました。
よろしくお願いいたします。
「デルフィーヌ・モントート嬢! 今日この時をもって、そなたとの婚約を破棄させてもらう!!」
金髪碧眼眉目秀麗高身長、文句の付けようがない美丈夫である見るからに王子様な男性が、目の前の燃えるような赤髪の美少女を指さして叫んだ。
王立学園での卒業パーティは、今年は王太子の卒業もあり例年よりも豪華絢爛だった。壁や棚にはふんだんに花々があしらわれ、テーブルには立食式では少し食べづらそうな豪勢な料理、ホールではこの国随一のオーケストラ率いる指揮者が自慢の演奏を奏で、それに合わせて色とりどりのドレスが花のように舞っていた。
「わ、私が何をしたと言いますの!?」
ディルフィーヌと呼ばれた赤髪赤眼の少しキツイ顔つきの美少女が叫んだ。
「何をしたのかだって?それは自分が一番知っているはずだろう!君はこのサラに毎日毎日甘い甘いお菓子をしこたま与えて太らせようとするなどの嫌がらせをしただろう!」
「そ、それは…!」
赤髪の少女は動揺し、よろめきながら1歩さがり、豪華な扇子で口元を隠した。
少女の無言の抵抗を確認すると同時に、王太子の横にこれまたオレンジ髪、青髪、銀髪のイケメンが3人並んだ。
「同じく、ドミニク・モルガン嬢!あなたとの婚約破棄をさせていただく!!剣術と称してサラに暴行を加え、虐めていただろう!サラに毎日毎日新しい生傷が増えていくのを俺は見ているのはもう耐えられない!」
「お、同じく、ソニア・パンジョン嬢。婚約破棄しましょう。あなたは勉強と称して、サラさんに苦手な科目を教えて貰うばかりで、彼女の勉強の邪魔をするなどの嫌がらせをし続けていましたよね?」
「じゃあ僕も。ジュディット・デコス嬢、婚約の申し出、白紙に戻させてね。君がサラを買い物に連れ回して破産させようとしてたの、知ってるよ」
この学校で、もっとも注目を集め続けていた高位貴族の彼ら4人が、それぞれの婚約者を指さし、次々と婚約破棄を申し渡していく。
あまりの出来事に、オーケストラの指揮者は指揮棒を落とし、ハーモニーとなるはずであった音のつぶたちは迷走し、曲に合わせて舞う色とりどりの華のようなドレスたちは動きをとめ、あるいはぶつかり、困惑し、彼らの視線は4人に否応なしに集まった。
今日は卒業を祝うめでたいパーティーのはずなのに、なんとも言えない空気が会場に広がっていく。
そして、そのまま、彼ら4人に集まっていた視線は、婚約破棄を言いつけられた4人の女性へ1度移り、その後私へと向けられた。
ただでさえ着慣れないギュウギュウに絞められたコルセットの上に、身の丈に合わない豪華なドレスを着ているだけでも苦しい。その上視線が物凄く痛い…。お陰で急に胃まで痛くなる。
おかしい、なぜだ、何故なのだ。
私は、『悪役令嬢』とやらに転生したのではなかったの?
一番おかしいのは、人々の注目を浴びながら、彼ら4人の背中を見ている私なのか。
それとも、私を守るかのように立っている彼らなのか。
そう。私こそが彼らが言う
『サラ』
なのだ。
『サラ・コンスタンタン』
ピンクゴールドのウェーブかかかった我ながら美しい髪と、鏡を初めて見たときにはビックリした可愛い顔、一応貴族だけど、1代貴族である男爵の父をもつ私。
ちなみに先程王子たちが述べていたことは事実ではあるけれど
※普通に楽しくお茶会してた。甘いお菓子もしょっぱいサンドイッチもありましたし、お土産までいただいて、私大助かり。
※暴漢に襲われかけた時に助けて貰って以来護身術を習っていた。全部寸止めだったし、自分でコケただけだし。恥ずかしいからむしろ見ないで…。
※一緒に勉強するってそういうことじゃない!?教えることで自分の勉強にもなるのよ?!
※確かにちょっとお高めのドレスを見に行ったこともあったけど、ウィンドショッピングってやつよ?無理やり買わされたことなんてないし、買っても小物とかで、色々アドバイスくれてたのに…。
という訳で完全に言いがかりだ。家同士で決める婚約を、破棄するほどの悪行なんて誰もしてないし、そもそも私たち、結構仲良しだからね!?
婚約破棄を言いつけられた令嬢たちが、困り顔でチラリと私を見る。
バッチリと目が合っしまい、私も不自然な苦笑いを返すしかない。
大量の汗を吹き出すように全身にかいてしまった私は、グギギギギッと首を横に傾けるので精一杯だ。
本当に、なにがどうなってこうなったの。
親友たちのピンチに何一つ良い案も浮かばない。誰か、タスケテ。
ずっと描きたいな、と思っていたのですが、とうとう書き始めることが出来ました。
見守っていただけると嬉しいです。
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どうぞ、よろしくお願い致しますm(_ _)m