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66話『バビロニアの王と盟友』

帝国の首都機関『バベルの塔』の地下にて、長年の封印が解除され再起動したアヌの使徒の一人【エンキドゥ】が、南花達の目の前に現れる。


「あぁ、久しぶりに箱庭の外の空気が吸えたよ…感謝するよ南花君…それに…」

カジノのディーラーの様な服装で中性的な容姿のエンキドゥは、両腕を思いっきり伸ばして深呼吸する。


「アリサ君?いや、モルガーナ…君、また姿を変えたのかい?」

エンキドゥは、一瞬にしてアリサに対して抱いた違和感を口にする。


「久しぶりの再会がこんな形で悪いね…あくまでもアリサ君と契約を交わして、私の意思と知識の一部が取り込まれている状態なんだよね。」

モルガーナが、アリサの言葉を介して再会の挨拶を交わす。


「ほお…確かに…僕の【創造主アヌ理眼りがん】がそう告げてるね。それにしても、アリサ君…これからの人生において重荷を背負わされることになったね。」

エンキドゥの対象の未来の全ての可能性を見渡せる瞳が、僅かに光る。


「はい、覚悟の上でモルガーナ様と契約を交わしました。」

黄昏時の書斎にて、モルガーナと対峙した際に垣間見えた未来を思い出しながらアリサ自身が言葉を紡ぐ。


「ふぅん…この僕を再起動させると決意した者達の…この世界への『権利ノブレス責務オブリージュ』を得たことに対する健闘を祈るとしようか。」

そう答えたエンキドゥは眼前に立つ…南花、アリサ、サクラ、コマチ、アオイ、ユキノ、ヨハンナ、ハンムラビに視線を向ける。


「アトラさんが懐中時計を私達に託した時点で、アトラさんからの【再構築計画リビルド・コード】に対する賛同は得られていますので…エンキドゥ様、承認を頂けますか?」

南花が恐る恐る申し出る。


「そうだね…もう一人のアヌの使徒、あの風来坊の琵琶法師が警鐘を鳴らしたのなら、僕としても賛成するよ…でも、その前に…」

そう答えたエンキは…何かを察知したかの様に、頭上の天井を見上げる。


次の瞬間、凄まじい轟音と煙と共に、天井の一部が崩れ落ちる…


そして、粉塵の中…一人の影の輪郭が徐々に濃くなってくる。


「ふん…また会ったね、王様。」

それまで感情の起伏が見られなかったエンキドゥの口角が僅かに上がる。


「あぁ、また会える時を楽しみにしていたぞ…盟友。」

地下の天井を破り現れた…このバビロニア帝国の王である【ギルガメッシュ】は、討伐した神獣の龍【ウシュムガル】の首を踏み台にしている。


室内に漂っていた粉塵が静まり返る…


「エレシュキガルを地上へ顕現させ…今回の一連の騒動の発端は、お前だなモルガーナ…」

ギルガメッシュが、モルガーナの意思を宿すアリサの方へ振り向く。


「ギルガメッシュも久しぶり…あくまでも私とエレシュキガルはお膳立てをしただけで、実際に行動を起こしたのは、南花君やアリサ君達…即ち今の帝国の意思だよ。」

そう答えたアリサの隣に立つ、ギルガメッシュを見ながら南花が頷く。


「お前も変わらず、言い訳を並べるのが上手いな…だが、源南花やアリサ・クロウの2人に協力した国民がいるのも事実だ…故に俺は、ここまで辿り着いた2人を阻む様な真似はしない…しかし、その代わりにだな俺の…いや俺達の気ままに付き合ってくれないか?」

ギルガメッシュが南花とアリサへ問い掛けた後に、エンキドゥに視線を戻す。


「源南花君とアリサ・クロウ君…君たちの身の安全は保証するから、僕達の道楽を許可してくれるかい?」

そう重ねてを許可を求めたエンキドゥは、上着の胸ポケットから正三角錐のサイコロを4つ取り出す。

その黒いサイコロは、各頂点のうち一点のみが白くマーキングされている。


「ふっはは!エンキドゥ、自身の魔術の術式をさいに折り込むとは…お前は本当にゲームが好きだな!」

ギルガメッシュは、相変わらずの盟友に対して高らかに笑う。


「僕に、ボードゲームは思考力を高める一助になる上に、人間同士の絆を深める有効な手段で、人類が生み出した有用な文化の一つだと…そう教えてくれたのはギルガメッシュじゃないか。」

エンキドゥも過去を思い出しながら微笑む。


創造主アヌから遣わされ…その指示に従うだけの土人形だった、お前が言うようになったな。」

皮肉を返したギルガメッシュは、統括長ドミニウムの証である軍服の内ポケットからドミノ牌を2つ取り出す。

そのドミノ牌の表面は上半分が黒く、下半分が白いモノクロであり…裏面は、その逆である。


「お~い…二人とも、南花君達から許可を貰うの忘れてない?」

モルガーナの意思が、盛り上がる2人の会話の間に割って入る。


「ふっ…俺とした事が、浮かれ過ぎていたな。」

「モルガーナありがとう…僕も忘れるところだったよ。」

エンキドゥと目が合った、南花とアリサが頷く。


「それじゃあ…僕の箱庭の世界に案内するとしよう。」

そう答えたエンキドゥが右手の指を鳴らすと…今度はトランクの中からぬるりと、35ミリのフィルムを映す映写機が姿を現す。


そして、映写機の右側面に付いたハンドルが勝手に回転し始める…


次の瞬間…南花を皮切りに、次々とエンキドゥの映写機の中に吸い込まれていき、地下の倉庫は無人と化す。

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