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57話『トバルカインの弾丸・中編』

帝国の魔術師として最高峰の統括長ドミニウムの一人であると同時に、科学者ギークでもあるエンキは、不敵な笑みを浮かべている。

ギルタブリルを共に討伐した部下2人との戦いと言う名の実験の楽しさ故に…


エンキと最も近い間合いを取るのは、アリサである。

そのアリサの背中から生える両翼が羽ばたくと…

それに呼応するかの様に路面の石畳が剥がれ、無数の石塔が形成されていく。


その石塔に対して、ヨハンナの手元から放たれた赤い羽根が組み込まれていく。

そうすることで、魔術による攻撃への耐性を持つ遮蔽物と化す。

それと同時に、アリサが錬成する武器庫としての役割も有している。


エンキと最も遠い場所に生えた石塔の遮蔽物に南花は、その身を隠しながら援護の体勢に入る。


「それじゃあ、私も防御壁を展開しよう…」

エンキのその一言の後に、複数層の半透明な装甲術式【イージス】が展開された上に…

支柱の先端にある石英クォーツが回転することで、電撃が放出される術式【タレス】がアリサとヨハンナへの集中砲火を開始する。


「ッウ…」

前衛のアリサは、黒鉄くろがねの翼で飛び上がり…その雷撃を回避しつつ反撃に移る。


「街よ…うねりなさい…」

そう宙を舞うアリサが詠唱すると、レンガ倉庫の街に設置されている街灯が蛇の様に、蛇行し始める。

街灯の先端が鋭利な刃へと変質し、エンキの防御壁に斬りかかるが…


「クッ、クク…その程度の威力では、私のイージスは一枚も突破することは不可能だよ…」

防御壁へのダメージは入らずに、弾き返されてしまう。


「そうだよね…アリサちゃん一人の火力だけでは厳しくとも…」

僅かに口角を上げたヨハンナは、更に数枚の赤い羽根を地面にばら蒔く。

すると、その羽根達が…エンキが術式イージスによって展開する盤面に干渉ハッキングし始める。


「流石は、ヨハンナ君の干渉術式だねぇ…」

エンキの手元で浮遊する半透明な菱形の立体物キューブにノイズが走り出す。

その干渉ハッキングに対応する為に…エンキは、その立体物キューブを右手の人差し指で上下左右に忙しなく回転させ始める。


「よし…今だね…」

エンキが、ヨハンナの干渉ハッキングに気を取られ始めたタイミングで、南花はアリサから受け取った半自動式拳銃セミオートピストルで狙いを定めて発砲する。


そして、半自動式拳銃セミオートピストルから放たれた銃弾達は、エンキが展開する銃座【タレス】の一つの先端にある石英クォーツを粉砕する。


「よし…先ずは一つ。」

すかさず遮蔽物に身を潜めた南花は、新たな弾倉マガジンを装填する。


そして…前衛のアリサが、エンキの眼前を飛び回りながらも、新たな街灯を刃へと変質させて、エンキの防御壁に斬りかかる。


タレスによる残りの銃座が、アリサに惹き付けられたタイミングで、再び南花が狙いを定めて、また一つの石英クォーツを撃ち砕く。


「(その拳銃の威力は、想定外だよ…)」

エンキの手元に浮遊する半透明な立体物キューブの一部が警告を表す赤色と黄色で、交互に点滅し始め…

その点滅に急かされるかの様に、エンキの右手の人差し指の動きが更に早まる。


そうこうしているうちに…ヨハンナの干渉術式によって、エンキの術式イージスの盤面が赤く染まっていき…ノイズ混じりのヨハンナの分身が増殖し…

確実にゆっくりとエンキの防御壁に向けて歩を進めてくる。


エンキはタレスの銃座で、防御壁へ近付く分身達を一掃したいが…

南花の的確な射撃が、着実に石英クォーツの数を減らしていく。


そして、ヨハンナの分身達が防御壁に触れると、そのノイズが伝播し…

防御壁に綻びが見え始める。


「これ以上、好きにさせないよ…」

そう憤りを噴出させたエンキは、広範囲な雷撃を放ち…

ヨハンナの分身を全て消失させ、アリサとの間合いを空ける事に成功する。


そしてエンキは、南花達3人を同時に無力化させる為に、切り札を切る。


「【メーエアプス・ヴァジュラ】」

その一言を機に、エンキの眼前に五角形ペンタゴン電磁砲バレルが展開される。


「久しぶりのエンキ君との決闘だ…私も全力で答えよう…」

またしても、アリサの口調がモルガーナのものに、一瞬だけ切り替わる。


そう呟いたアリサは、黒鉄くろがねの両翼で全身を覆い隠したかと思いきや…

特別な一丁を錬成する。


「なに…その大きさは…」

南花は、アリサが生み出した150センチ程の大きさのライフルに驚きを隠せない。


「それは…太古のバビロニアとティアマトの大戦にて、双方の神々を葬った末に危険過ぎるが故に廃棄された…対神格狙撃銃【トバルカイン】を再現したと言うのか…」

エンキの声には、畏怖と好奇心が同居している。


「ふっ…ふふ、良いだろう…その伝説の複製ライフルと私の【ヴァジュラ】と性能を比べようじゃないか…」

好奇心が勝ったエンキが高らかに笑う。

「あぁ…次の一撃で終わらそうじゃないか…」

モルガーナの意思に合わせて、アリサが微笑む。


そして…エンキとアリサは、お互いに狙いを定める…


「ヴァジュラ、射出…」

「トバルカイン、発射…」

同時に強大な一撃を放たれたレンガ倉庫の周辺は、強い閃光と爆風によって支配される。

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