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18話『ペコの1日と超大盛りカツカレー』

バビロニア帝国にいる、西圏側の騎士と東圏側の兵士の中でも、選りすぐりの人物しか所属する事を許されない、【首都機関兵】…


その首都機関兵に、史上最年少で配属された女性【ペコ・フラワリー】の1日は、

一杯の紅茶アッサムから始まる。

紅茶を飲み、クロワッサンを食べつつ、その日のスケジュールを確認する。


朝食ののち、カシスの様な色合いの長髪をツインテールの髪型に纏め…

トレーニングウェアに着替えると、自室を後にする。


【バベルの塔】の半径約2.5キロ程の外周を、朝日が昇るなか2周走るペコ。

そして、走り終えると、首都機関の下階にあるシャワールームへと向かう。

シャワーを浴びた後に、ペコは同じく下階にある売店にて朝刊を買い、再び自室に戻る。


一通り、朝刊に目を通したペコは…

エリートの証である【首都機関兵】の軍服を着て、護身用の回転式拳銃リボルバー

レッグホルスターに納め、仕事へ向かう。


ペコが、首都機関の中階にある、エリートが集う職場オフィスに着き自分の席に座ると…

上司が挨拶と共に持ってきた一枚の書類を確認する様にと促す。


「えっ、ぇえ!?」

ペコは、ピシッと決まった身なりに反する様な、驚きの声を上げ、立ち上がってしまう。

周囲からの視線を集めてしまったペコは、オホンっと気を落ち着かせて席に着く。


「(ハァ…嘘でしょ…)」

次のギルタブリル討伐作戦に関する懸念が増えたペコは、思わず右手で頭を抱えてしまう。

「(でも…仕事だし、仕方ないわ…)」

そう自分自身に言い聞かせたペコは、取り敢えず午前中に裁かないといけない、書類の山に次々と判子を押していく。


ーーー


時計の針が正午を回り、午後からの憂鬱な仕事に備える為にも、ペコは首都機関の下階にある食堂へと足を運ぶ。


首都機関食堂の木曜日オススメセットメニュー、BLTサンドイッチとロイヤルミルクティーを頼み受け取ったペコは、空いている席を探し歩き回るが、なかなか見つからない…


ふと視線に入った一角に人だかりが出来ていることに気付く。

どうやら首都機関食堂の大食いメニューへ挑戦している人間がいるらしい…

約4キログラムのカツカレーを、制限時間30分以内に食べきれば成功というルールだが

今までの、成功者は約5%程度しか居ないレベルの難易度を誇る。


「(ふん…低俗な挑戦ね…)」

と言いいつつも、気になりペコの足が止まってしまう。


「あの女の子、病み上がりなのに凄いな!」

「あと2分半か…行けるんじゃないか?」

野次馬である首都機関職員達の隙間から、ペコもどんな女の子が挑戦しているのか見ようと割り込む。


そこには、車椅子に座った状態で、大皿の上に残り僅かとなったカツカレーを掻き込むコマチの姿が見える。

「コマチ、行けるよ!」

挑戦者の隣に座るアオイが鼓舞する。


「(あぁ、任せてくれ)」

げっ歯類の頬袋顔負けの量を、口に入れた状態でコマチは応え、ラストスパートを掛ける。


「お、お願いだから!食べきってねコマチ!」

じゃんけんに負け、大食いチャレンジに失敗した際の支払いを持つ役になってしまったアリサも必死に祈る。


ゴクン…食べきった事を示すために、コマチは口を開ける。

機械式針時計ストップウォッチは、残り時間28秒を指している。


「やった~!」

難易度の高い挑戦への成功に、挑戦者と観客の歓声に沸く。

「コマチさん、凄いよ!デザート無料回数券、ゲットだぁ!」

成功の余韻に浸る南花だが…


「あっ…」

「へぇ?」

南花と野次馬の一人と化していたペコの眼と眼が合う瞬間、険悪な空気が流れ始め…硬直する旧知の間柄の二人。


ーーー


大食いチャレンジの余韻も冷め野次馬も解散し、南花達5人とペコが相席する形で昼食を食べているが…

南花とペコの二人は会話を交わそうとしない。


「えっと…南花さんとは、どんなご関係になるんですか?」

見かねたサクラが切り出す。

「あぁ…こちらは、私と同じで元第四騎士団の人で、今は帝国機関兵として働く、盾ゴリラことペコ先輩。」

早速、デザート無料回数券で交換したパンナコッタを頬張る南花が、仕方なく紹介する。


「はぁ?盾ゴリラってなによ!ちゃんと紹介しなさいよ!あと、私の方が歳上なんだから敬語でしょ!」

ガタン!っと勢いよく立ち上がったペコが、自ら名乗る。


「オホン…私は、ペコ・フラワリー。そこの銃いじりが好きな風変わりなメイドが言っていた通り、元第四騎士団の一員で…史上最年少で首都機関兵の昇格試験を合格したのよ!」

ペコは威勢良く名乗るが、BLTのトマトの欠片が口元についており締まらない。


ふ~んという感じで見上げる、アリサ・サクラ・アオイ…

「そのBLTも美味しそうだな。」

超大盛りのカツカレーのみでは、物足りなかったコマチは生唾を飲み込む。


「最年少で合格したと言っても、他の受験者の不正がバレた結果の繰り上がり合格だけどね。」

黙々とパンナコッタを食べる南花が、更に続ける。

「それに模擬戦闘試験の際に、ペコ先輩が使用した盾は、私が調整してあげたにも関わらず…何のお礼もなかったし…」


「あの時の私の盾を調整してくれた?あれは、あなたの父の鉄之助氏が残した、レシピを流用しただけで…礼を言うべきは、帝国随一の武器職人に対してでしょ?」

南花とペコはお互いに譲らない。


「ペコ・フラワリーさん…次のギルタブリル討伐作戦に参加される盾兵ペルタストの一人ですね。」

アリサが思い出し、切り出す。

「えぇ、その通りよ…そういう、あなたはフェルム少佐のご息女であるアリサさんね、よろしくね。」

アリサとペコが、握手を交わそうとするが…


「アリサ、気をつけて…20キログラムの盾を片手に、もう片手で槍をぶん投げる盾ゴリラだから、骨を折られないようにね…」

嫌味を続ける南花。


「それは、私が四神格の持ち主で、身体能力が増幅されているからでしょ!遠い距離から攻撃する卑怯なメイドさんと違って、最前線で戦えるアテナなのよ!」

「普通、そういうのって、周りから言われる物じゃない?」

冷静に突っ込みを入れる南花。


「とぉにかく!次の討伐作戦では、南花さんは…私達の盾の後ろでチクチクと撃っていなさい!良いわね!」

そう吐き捨ててペコは立ち去ろうとするが…


「おい、ペコさん…付け合わせのポテトフライを忘れているが、貰っても良いか?」

南花との口喧嘩のせいで、生まれた食べ残しを狙うコマチに呼び止められる。


「えっ、えぇ…どうぞ(ウソでしょ?超大盛りカツカレーを食べたばかりなのに!?)」

午後からの仕事として出会う筈だった南花達と不意に出会ってしまった上に、コマチの底無しの食欲に押され、ペコは職場へと逃げ帰る。

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