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17話『首都機関と5人のガンナー』

帝国首都機関【バベルの塔】下階にある、射撃場にいる南花とアリサ達…

複数ある射撃ブースの内の一つに立つ南花は、機関部下レシーバーにある内蔵式の箱型弾倉ボックスマガジン、レバーアクションの引き金が特徴的なライフルを構え、標的に狙いを定める。


その標的は、前回の接敵せってきにて回収した、ギルタブリルの外皮の破片を解析し、擬似的に再現された素材を用いている。

南花がレバーアクション式のライフルの引き金を引く。


そして、放たれた30口径のライフル弾は、見事、標的の中心部を捉えダメージを与える。

対ギルタブリル用に改良された弾丸によって、クロワッサンの様に薄く無数に重なる装甲の内、表層の3層程が砕け落ちる。


レバーアクション式のライフルを射撃スペース内の台座に置いた南花が、右側に設置されているハンドルを回すと…

頭上のケーブルが連動し、吊るされている標的が南花の眼前まで迫る。


「う~ん、一発でこのくらいの威力か…」

南花が間近で損傷の程度を確認していると、隣からひょっこりとアオイが顔を覗かせる。

「南花さん、どんな感じですか?」

「うん…私的には、もう少しダメージを与えられると思っていたんだけどなぁ…」


アオイに対して難色を示した南花は、ハンドルを先程とは逆回転させ、標的を再び、想定する射程距離に設置する。

「私も撃ってみようかな。」

今度は、アオイがレバーアクション式のライフルを手にし、狙いを定める。


その南花とアオイのやり取りを、後ろから見つつ会話をするアリサとサクラはベンチに座っている。

2人が座るベンチの隣には、【ディール迷宮杯クルム】にて負傷したコマチが車椅子に乗った状態で、射撃音が響く中で、うつらうつらとしている。


「そう…コルネッティ伯爵の件は、容疑者の特定は難しいのね…」

自分たちの演目の裏で起きていた、惨事を口にするアリサ。


「うん…支配人も冗談半分に言っていたけど、色んな人から憎まれ過ぎているって。」

「利害関係が前提とは言え、3人の幼い頃から、衣食住を提供し続けてくれていたものね」

コルネッティの悲報に対して、サクラの複雑な気持ちに、アリサは寄り添う。


若干、俯いているサクラの首元に残るチョーカーに、アリサは視線を向けつつ問い掛ける。

「サクラ、そのチョーカーは外れないのかしら?」


「えっ…あぁ、このチョーカーの術式は支配人の手によって施されたのじゃなくて、バール家に伝わる魔術書による契約だから…」

サクラはチョーカーを擦りながら続ける。


「このチョーカーに関する契約は、その魔術書に記されていて、あくまでも支配人は、その権限を行使していただけだから。」

そうだったのね…っと短く応えたアリサは、考え込む様子を見せる。


そんなアリサを横目に、眠気に襲われていたコマチの意識が急に冴え…

そして、コマチはクンクンっと鼻を利かせる。


次の瞬間、射撃場のドアが開き、帝国憲兵アハトが5人の元に訪れる。


「あぁ、丁度良かった…皆さん、お集まりでしたか。」

アハトは、コツコツとベンチに座る2人の元へ歩み寄る。


「アハトさん、3人には迷彩魔術は使わないんですか?」

南花が皮肉を言いつつ、アオイと共に集まってくる。

「フフッ…仮に使ったとしても、今回はドアを開けた時点でバレる可能性が高いじゃないですか。」

仮面で目元は見えないが、口元は僅かに笑っているアハト。


「サクラさん、コマチさん、アオイさん…初めまして、帝国憲兵のアハトと申します。エンキ局長からの指示にて、皆さんのフォローをさせて頂いております。」

頭を下げるアハトに対して、サクラ達も頭を下げる。


「はい、春川サクラです。こちらこそよろしくお願いします。」

最初にサクラが応じ、その次に…

「私は、秋山コマチだ。よろしく…」

コマチは自己紹介の途中で、アハトに近付き、全身を嗅ぎ回る。


「えっ……そう言えば、コマチさんは優れた嗅覚で、地下道化師トネリコとしても活躍されていますよね。」

アハトは唐突な行動に戸惑いつつも、事前に得ていたコマチに関する情報を思い出して、上着のポケットから、スティック状のレーションを取り出し渡す。


「緊急用の味気の無い物ですが、良ければ差し上げますよ。」

「なんだ…レーションの匂いだったのか、有り難く頂戴するとしよう。あっ…秋山コマチだ、よろしく頼む。」

コマチは首を傾げつつ、チョコ味のレーションを受け取ったついでに、途中だった挨拶をする。


「同性とは言え、初対面の女性を嗅ぎ回るなんて…コマチが失礼しました。私は、御夏みなつアオイと言います。よろしくお願いします。」

コマチに代わって、アオイがペコリと謝る。


「いえ、問題ありません。さて、本日の本題についてですが…」

気を取り直したアハトは、南花達に対しても、ギルタブリル討伐の計画について説明をする。


「なるほど…確かにこれは行けるかもしれないね。」

先ず、サクラが好感触を示す。


「半神格の統括長ドミニウムの方達の魔術を見れる機会なんて、滅多に無いから、ちょっと楽しみかも。」

「確かに、アオイの言う通りだな。」

少し論点がずれたアオイに、レーションをモゴモゴと頬張るコマチは同意する。


盾兵ペルタスト役との連携が重要になるわね。事前に顔合わせしていた方が良いわね…南花、付いてきてくれるかしら?」


盾兵ペルタスト役の候補リストを握ったまま、硬直する南花から返答はない。

「うん?南花、聞いてる?」

アリサは怪訝な表情を見せつつ、再度、問い掛ける。


「えっ、え?聞いてるよ!アリサと地下道化師トネリコ側の代表としてサクラさんが、顔合わせして来たら良いんじゃないかなぁ~なんてね。」

動揺を隠せていない南花は、候補者リストの一人である、女性の顔写真に対して、現実逃避したくなる。

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