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寡黙なVtuberは心手遅れ……?  作者: 貞 多楽
001 馴れ初め
3/3

【2】切り取った感情論をⅡ

以下省略(((

C-α室が見つからず、彷徨うこと数分。

やっとの思いで目的地に到着した。時計を見れば、そこには面接開始時間ギリギリを指す短針と長針。


「……っ、やば」


扉には【瀬々蘭様】と書かれている。

もう入ってもいいのだろう。


ワタシはコンコンコンッ、とノックをする。

すると部屋から「入ってもどうぞー」という声が。

ハキハキと喋れるよう小声で舌を回してから、その扉を開いた。


しかし、部屋内は真っ暗。

窓はカーテンで遮られ照明はひとつたりとも付いていない。

今聞こえた声は、もしかして幽霊の仕業——


『やぁやぁやぁ。面接官のお出ましだぞ〜』

「ひいっ!?!?」


目の前に突如として現れたホログラム。

ワタシは自分でも信じられないくらいに甲高い悲鳴をあげてしまう。


『……思ったよりビックリしてくれたね、君』

「……忘れてください」


それにしても、このアバター。

どこかしらで見覚えがあるような……まさか、天下のstliveでも、

自社のVtuberを面接官に使うだなんて、そんなことはありえないはず。


「ひとつ、質問いいですか」

『ん〜?機密情報以外なら何でも答えてあげる!』

「多分違うと思いますけど……

 貴方って、櫻樹コウ……ですか」

『……よくわかったね。世に出してない極秘衣装なんだけどなぁ、これ』


流石stlive。素直にそう思った。

企業面接に自社の配信者を起用するだけに留まらず、正体をバラさないために新衣装を用意するとか……。


「すごい会社ですね、ここ」

『それは僕もそう思う。じゃあ時間も時間だし、ちゃちゃっと面接済ませちゃおうか』

「ちゃちゃっと、で済ませるものじゃないと思いますけど。面接は」


その後は真面目なお仕事モードに切り替わった。

普通にイメージ通りの面接と言えばいいのだろうか。

そして、彼は最後の質問。そう言ってワタシにひとつ問いかけた。


『君は……一体ここで何を成し遂げたい?』

「……何を、ですか?」

『そう。簡単に言えば目標だね。目標があれば挫けにくいからね〜』


ワタシはふと考える。

元々成り行きで応募したようなもの。特別な感情はない。

目標なんて、ワタシには——。


「後々、と言ったらダメですかね」


そう答えるしかなかった。

特別な感情を持たぬワタシは、今夢を見つけろだとか。目標立てて進めだとか。そんなことは出来っこない。自分で分かりきっている。


だから、ワタシは進む先々で目標を決める。

小さな目標をひとつひとつ達成して、いつか大きな山にする。

それがワタシの信念。


『ふふっ……それが、君の答えでいいの?』

「一寸先は闇ですから」

『そっか、よし、面接はこれで終わり!結果は楽しみに待ってな!』

「まぁ、期待半分で待っておきますよ」


そう言ってワタシは部屋を出た。

微笑む彼を知らぬまま。

ブクマ、コメンt(((ry

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