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「ラオ、ただいま。」
「うお!マジか。本当にすぐ戻ってきたな。」
「ターゲットになった4人組も無事だったよ。」
「それは良かった。悪くなる前に血抜きして捌くか。あぁ、ウィルはあまり見たくないだろ?」
「血抜きは移動中にしたから終わってる。捌くところは、あまり見たくはないが・・・。」
「え?血抜き終わってる?どういうこと?」
「あぁ、移動中に流動で血だけ抜いて燃やした。」
「そう。そこも魔術が活躍したんだね。もしかして冷却とかできたりする?」
「あぁ、どれくらいの温度まで下げる?凍らせるか?」
「この大きさのままで凍らせたら持ち運びが大変だから、とりあえず5℃くらいまで下げられる?今夜捌いて、切り分けてから凍らせてもらおうかな。」
「分かった。」
私はオークを冷却した。
「ところで、これただのオークじゃないよね?」
「襲われていた4人組はオークジェネラルだと言っていた。」
「マジか。オークジェネラルなんて、災害級じゃないか・・・。
で、どうやって倒したのか聞いてもいい?戻ってくるのが早かったから一瞬で倒したんだと想像はできるけど、ウィルの魔術には発見が多くて色々聞いてみたい。」
「細い風の槍を魔術で作って、喉と心臓を一気に貫いただけだよ。」
「一気に貫いただけだよ。って・・・
オークジェネラルをそんなにあっさりと。これが最年少で魔術部隊の中隊長になった男の実力か。」
「俺は運が良かっただけだ。」
「いやいやいやいや。
オークジェネラルなんてね、複数のAランク冒険者パーティーか、騎士団の小隊が少なくとも3つは出ていくレベルだよ?
とても1対1で戦うような魔獣じゃないよ。
みんなで連携して、必死に戦うってレベルだと思うけど。」
「そうなのか?それは少し動きを見ておけば良かったな・・・。
失敗した。それほどのレベルの魔獣なら観察して隊員たちの今後に役立てるべきだった・・・。」
王都付近に生息している魔獣だけでなく、ちゃんと色々な魔獣や上位種も勉強しておかなければいけないな。
これが行軍中で、知らないまま隊員たちに対処させていたら危険だったかもしれない。
私もまだまだだな・・・。少し落ち込んだ。
「ウィルが部下を大切にしてることは分かってるけど、俺としては、傷もなくこれだけ綺麗な状態で倒してくれて嬉しいけどね。」
「そうか。今度オークジェネラルと出会ったら少し戻りが遅くなるかもしれない。」
「それは構わないけど、そうそうそんな個体に出会うことはないからね。
逆にそんな個体によく会うなんてことがあったら、スタンピードとかの異常事態だと思う。」
「災害級というくらいだから、そうなんだろうな。失敗したな・・・。」
「他のオークを引き連れていなかったことを考えると、何らかの条件でジェネラルに進化したばかりだったのかも。」
「確かにオークのような群れる魔獣の上位種が単独行動をしているのは珍しいな。」
「まぁ、考えても分からない問題だし、とにかく今は先に進もう。」
「そうだな。騎士団に報告だけしておくよ。」
私は中型の伝令魔獣を出すと、オークジェネラルが出現したこと、倒したこと、出た位置を大まかに地図で示して、騎士団長宛に魔獣を放った。
まだギリギリエトワーレ王国内だし、春が近づけばまた調査はするだろうが、災害級の魔獣がこれほど森の浅い場所に出たことは、報告が必要だろう。
他には・・・
森の奥10キロほどまで索敵を広げてみたが、冬だからか森は静かなもので、オークの群れどころか、普通の動物などが動いている気配もなかった。
みんな冬眠中か。
こんな時期に動いているのは人間と人間と共にあるものだけだろうな。
まぁでも、今回は被害などが出なくてよかった。
災害級というくらいだから、街道まで出てきて村などを見つけたら、大変なことになったかもしれない。
ラオが肉がほしいと言っていたため倒して持ってきたが、やはりオークジェネラルを担げるわけもなく、荷車にも乗せられなかったので、私が担いでいくことになった。
こうなると思ってたよ・・・。
重力操作で重さは感じないが、獣臭さがある。薄っすら生えている体毛の感触も不快だ。
「ラオ、こいつさっさと捌かないか?重さはいいんだが、獣臭さと感触がどうもな・・・。」
「あぁ、そうだよね。ずっと担がせてすまん。あの木の下の辺りで捌こうか。」
「そうしてもらえると助かる。」
ラオはたぶん手際よく捌いていったんだと思う。
私が見たときには、綺麗に骨と肉が分かれており、皮や頭、内臓や手足は穴を掘った中に入れて燃やした。
結局、解体した後の肉も骨も私が背負っていくことになったが、獣臭さとあの体毛の感触がなくなれば、荷物が多少増えてもどうってことはなかった。
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