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>>>リーゼ視点


翌朝、ウィル様のお見送りを済ますと、私はさっそく厩舎に向かった。


「フロイさん、おはようございます。お嫁さんが来てくれたんですね。おめでとうございます。」

ブルブル


「あなたがフロイさんのお嫁さんなんですね。私はリーゼです。

あ、私としたことが、ウィル様にあなたのお名前を聞くのを忘れていましたわ。帰ったら聞いてみますね。」

ブルブル


「本当に真っ白で綺麗ですね。フロイさんも真っ黒で艶々していてとても綺麗ですが、真っ白なあなたもとても綺麗。触っても大丈夫かしから?

嫌だったら避けてもいいですよ。」

ブルブル


私はそっと白い馬の首を撫でた。

白い馬は、私が触れても嫌がったりはしなかった。

柔らかい。フロイさんより毛が柔らかいんですね。女の子だからかしら?


ブルブル

ブルブル


何か2頭はお話ししているみたい。



すると、フロイさんの鬣が銀色に光って、その後に白い馬の鬣も銀色に光った。


え?

もしかして魔術を使った?



ブルブル

ブルブル


「ごめんなさい。私にはあなたたちの言葉が分からないの。ウィル様が帰ってきたら、またお話ししましょうね。」


何か私に話しかけてくれているようだったけど、残念ながら私には何を言っているのか分からなかった。




「ウィル様、おかえりなさい。」

「ただいま、リーゼ。愛してるよ。」


「ウィル様、一緒にフロイさんのところに行ってほしいのです。あと、フロイさんのお嫁さんのお名前を教えてください。」

「ん?あぁ、忘れていた。まだ名前は無いんだ。一緒に考えようか。」


「はい。今朝、フロイさんのお嫁さんに挨拶に行ったら、何か私に伝えてくれたんですが私には何を言っているのか分からなくて・・・。」

「そうか。じゃあ一緒に聞いてみよう。」


ウィル様は私に左手を差し出して、私がその手に右手を重ねると、優しく握って微笑んだ。

今日もウィル様は美しい。



「フロイ、リーゼに何か伝えたかったのか?」

ブルブル


「ん?繋がりたいと言うのは?」

ブルブル


「もしかして、その子も特殊個体なのか?何をすればいい?」

ブルブル



「うーん、リーゼが痛いのは嫌だが一応聞いてみようか。

リーゼ、あの白い馬も特殊個体らしい。私とフロイのようにリーゼと繋がりを持ちたいそうだ。

だが、それには血をあげなければならない。」

「血を?それはたくさんですか?」


「いや、1滴でもいいと思う。私の時は手に血が滲んだ程度だったから。」

「あの子が望んでいるのですね。それならやります。」


「大丈夫かい?無理しないようにね。」

「はい。」



私は風の刃で、指を少し切って白い馬に指を差し出した。


白い馬が私の指を舐めると、また馬の鬣が銀色に光って、私の指の傷は治っていた。



ブルブル<リーゼ、私と繋がってくれてありがとう。>

「え?ウィル様、私、この子の言っていることが分かるみたい。」

「そうか。良かったね。」


私は嬉しくてウィル様にそう告げると、ウィル様も綺麗な顔で微笑んでくれた。



「あ、名前。」

「リーゼが決めるといいよ。きっとその子もそれを望んでる。」


「えっと、じゃあ雪のように白くて綺麗だからユキというのはどうでしょう?」

ブルブル<素敵な名前ね。気に入ったわ。>


「じゃあ今日からあなたはユキね。よろしくお願いします。」

ブルブル<リーゼ、素敵な名前をありがとう。>



「名前、決まったんだな。良かったなユキ。これからもフロイをよろしくな。」

ブルブル<はい。よろしくお願いします。>


「ユキがウィル様によろしくって言っています。」

「そうか。この家に馴染んでくれて嬉しいよ。」


「ユキ、あなたはなぜ私を選んでくれたの?」

ブルブル<リーゼの纏う空気はとても綺麗で、そこにいるだけで清浄される気がしたの。触れられた時に心地良かったのも理由の一つよ。>


空気?清浄・・・どこかで聞いたことのあるセリフだわ。

そうだ、私がウィル様に初めて結婚の申し込みをされた時に言っていた気がする。

私はウィル様をジッと見た。


「どうかした?私の顔に何か付いているかい?」

「いえ、ユキが私がそこにいるだけで空気が清浄されると感じたそうで・・・。前にウィル様も同じことを言っていたと思い出したのです。」


「うん。それは私は今でも感じているよ。そうか、ユキも感じたか。ユキとは仲良くなれそうだな。」


本当にそんなことがあるんだろうか?



「リーゼもユキに乗る練習をした方がいいね。きっとユキはリーゼを乗せたいと思う。」

「分かりました。頑張ります。」



ユキに乗るのは簡単だった。ウィル様がユキと私専用の鞍を買ってくれて、ウィル様が私を抱えて飛び上がって乗せてくれる。

そして手綱を握ると、ユキはフロイさんに乗った時のように私が落ちないように保護の魔術をかけてくれる。

だから私はただユキに跨っているだけでいい。




私は、こんなに幸せでいいんだろうか。

少し不安になってウィル様を見上げると、ウィル様は優しい顔で微笑んでくれた。


「リーゼ、大好きだよ。」

「私も、ウィル様のこと大好きです。」


きっと大丈夫。ウィル様はいつも私のことを守ってくれる。

これからは、私もウィル様のことを大切にして、ずっと支えていこう。



閲覧ありがとうございます。

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