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異世界同盟条約  作者: しょうゆ
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2.今、この瞬間

通勤中、不慮の事故(?)に遭った普通のサラリーマンである俺は異世界へ転生し、一国の王子になっていた。ただ、少し気になるのは女性でありながら王子であることだ。いや、まぁ良いんだけどさ…

「王子、大丈夫ですか…?随分とうなされていた様ですが…」

「あぁ、うん。大丈夫だよ。少し変な夢を見てしまったみたいで。」

床に転がり落ちていた俺は再びベットに寝転がり、思わず苦笑いを浮かべていた。

そんな俺をやれやれ…と言いたげな顔をしながらも何処か安心した表情を浮かべているのは、メイド長のナミ。えーっと…つまり、要するに俺のお目付け役兼お世話係さんだ。

生まれた瞬間の記憶が少し曖昧だけれど、俺を出産すると同時に王妃…つまり母親は亡くなってしまったらしく、ナミはそんな俺の母親みたいな感じでもある。

…。妙に鋭かったり、少しおっかない所もあったりするけれど基本的には優しいオカンである。

「変な夢…ですか?」

「そうなんだ、生まれた瞬間に死刑宣告されたり、紫色の雲が空を覆ったり、雷が俺に向けて降ってきたり…」

「またその夢ですか。全く、貴方はこの人族フォテネ国の第一王子なのですよ?まぁ、厳密にいえば女性ですが…死刑宣告されるようなことはありませんよ。」

「それもそう…だね。うん、やっぱり変な夢を見ていたみたいだ。」

そう、俺は人族の第一王子エル・アレキサンドロス。そして俺の国は人族を中心とした国…フォテネ。人族以外の種族も居るけれど、割合としては人口の8割が人族の平和な国だ。

そんなフォテネで王子である俺は女性であることを秘密…にしている訳では無いけれど公にはしていない。

一応性別に関する事情は王室関係者全員が承知しているけれど、国民に対しては公にしていない。そのこともあって、国民の皆は俺の性別が男性か女性かで王国7不思議の1つとしてネタにしているらしい。

まぁ、衣装も気を使って中性的な物を着ていたり、外見が何処か女性的な美しさがどうこう…とか色々言われている内に収集が付かなくなった部分もあるけれど。

性別を公にしていない理由としては、やはり跡継ぎ問題とか色々あるからだそうだ。

…。めんどくさいなぁ。

まぁ、そんな環境に慣れてきた自分も居るんだけれとね。

ただ、女性として生まれ変わってから慣れない事もある。

何に慣れないかって?それは、メイド達に着せ替え人形みたく色々な服を試着させられたり、化粧の練習台にさせられることだ。王の威厳何処に行った…いや、怖がられるよりはよっぽどいいんだけれどさ。

つまり、俺は王子として色々な教育を受ける傍ら、メイド達の魔の手(?)を上手くかわしつつ日々の生活を送らなくてはならないことだ。うん、可愛がってくれる事自体は嬉しいんだけれどね…

メイド達曰く…

「せっかくのお美しい髪が勿体ないですわ‼ささ、エル王子髪のお手入れを…」

「エル王子。幾ら王子とはいえ、お肌の手入れとお化粧をですね…」

「性別をお隠しにならなくてはならないのが勿体ない…折角可愛らしいお洋服を準備いたしましたのに…」

等々、メイド達はエル王子だいすきクラブと化しつつあるのであった…いいのか?これ?

「王子?明日もお早いのですから早くお休みになってくださいね。」

「あぁ、そうするよ。お休みなさいナミ。」

一礼するとナミは部屋を後にした。そう、あと2つ…転生してから変わったことがある。

1つ目は魔法やスキルの存在。初めは戸惑うことも多かったけれど、この世界では魔法や特別なスキル…要は特別な力や神秘が溢れている世界であることだ。

ゲームや漫画の様な世界で…手のひらから炎を出したり、空を飛んだりする事だってできるし、正直驚きの連続だった。

まぁ、その分野生の魔物や凶暴な生物がはびこっていたりもするけれど…

いや、話が逸れた。

そして2つ目なんだけれど…その肝心なスキルについて、俺の所持しているスキルが異常な事だ。どれも神様の名前…らしいんだけれど、どれも聞いたことがない名前だし、この世界の書物にも記述が一切ない────謎多きスキルな事だ。

そのスキル名は、ガウ神の加護、バズ神の加護、ドゥビット神の加護…この3つなんだけれど、どれも何かの神様の加護らしいんだけど…うん、ごめんなさい。聞いたことがない名前だわ。

そして肝心なのは、そんな正体不明のスキル…その性能が生前の世界で言う“チート”と言われるような性能をしていたんだ。

まず、ガウ神の加護。ありとあらゆる知識を集約された沢山の本を閲覧する事ができるスキルだ。更に便利なことにキーワードの検索機能等もあって、調べられる内容としては身近な節約術から医術の知識まであらゆる事が調べれれるスキルだ。要するにグー●ル先生なんだけど…改めて考えてもこのスキル便利すぎないか?

ただ、検索機能を使用した際に検索結果が出てくるまでに時間がかかったりするけれど…それにしても便利すぎるスキルだ。

次にバズ神の加護。このスキルを所持していると最適な判決・判断を下せる事が出来るスキルだ。判決って言ってもなぁ、俺が裁判官や政治家なら重宝して…うん、俺今、王子だったわ。もしかすると今後はよくお世話になるスキルなのかもしれないな。でも、俺は自分自身で考え行動して生きていたいと思っているから、よっぽど困った時じゃないと使わないんだけれどね。もし、俺自身の考えや行動がきっかけで不幸な目にあったとしても…後悔なんてしない。

そして極め付きはドゥビット神の加護だ。このスキルを所持しているだけで、ありとあらゆる武術を使いこなす事ができるって…いやいや、流石にチートすぎじゃないのか…これ。

実際、このスキルの影響か…大人顔負けの剣術を使いこなしたり、歴代最年少で剣術を競う大会で6歳にして優勝してしまったり…自分でも恐ろしい位に強くなっているのが分かる。

生前は高校生の頃に剣道を習っていたりした時期もあったけれど…自分自身、その時よりも明らかに動きが良くなっているのが分かる。…。なんだか複雑な心境だけど。

ただ…武術を使いこなせるだけで、筋力や体力までが強化される訳ではないから過信は禁物かな。

そのお陰で元騎士団長の鬼教官に目をつけられて、特訓や修行挙句の果てには演習訓練に連れて行かれたり大変な日々を送る羽目になってしまっている。おのれドゥビット神…


以上この3つが俺の使えるスキルなんだけれど…どれもこれも便利すぎるというかバランスブレイカーというか…うん、我ながらどれもチートの名にふさわしいスキルですわ。

まぁ、こんなにもやばいスキルを持っていたら意地でも王子の席に座らせておきたいよなぁ…まぁ、俺今は女だけれど。

それにしても何で俺はこんなにもやばいスキルを身に着けているんだろうか…それこそゲームや漫画に出てくる物語の主人公みたいな…

そして謎なのはそれだけじゃない。ガウ神、バズ神、ドゥビット神…この世界の書物にも記述が無いし、誰も聞いたことが無い上に、さっきのガウ神の加護で検索しても成果なし…本当に誰なんだろう。

うーん。分からないことだらけだ。でも今は明日に備えて眠るとしよう…

明日は早朝訓練だったから早く寝なきゃ…おやすみなさい…


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