表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/129

 ベランダの横に設置してある小さな部屋には、洗濯室であり、洗濯機と洗剤などが置いてある。棚をあさるが、それ用のものが見つからない。


 二階に降り、リビングに向かう。


「なぁ、栞。臭い消しのスプレーって、どこに置いてあるんだっけ?」


「あれね。確か洗面所にあると思うよ」


「分かった。ありがとう」


 俺はそのまま洗面所に向かう。


「あっ! 今は!」


 栞が何を言おうとしたのか、俺はそれを聞かず、訊き返そうともしなかった。


 そして、洗面所の扉を開ける。


「ええと、確か……。——えっ⁉」


 俺は、言葉を失う。


 なぜかというと、そこには生まれたての姿をした少女が、タオルで濡れた髪を拭いていたからである。


「あ、あれ?」


 俺はガン見というか、上から下まで全て見てしまった。


「あちゃ~。遅かったかぁ……」


 栞がこっちまでやってきて、額に手を当てながら、はぁ、とため息を漏らした。


「い、いや……。これはですね。何と言いますか、事故です、事故! 覗くつもりはなかったんです。ごめんなさい!」


 俺は反射的に言い訳をしながら謝った。


「きゃっ!」


 少女は、タオルで自分の体を隠そうとするが、タオルが小さすぎて、隠れていない。


「きゃっ?」


 俺は、彼女の言葉に首を傾げる。


「きゃぁああああああああ! 変態っ‼」


 と、言いながら、俺の腹の位置をピンポイントに思いっきり右足で蹴った。


「ぐへっ!」


 俺はそのまま壁に激突し、強く頭を打つ。


「お兄ちゃん……」


 栞は、俺の方を見下しながら、それ以上、何も言わなかった。


 これはご褒美なのか、それとも、地獄だったのか、考えるのも面倒だった。


 ラブコメの神様は、どうやら、俺には厳しいらしい。


「あいたた……」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ