Ⅷ
『その点に関しては、私が話をしてあげるわ』
と、いきなり葵の口調が変わったと思いきや、どうやらアリエスが覚醒したらしい。
「てか、なんで、お前、いきなり出てくるんだよ。葵には許可、取ったのか?」
『いや、全然。今の私は、自由に出入りできるみたいね。誰かさんのおかげで私の霊力は、安定しているし、これくらい普通よ』
「あ、そう」
俺は、アリエスがそう言うと、白けてしまう。
「それでアリエスさん。彼女の方はどうなっていますか?」
犬伏がアリエスに訊く。
『そうだったわね。今の彼女の中にいる天使は、私みたいに覚醒状態ではないと思うわ。中に宿しているのは確かだけど、さっき、話を聞いていたけど、あれじゃあ、本当にやばいかもしれないわよ』
「そうですか。アリエスさんの力では、何とかならないのでしょうか?」
『そうね。残念だけど、彼女と接触するか、より近い存在にならない限り無理かもね。ごめんなさいね、力になれないで……』
「いいえ、別に大丈夫ですよ。こちらも何らかの対処法を新たに考えてみますから」
犬伏は、アリエスにそう言った。
そして、アリエスは俺の方を振り向き、耳元で囁く。
『たまには葵を可愛がりなさいよね。じゃないと、面白くないわよ。例えば……そうね、あんなことやこんな事かしら?』
「なっ⁉」
俺はそれを聞き、びっくりして、つい、声を上げてしまう。
「おまっ! んな事、まだ早いわ!」
俺は葵の頬を引っ張りながら、アリエスに言った。
「いてっ、痛いですよ。陣君!」
「おお、すまん。つい……」
どうやら、瞬時に葵と再び入れ替わったらしい。
「別に大丈夫ですよ。でも、アリエスもアリエスです。代わるなら言ってほしいですよ。いきなり、意識を持っていかれましたし……」
額に手を当てて、やれやれと思う葵。
「それで……さっきの話、聞いてた?」
俺は、恐る恐る、葵に訊く。
「まぁ、それとなく……。一応、さっき、アリエスが言っていたことも……」
「ああ、そう……」




