Ⅱ
「ま、休んだおかげで、ここまで回復したんだから別にいいだろ? その……なんだ? 心配かけたな……」
「ふっ……。何それ……。まぁ、栞は、お兄ちゃんの妹だし、それくらいの事はしないとね」
栞は笑いながら言った。
「調子に乗んな」
俺は栞の頭に軽くチョップを入れる。
ピーンポーン!
と、チャイムが鳴った。こんな時間に一体、誰が来たのだろうか。宅配便だとしても、俺は何も頼んでいないから、栞か。
「おーい、お前じゃないのか? 宅配じゃないの?」
「えー? 私じゃないよ。お兄ちゃんじゃないの? だって、私、何も頼んでないもん」
「いや、俺、ついさっきまで寝込んでいたのに頼めるわけねぇ―じゃん」
「あ、そっか……」
栞は納得する。
「じゃあ、私、出てくるね」
「おお、頼む」
栞は玄関の方へと向かった。それを見た俺は、冷蔵庫から冷えたジュースをコップに注ぎ、ちびちびと飲む。
『え⁉ あ、そうですか……。はい……。今すけど……』
何を長々と、玄関で話をしているのだろうか。
すると、扉が開き、栞がどよん、とした表情をして、リビングに入ってくる。
何があったんだよ……。
「あ、お兄ちゃん。ちょうどよかった。お兄ちゃんにお客さんだよ」
「客?」
俺は栞の言葉に首を傾げる。
栞の後ろから一人の少女が姿を現す。
「お久しぶりです。体は大丈夫でしょうか?」
と、私服姿の葵が姿を現した。
「お、おう……」
びっくりして、言葉を失う俺は、何を返事すればいいのか困る。
「立ち話もなんだし、ここ、座ったら?」
俺はリビングでいつも食事をしている席に案内する。
「お兄ちゃん。あの人とどういう関係なの?」
と、栞が俺に近づき、耳元で囁く。




