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XVII
「なんだよ……。大丈夫だって、おかげで少しは楽になったから」
栞の頭をなでながら言う。
そして、栞は頬を膨らませ、いきなり立ち上がったと思うと、そのまま部屋を出て行ってしまった。
「俺、何かしたか? 変な奴……」
俺は首を傾げた後、もうひと眠りすることにした。
「お兄ちゃんのバカ……」
ポツリと、こぼれ落ちる言葉。私は、自分の部屋に戻った後、体育座りをしながら考え事をしていた。
昨日もそうだし、今日も、お兄ちゃんは私に大事なことを隠している。
それでもあれだけ弱っているお兄ちゃんを見捨てるほど、長年、お兄ちゃんの妹などしていない。
面倒くさいお兄ちゃんなんて、もし、赤の他人だったら、近づきもしていないだろう。
でも、こうして、長い間、一緒にいると、愛着も沸くのである。
「さて、私が出来ることをしますか。学校の連絡は、登校時間帯じゃないと、電話は繋がらないだろうし……」
私は部屋を出た後、リビングで、昨日、やり残していたことを片づけた。