Ⅷ
それは俺達が、小学生レベルと言いたいのか? 高校生だぞ、高校生。もっと、マシな考えを持っているわ!
でも、もしかすると、そうなる未来もあるとは否定できないのである。
「でしたら、こうするのはどうでしょうか。この三人で話し合って決めるのは良いかと、それだったらお互いの意見を取り入れて、デートの計画が決めることができるのでは?」
「それはいいけど、この二人が出しそうな案がなんとなく想像できるのよね。なんとなくだけど……。でも、私だけの考えを押し付けるのも嫌だし、そこは三人で考えることにするわ」
と、素直に受け入れ、それを聞いた犬伏は、ホッとする。
デートの計画は、昼休みが終わりに近づいたため、放課後などに決めることになり、一旦、解散という形になった。
部室を出る前に葵は、富山を呼び止めて、二人で話があると言っていた。
俺と犬伏は、教室に戻る帰り道、一つだけどうしても聞きたかった事を口にする。
「犬伏、もし、天使が十二体、このまま順調に俺達の元に集まったとして、その後、一体どうなるんだ? 確かに暴走化を止める目的ではあるとしても、その後どうなるのか、俺には想像ができない。十二体揃ったら願い事でも叶うのだろうか、それとも何かが起こるのか?」
「………」
俺の話を聞いた犬伏は黙ったまま、口を開こうとしない。
そして、ようやく口を開くと思ったら、こんな言葉が返ってきた。
「さて、どうですかね。真実に近い事を知ってしまった今の僕からは、何も考えが浮かびません。すみませんが、放課後は、休ませてもらいます。ちょっと、一人になりたいので……」
どう見てもいつもの犬伏ではなかった。こんなにも考え込んでいる彼を見るのは初めてだろう。出会って、まだ短い期間ではあるが、俺にとっては頭のキレる奴だと思っていた。
俺の足は立ち止まり、そのまま歩き去っていく犬伏の後姿をただ、見ているだけだった。
なぜ、私は辻中さんに呼び止められたのだろうか。
私は、彼女の事をよく知っている。今の誰よりも知っている。
だけど、その彼女が二人っきりで話がしたいといいだしたのはなぜなのだろうか。
何か、良くないことでもしたのでは?
いや、そんなことはしていないはず。完璧に否定はできないが、今は目の前に立っている彼女から目を逸らすことができない。緊張が走る。
「あ、あの……。それで……私を呼び止めた理由を聞いてもいいかしら?」
部室で、お互いに見つめ合う私と辻中さん。早く終わってほしいと願うばかり。
「あ、はい。その……用は、私ではないんですが、アリエスさんが富山さんに用があると言っておりまして……変わってほしいと……」




