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「んー、ちょっと困りましたねぇ……。富山さん、これはどっちだと思いますか?」


「そうね。私だったら上を選ぶかもね。その方がうまくいきそうだから」


 この二人が一緒になって大きな画面と睨めっこしながら悩んでいた。


「おい、お前ら……。なーに、人の家で寛いでいるんだ? 図々しいと思わないのか?」


 俺は、三人分のジュースを入れたコップを持ってきて、家まで押しかけてきた二人にそれぞれの前にあるテーブルの上に置いた。二人は、現在、俺の家にある恋愛ゲームをしながら意外と、盛り上がっていたのだ。


「それで、お前たちが俺の家まで押しかけてきた理由は一体なんだ?」


 俺は、ソファーに座りながら二人に訊いた。


 犬伏は、コントローラーを持ちながら俺の問いに口を開いた。


「それはですね。こちら側のヒロインもやばいことになっているんです」


「ふーん、で、何がやばいことになっているんだ? もしかして、天使になってしまったとか?」


「まぁ、天使化についての情報は合っていますが、まだ、彼女は天使にはなっておりませんのでご安心ください。それにしても、この短い期間であなたはずいぶん変わられましたね。もしかして、彼女の事が好きなのでは?」


 犬伏は、俺をからかってくる。だが、そのからかいはスルーする。


「そうだな。好きではないが嫌いでもない。攻略対象として、ただ、心配しているだけだ」


 ジュースを飲みながら、心を落ち着かせる。俺が、辻中を好きになったらダメだろ。


「本当にそれだけ?」


 こっちを見上げた富山が、俺の事をじーっと、見つめてくる。なぜ、富山がそこまでして俺の方を見つめてくるのかは、一旦置いといて、この前の事が気がかりだ。


「そうだな。それだけだ。他に特別な意味なんてねぇーよ」


「……そう」


 俺がそう答えると、富山は再びテレビ画面の方へと視線を移した。


「なぁ、犬伏。ちょっと、訊きたいことがあるんだがいいか?」


「はい、何でしょうか? 何かありましたか?」


「まぁ、ちょっとな……。天使化は、天使自身がその体内にいるんだよな? だとするなら、今も、辻中の中には天使が存在している。天使は、彼女に話しかけたりするのか?」


 確かに天使化の暴走は相当な危険を及ぼすらしいが、実際に天使には、意思というものがあるのだろうか。もし、天使に意思があるとするならば、それはいつか、彼女自身から天使に話しかけられるかもしれないと思ったからだ。

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