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XXXIX

「富山、お前の魔法で、俺の靴見つけてくれない?」


 俺は、丁度、靴に履き替えた富山に頼んだ。


「ええ……。私の魔法、四次元ポケットからどんな道具でも出す、ネコ型ロボットじゃないんだけど……」


 富山は、少し嫌そうな顔をしながらも、結局は手伝ってくれるのである。


 ——って、その猫型ロボットのアニメ、見てたのかよ。未来人でも見るなんて意外だな。魔法が使えるのに、道具、いらないだろ。


「そこを頼む。さすがの俺も靴下で帰るのは、嫌だ。まだ、裸足で帰った方がマシだ」


「じゃあ、裸足で帰ったらいいじゃん!」


 富山は、俺のボケに強いツッコミを入れる。


「富山さん、魔法をお願いします。あなたならすぐに見つけられるでしょ?」


 犬伏が言う。


「仕方ないわね。ちょっと待ってて……」


 富山は目をそっと閉じて、集中する。


「分かったわ」


「で、どこにあるんだ?」


「あそこにあるわよ」


 と、富山は、玄関の近くにある外用の洗い場を指さす。


 そこには見覚えのある靴が、雨の中、濡れて捨ててあった。


「はぁ、あれじゃあ、靴の中は、びちょびちょだな。勘弁してくれよ。今は、梅雨だから乾くのも一苦労なんだぞ」


「あれはひどいですね。いくら、恨みがあるからって、ここまでしなくてもいいんじゃないのでしょうか」


「さすがに僕の考えだと、今後、エスカレートする可能性はありますね」


「だろうな」


 俺は、自分の靴を拾い上げると、仕方なく、シューズと履き替えて、その靴を履いた。


 予想通り、この靴の中は、雨で濡れてすぐに靴下までもが、濡れてしまう。


「なんか、気色わりぃ……。足に変な感触がする」


 染み込んだ雨水が、びちゃ、びちゃ、と音を立てて、帰るまで、この状態でいないといけないのかと思うと、嫌気がさす。


「陣君、大丈夫ですか?」


「ん? ああ……。大丈夫と言えば、大丈夫だと思うけど、ちょっと、イラッ、と来ているのは確かだな。なぁ、葵。こういった屈辱を受けた人間って、次はどんな行動に出ると思う?」

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