XVII
「それをシスコンと言うのよ」
この尼~!
せっせと出来た料理からテーブルに並べる栞。
俺、栞に恨まれることしたかよ。心当たりがありませんけど。
「ふふふ……」
と、皐月さんが笑っていた。
「どうかしましたか?」
「あ、いえ……。仲がいいんですね。私、兄妹とか、いないんで分からないんですけど」
「そう見えますか? 言って何なんですが、喧嘩もしたりしますけどね」
「一方的にお兄ちゃんがやられているだけですけどね」
また! あれですか、嫉妬しているんですか? 別に好きじゃないんだからね! と言いたいんですか、あなたは……。
これじゃあ、俺の好感度、駄々下がりじゃないか。さて、どう上げる。
と、考えているうちに栞が俺達を呼び、夕食の時間になった。
いつもだと、二人っきりで囲む食卓も、三人となると、雰囲気が違う。この違和感は、何と言えばいいのか。
「美味しいですか?」
栞は隣で座っている皐月さんに訊く。
「はい、美味しいです。料理、本当に得意だったんですね。いつから作っているのですか?」
「ええと、確か……本格的に始めたのは、小学校高学年くらいかな。それまでは、お母さんのお手伝いという形で、料理をしていましたから。お母さんが、仕事に復帰し始めてからは、ほとんど、私が一人で作っていますね」
「そうだったんですね。私もある程度、料理はできるんですよ。お父さんと二人生活が多かったので……」
「そうなんですか。それだったら、皐月さん。今度、一緒に料理しません?」
「栞さんが、お邪魔じゃなければ大丈夫ですよ」
「やった!」
と、皐月さんの答えに喜ぶ栞。
ん~。これは、まずいですね。お兄ちゃん、栞を皐月さんに取られて、ちょっと、ジェラシー、感じています。
パクパク、と栞の手料理を黙ったまま、食べる俺は、二人よりもペースは早い。もう、半分以上も食べ終えている。
「ん? どったの? お兄ちゃん?」
栞は、何を不思議に思ったのか、俺に話しかけてくる。




