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XV

 どうやら、彼女は、今回の攻略対象の藤峰皐月で間違いないようだ。


「そうなんですね。俺、二年二組の坂田陣平と言います。よろしくお願いします」


 と、彼女に軽く挨拶をする。


 やはり、その後の会話が続かない。いきなり、押し掛けてここに住むことになって、どういった話が共感を持てるのか、悩ましい。


「藤峰先輩は、どういったご事情で、家に? あ、いえ、話したくなければ別に大丈夫ですよ。ちょっと、どうしてなのかなぁ、と思いまして……」


 気を遣うのがつらい。自分の家でこんな気持ちにならないといけないのかよ。栞、早く、飯を作ってくれ。


 藤峰先輩が、自分の事を話すまで、まだ時間がかかりそうだ。


 ちょっと、いきなりすぎた質問だったか? いや、でも、ね……。


「親が……」


「はい?」


 声が小さすぎて、何を言っているのか、良く聞こえない。


「親の急な海外出張で、一人暮らしが心配だからと、坂田君の両親にお願いしたらしくて……。私の父と坂田君の両親が、昔からの付き合いらしくて、卒業までの残り十ヶ月、ここに居候という形で、住ませていただくと……」


「そ、そうだったんですか……。先輩も大変なんですね」


「いえ、私は別に……」


 どうやら、これは長い共同生活になりそうだ。幸いだったのは、栞がこの家に居てくれたことだ。


 だって、一つ屋根の下、男女二人っきりって、俺、絶対無理だと思う。


 栞は、別に妹だから、別に今更、ドキドキなどしない。一緒に生活しているからね。


「まぁ、先輩もそう緊張せずにここを自分の家だと思って、生活してください。遠慮とかされると、俺も、栞も、困りますんで……」


「あ、はい。ありがとうございます」


 と、丁寧にお辞儀をする藤峰先輩。


「あと、その……。俺の呼び方なんですが……。陣平で構いませんよ。『坂田君』と呼ばれると、もう一人、あそこで料理している妹も坂田なんで」


「そ、そうですよね。それじゃあ、私の事も皐月でお願いします」


 やはり、こう来るか。


 年上の先輩を下の名前で呼ぶって、それも女性だぞ。葵はともかく、藤峰先輩を……。


 でも、今後の事を考えると、下の名前で呼んでおいた方がいいよな。


 後で、犬伏に連絡しておくことにしよう。

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