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13.事後処理

 医務室へ運ばれたアマンディーヌはルロワ伯爵が到着次第、帰宅する事になった。手と腕の擦り傷の手当てを施し、目立った傷がないこと、本人が言っていたように彼らからもアマンディーヌには触れていないとの証言があり、一同は胸を撫で下ろした。

「私が居ながらこんな目に遭わせて、申し訳ありません」

 頭を下げるユベールに伯爵は言った。


「ユベール殿はディーを助けてくれたそうじゃないか、ありがとう」

「お許しいただけるなら屋敷まで付き添わせていただけませんか」

 うん、と笑顔で頷いた伯爵と共に、ユベールが毛布に包まれたアマンディーヌを抱き上げて学校を後にした。

 

 帰りの馬車の中、学園長からの話を聞いた。

 他者を貶めないと安心できないくらい三人は追い詰められていて、そこにアマンディーヌを邪魔に思うエルフリーデが加わった。彼女は彼らを唆しアマンディーヌを襲わせた。事件が明るみになってすぐ、彼らの保護者には至急来るよう連絡を入れた。駆けつけた保護者達は、学園長の話を聞くなり青ざめたり怒りで顔を赤くしたり忙しかったのだという。


 学園としての処分は三ヶ月の停学処分だけだが、それとは別に各家でも罰を与える事になった。何の咎もない令嬢を騙して呼び出し暴行を企てた罪は大きい。たった三ヶ月の停学処分で済ますわけにはいかないとして、謹慎中の三ヶ月は領地で奉仕活動をさせる事、その間は王都に立ち入らせない事、今ここにいる仲間とは縁を切る事を約束させた。三ヶ月後に学園へ戻ってもいいし、このまま退学を選んでもよいと言われ、各家で三ヶ月かけて本人も交えて話し合い答えを出すことになったのだという。


 三人はそれぞれ似たような悩みを抱えていた。優秀な兄や姉を持っているうだつの上がらない次男坊、という同じ境遇が彼らを結束させた。学園で自分達より気弱と見える生徒を見つけては理不尽な要求を強要し、それが叶わないと人の目の無いところへ連れ込んで言うことを聞かせてきた。アマンディーヌが目撃したのはそういった行為の一つで、ユベール以外にも被害に遭っていた生徒がいたこともわかった。


 エルフリーデの父親はルロワ伯爵に頭を下げてこう言った。

「娘がしでかした事は何度謝っても謝りきれない……本当に申し訳ありません。外国に親戚がおります、娘はそこへやろうと思います。二度とこの国の地は踏ませません」

 アマンディーヌの心の傷がどのくらい残るかはわからない。エルフリーデとの面識は無いから、退学しなくても顔を合わせて事件がフラッシュバックする事はないだろうが、首謀者が居ると知れば恐怖は拭えないだろう。それなら退学してくれた方が良い。抱きかかえたままのアマンディーヌをユベールは見つめた。頬にかかる髪の毛をはらい、その手で頬を撫でた。

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