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〇〇〇の何でも屋へようこそ!  作者: 清白瀬見
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魔法使いは狂戦士

街の外にある草原


「今から実技試験を行います」


「よろしくお願いします!」


俺とメイは低級の魔物がいる草原地帯へと来ていた。メイの特技に合わせた実技試験。攻撃魔法がどれだけ威力があるのか見ようと思う。


この街の周辺は強い魔物が少なく弱い低級の魔物が多いので駆け出しの冒険者が最初にここら辺でレベルを上げ魔物が多い王都周辺に向かう。だからメイもレベル的には低いと思われる。


「あそこにいるトカゲを3匹倒そうか」


200メートル先に見える全長3m近くあるトカゲ型の魔物が3匹うろついていた。あの魔物なら丸呑みされない限り特に殺されることはないだろうし、ここの冒険者なら誰でも倒せるほど弱いと噂の魔物だ。


「了解です!逝きます!」


メイは蒼い眼を輝かせ、長い白い髪を靡かせながら全速力でトカゲに向かってく。


「は?ちょっと待てぇ!」


魔法使いは普通遠距離からの攻撃魔法か近接で戦う戦士のサポートなのが常識だ。だが目の前の魔法使いは強化魔法で小さな身体を俊敏かつ強固にしてトカゲを殴り倒している。


「はははははははは!!!どうですか!!トカゲ如きが私の拳を受け止めること出来ますかねぇ!!」


本来なら自分の魔法の反動から自分の手を守る手袋がメリケンサックのような感じで扱われていた。


トカゲは体のいいサンドバックのように扱われていた。

そしてメイはあっという間にトカゲを3匹倒したのだが止まらない。


「まだまだ足りませんねぇ!」


青い眼をさらに輝かせ完全に14歳の女の子がしてはいけないような顔をしながら周りのトカゲを襲い始めた。それをもはや魔法使いと呼ぶのではなく狂戦士と呼ぶに相応しいだろう。


「メイぃぃぃぃぃ!!!試験は終わりだぞ!それ以上倒さなくていいんだぞ!」


俺の叫び声も虚しくメイは止まる気配がない。


「そんなものなのですか?えぇ?魔物の癖に草ばかり食べているからそんなに身体が弱いのですよ?ほらほら!もっと足掻いてみてくださいよ!」


なんかやべぇこと言ってるし。とにかく止めなければまずい。狩り尽くしてここの生態系でも変えたらマジで怒られる!


「ちっ!止めに行くか!」


俺も身体強化魔法を自分にかけメイの方に向かおうとした瞬間、メイは立ち止まり殴る手を止め両手を上げた。


「ん?止まったのか?メイもう試験は終わっ……」


俺が言う間もなくメイは


「殴るのも飽きたのでもうここら一帯吹き飛ばして終わりにしちゃいましょうかぁ!」


『荒れ狂う空よ!大いなる海よ!我が両手に弾けるは雷!深淵を除きしこの蒼い眼の主に力を貸したまえ!』


メイの両手にバチバチと雷のようなものが集まり、上を見るとここら一帯に黒い雲が出来上がっていた。


『サウザントサンダー!』


そして上にあげた両手を振り下ろしそれを合図にここら一帯の雲から千の雷が墜ちた。


━━━━━━━━━━━━━━

「ほんと何してくれたんですか!」


「「ほんとにすみませんでした!」」


俺たちは冒険者ギルド長の部屋で叱られていた。メイはあの魔法でトカゲの魔物だけでなく草原地帯の他の魔物ごと焼き払った上に地形まで変えてしまったのだ。


冒険者ギルドは魔王軍が攻めてきたのか勘違いし、緊急事態サイレンを鳴らし俺達がいた所に冒険者を派遣したのだ。だがそこに居たのは諸共食らい瀕死の俺と魔力が尽きて寝ていたメイの2人だった。そして2人揃って冒険者ギルドに連れてかれ今この状況に至る。


メイは正座をさせられ俺は何とか動かせる身体でギルド長に頭を下げた。


「ノアさん……経緯を聞く限りあなたに非はありません。ですがメイさん、あなたこれで2回目ですよね?」


「は……い……」


メイは涙目になりながら小さな身体を震わせる。


「しかもあなたそれが原因でパーティーから抜けさせられた事を忘れたの?」


「つい……身体が動くんです……それに気持ちいいんです。あれこそが生きがいだと感じてしまうほどに」


メイは話しながら何故か笑顔になりながら蒼い眼を輝かせていた。


「反省はしてないということですか?」


ギルド長は女性ながらも鋭い目付きでメイを見てくる。


「違います!ほんとにすみませんでしたぁ!許してください!」


「はぁ……まぁあそこの草原地帯は一ヶ月もすれば元に戻るでしょう。ではメイさんの処分を決めましょうか」


「サミさん。ちょっといいですか?」


「なんでしょう?ノアさん」


「メイを許してやって貰えないでしょうか?こんなに暴走する事を俺が知らなかったとはいえ魔物を倒すように言ったのは自分ですから、自分にも責任はあると思うんです」


ギルド長ことサミさんは頭をかかえ悩んだ後こちらに改めて向いた。


「ではノアさん。メイさんをNSLに雇って貰っても良いでしょうか?」


「えぇ……」


正直嫌に決まっている。こんな爆弾抱えた少女と一緒に仕事したら間違いなく仕事が上手くいかないに決まってる。


「住む場所さえメイさんに提供してくだされば賃金は出さなくて結構です」


「分かりました。こちらでなんとかしましょう」


「嫌々タダ働きなんてダメに決まってるでしょう!」


メイは正座のままこちらに向かって吠えてきた。爆弾とはいえタダで働かせられるのはデカい。正直従業員が俺1人だと辛いところがあったんだ。


「メイさん。あなた今回の件でどれだけ被害が出たかそれにノアさんにどれだけ迷惑をかけたのか分かってるのかしら?」


「あぅ」


「では一年ノアさんのところで働きなさい。その後は好きにしても構いませんので」


「わ……わかりました」


こうして俺は爆弾兼タダで働いてくれる従業員を手に入れた。

不定期投稿です。どこまでいけるかわかりませんが可能な限り頑張ります。

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