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まずは説教から

「エティエンヌさん。説明をお願いします。」


思わず、冷たい目と声になってしまったがこれは仕方がないだろう。

その事に気づいたのか

『あの、私、何を間違えたのでしょう?

女神様に許可もなく触れたことは、何度でも謝ります。

説明は、質問していただければ何でもします。』


悲しそうに少し眉が下がっている気もするが、ここで心を許してはいけないはずだ!詐欺師の特徴として、容姿が優れていることや突然近づいてくることが多いとあった。異世界ではどうかはわからないが、日本の詐欺師の特徴に今のところ当てはまっている。そして、女神とかおしりがむずむずするくらいあからさまなお世辞。

聞いてるこっちが恥ずかしいわ!


「まず、女神と言うのをやめてもらえませんか?

私はあなたほど、容姿に優れていませんし誰にでも優しい心も持っていないので。

あと、抱き締められたことに関しては治療をしてくれようとしたということで気にしないので大丈夫です。」


『あの、ではなんとおよびすれば?』


「ふつうに、楠って呼んでくれたら問題ないですよ?

あと、この手に現れたタトゥーが何なのかと消す方法が有れば知りたいです。」

そっちから、触れないなら私が確信にせまります!


『では、楠様と』

なぜだか、少し照れた様にエティエンヌさんは私の名字を呼んだ。若い子だったらときめくところなのかもしれないが、ここ数年、彼氏もおらず枯れかけの私てきにはキュンとするどころか、苦笑いしか出てこない。

『後、手に現れた紋様ですが 

ガンガン『入るぞ』


ノックから、入るまでが早くはないか?


アルベールは、先程と変わらず不機嫌そうな様子で部屋に入ると、

少し考えたあと

『この部屋に契約魔法の残り香がするぞ。おい、エルフお前。名前を楠に渡したのか?

あれだけ脅されたり、色仕掛けだったり金積まれても渡さなかったのにか?

やっぱり、おまえでも命の恩人にはそれ相応のお礼をするんだな。

楠!契約の紋様見せてみろ!』


この、タトゥーは契約だったのか!そして今の話からするとどうも私に不利な内容ではなさそうだ。みんなが欲しがっていたものをくれたわけだし。

道理で、さっきものすごく怪訝そうな顔で私とエティエンヌさんを見比べてると思った。


アルベールずかずかと私に近づき腕を掴もうとしたが


『触るな、』

エティエンヌさんが2人の間に割り込み、それはできなかった。

なんだか、エティエンヌさん顔はお姫様張りの美人なのに、騎士っぽいなー。のんきなことを考えていると

アルベールさんは、興味を失ったように薬をこっちに渡すと、すたすたと去っていった。


詐欺師かもしれないと疑っていたけどどうやらそうではなさそうだ。ひと安心!

でも、この手のタトゥーは後で消し方をきかなきゃなぁー。もし、もとの世界に帰る方法がなかったとしても、これはちょっとださい。私が日本人じゃなかったら気にならなかったかもしれないけど。


「あの、この紋様はとても大切なものだろうということはわかったんだけど、突然こんなことをされても困ります。私とあなたは出会ってそれほどたってもいませんし、私はこれを欲しいともいっていません。仮に私がこれを欲しいと思っていたとしても、普通きちんと説明をした後に渡しませんか?あと、消す方法も教えてください。」

少しきつく言いすぎたかな?傷ついた顔にも見えた。でも、はっきり言わないと伝わらないこともあるからな。

『何の説明もなく勝手に名前を渡して申し訳ありませんでした。

名前を教えてほしいと言われたので、私の真名を知り、契約により私を手下にしてくださるのかと思ってしまいました。

あと、契約の解除についてですが、今すぐには難しいですが可能です。』

「でも、貴方は今まで契約したくなかったから、誰にも名前を伝えなかったのよね?何で私なんかに、」


『私なんかと、どうか言わないで下さい。

私にとっては、貴方しかいないと思った大切な存在なのです。

貴女が望むなら何も惜しくはないのです。』


その言葉を聞いても私にはなぜそれほどまで言ってくれるのかはわからなかったが、彼が真剣に話しているということだけは伝わってきた。



エティエンヌは、先程と受け取った薬と水を私が飲んで眠るのを確認するともう一度紋様の上に口づけを落とし、彼女の傍らで、周囲に危険がないか神経を研ぎ澄ますのであった。

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